Webサイトのアクセス数を伸ばす上で、コンテンツの質と同じくらい重要なのが「システム側の最適化」です。
そこで近年、IT業界で急速に需要が高まっているのが「SEOエンジニア」という職種です。
しかし、
「名前は聞いたことがあるけど、どんな仕事をするのかよくわからない」
このように感じている方も多いかと思います。
そこでこの記事では、SEOエンジニアとはどういう存在なのか、その役割や業務内容についてや、平均年収、求められるスキルなどについて詳しく紹介していきます。
SEOエンジニアとは

SEOエンジニアは、検索エンジン最適化の知識と、プログラミングやサーバー構築といったITの専門技術をあわせ持つ職種のことです。
SEOエンジニアは、サイトの表示速度の改善や内部構造の最適化、システム改修などを通じて、技術的な側面から検索順位の向上を支援します。
一般的なWebエンジニアが、仕様書通りに動くシステムを作ることを目的とするのに対し、SEOエンジニアは検索エンジンに評価されるシステムを作ることを目的として動く点が大きな特徴と言えるでしょう。
「マーケティングの視点」と「エンジニアリングの視点」の両方を持ち合わせているため、Web業界全体で非常に重宝される存在となっています。

僕が初めてWebサイトの運営に関わったときも、コンテンツの質だけでなく、裏側のシステム構造がどれほど検索順位に影響するかを知って驚きました。SEOエンジニアは、技術とマーケティングの架け橋になる面白い仕事ですよ!
SEOエンジニアとSEOマーケターの違い

SEOエンジニアとSEOマーケターは、どちらもWebサイトの検索順位を上げることを目標としていますが、担当する領域がはっきりと分かれています。
SEOマーケターは、検索意図を分析し、どのようなキーワードで記事を書けばアクセスが集まるかを考えるコンテンツ施策を主に担当する職種です。
競合サイトの調査を行ったり、記事の構成案を作成したり、外部のサイトからリンクを獲得するための企画を立てたりします。
一方でSEOエンジニアは、SEOマーケターが立てた戦略をシステム上で実現するための技術的な施策を担当します。
SEOマーケターが「売れる商品を企画する人」だとすれば、SEOエンジニアは「商品を綺麗に見やすく陳列する店舗の設計士」のような役割を果たしています。
両者がうまく連携することで、初めて強力なSEO対策が完成するわけです。
なお、SEOマーケターや、SEOに関する知識を深めたい方は、僕が運営する以下の姉妹ブログがおすすめです。
SEO歴20年の僕が、実体験をもとにした実践的な情報・知識について発信しています。
SEOエンジニアの主な業務内容

この項目では、「SEOエンジニアが実際に現場でどのような仕事をしているのか」について紹介していきます。
主な業務としては、以下のようになります。
- テクニカルSEO
- 表示速度を向上させるためのコーディング
- SEOに強いサイト構造設計
- SEOツールの開発・運用
- SEOに関する技術的な問題の解決
テクニカルSEO
テクニカルSEOとは、検索エンジンのクローラーがWebサイトの内容を正しく理解し、スムーズに巡回できるようにするための技術的な調整全般を指します。
具体的には、以下のような作業がテクニカルSEOに該当します。
- XMLサイトマップの作成や送信
- 構造化データの実装
- URL正規化
- CWVの改善
- robots.txtの設定
- モバイルフレンドリー
- インデックスやクロールの最適化
- 画像の最適化
検索エンジンは「プログラムの塊」であるため、人間が見て美しいサイトであっても、プログラムが読み取りにくい構造であれば評価が下がってしまいます。
SEOエンジニアは、検索エンジンの仕組みを深く理解した上でソースコードを適切に最適化し、サイトの評価を底上げする役割を持っています。
表示速度を向上させるためのコーディング
Webサイトの表示速度は、検索順位を決める重要な要素の一つとしてGoogleが明言しています。
SEOエンジニアは、画像の容量を圧縮したり、不要なプログラムの読み込みを遅らせたりすることで、サイトが1秒でも早く表示されるようにコーディングを調整します。
キャッシュを効果的に活用する設定を行うことも、SEOエンジニアの腕の見せ所となります。
快適な閲覧環境を作ることは、SEO対策の基本中の基本です。

なかなかページが開かなくてイライラした経験は誰にでもありますよね。表示速度の改善は、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても嬉しい最高のおもてなしになります。
SEOに強いサイト構造設計
Webサイト全体の構造を、ユーザーと検索エンジンの両方にとってわかりやすく設計することも、SEOエンジニアの重要な仕事です。
カテゴリーの分け方や、ページ同士をつなぐ内部リンクの貼り方が複雑すぎると、重要なページにロボットがたどり着けなくなってしまいます。
SEOエンジニアは、トップページから数回のクリックで全てのページにアクセスできるような、シンプルで階層の浅いツリー構造を設計します。
パンくずリストを適切に設置し、サイト内で迷子にならないようにする工夫も欠かせません。
SEOツールの開発・運用
規模の大きなWebサイトを運営している企業では、SEOの順位変動やアクセス状況を監視するための独自のツールを開発することがあります。
APIを活用して検索エンジンの公式データを自動で収集し、レポートにまとめるプログラムを書くこともあります。
効率よくデータを分析できる環境を整えることで、SEOマーケターの意思決定を強力に後押しできるでしょう。
SEOに関する技術的な問題の解決
Webサイトを運営していると、特定のページだけ検索結果に表示されないといったトラブルや、急にアクセスが激減したといった問題が日常的に発生します。
SEOマーケターだけでは原因が特定できない場合、SEOエンジニアがシステムの裏側を調査して問題の解決にあたります。
サーバーのエラーログを確認したり、プログラムの不具合を見つけ出したりして、早急にサイトを正常な状態に復旧させなければなりません。
検索エンジンのアップデートによって新しい技術要件が求められた際に、いち早くサイトのシステムを改修して対応していくことも、SEOエンジニアに課せられた使命となります。
SEOエンジニアの年収目安

SEOエンジニアへの転職を考えている人にとって、やはり気になるのは年収事情ではないでしょうか。
IT業界におけるSEOエンジニアの年収は、本人のスキルレベルや所属する企業の規模によって大きく変動するので一概には言えません。
しかし、各種求人サイトのデータなどを総合すると、SEOエンジニアの平均年収はおおよそ400万円から700万円の範囲に収まることが多いようです。
未経験から見習いとしてスタートした場合は300万円台から始まることもありますが、プログラミングとSEOの両方に精通した希少な人材になれば、年収800万円以上を提示されるケースも珍しくありません。
マネージャー層として開発チーム全体を統括できるレベルに達すれば、さらなる高収入を狙うことも十分に可能でしょう。
- 初級レベル(経験1〜2年) : 350万円〜450万円
- 中級レベル(経験3〜5年) : 500万円〜700万円
- 上級レベル(マネージャー等) : 800万円〜

プログラミングができるだけのエンジニアはたくさんいますが、SEOの知識も持っている人は意外と少ないです。二つの武器を掛け合わせることで、自分の市場価値をグッと引き上げることができますよ!
SEOエンジニアになるための必要スキル

SEOエンジニアとして活躍するためには、多岐にわたる専門スキルを身につける必要があります。
ここでは、現場で求められる重要なスキルについて順番に解説していきます。
SEOの基礎知識
SEOエンジニアを名乗る以上、検索エンジンの仕組みやSEOの基本概念を正しく理解していることは大前提となります。
検索エンジンがどのようにして世界中のWebページを見つけ出し、どのような基準で順位を決めているのかというアルゴリズムの基礎を知らなければ、適切な技術施策を打つことはできません。
したがって、検索エンジンが推奨するサイト作りの基本ルールを頭に入れておく必要があります。
SEOのトレンドは常に変化するため、最新情報を追い続ける学習意欲も求められるでしょう。
内部施策
内部施策とは、Webサイトの内部構造やHTMLタグを最適化し、検索エンジンにコンテンツの内容を正確に伝えるための技術のことです。
タイトルタグやメタディスクリプションを適切な文字数で設定したり、見出しタグをルール通りに配置したりするスキルが求められます。
例えば、画像に代替テキストを設定して検索エンジンに画像の意味を伝えることも、重要な内部施策の一つです。
SEOエンジニアは、これらの基本的なHTMLコーディングのルールを完璧にマスターし、サイト全体に適用していく能力が必要になります。
外部施策
外部施策とは、自社のWebサイト以外の場所から評価を獲得し、サイト全体の権威性を高めるための取り組みを指します。
具体的には、他の質の高いサイトからリンクを貼ってもらったり、SNSで自社サイトの情報が拡散されたりする状態を作ることです。
SEOエンジニアが直接リンクの営業を行うことは少ないですが、ユーザーが思わずSNSでシェアしたくなるような便利な機能をサイトに実装するなど、システム面から外部施策を後押しすることは可能です。
外部からの評価がSEOに与える影響の大きさを理解しておくことは、非常に重要と言えます。
コミュニケーションスキル
SEOエンジニアは、パソコンに向かって黙々とプログラムを書いているだけの仕事ではありません。
コンテンツの方向性を決めるSEOマーケターや、記事を執筆するライター、サイトのデザインを担当するデザイナーなど、多くの職種の人たちと協力してプロジェクトを進めていきます。
特にSEOマーケターとは密にコミュニケーションを取り、マーケティングの戦略をどのようにシステムで実現するかを議論する機会が多くなります。
専門用語がわからない相手に対しても技術的な課題をわかりやすい言葉で説明し、円滑にコミュニケーションを図るスキルは必須の能力と言えるでしょう。

チームで仕事をする以上、コミュニケーション能力はプログラミングスキルと同じくらい大切です。相手の立場を思いやった発言ができるエンジニアは、どこに行っても重宝されますよ!
HTML/CSS
Webページをブラウザ上に表示させるための最も基本的な言語であるHTMLとCSSの知識は、SEOエンジニアにとって避けては通れない必須スキルです。
HTMLはWebページの骨組みを作り、CSSはその骨組みを装飾してデザインを整える役割を持っています。
SEOの内部施策はHTMLタグの最適化作業も多いため、正しい文法でHTMLを書けることが検索順位アップの第一歩となります。
パソコンだけでなく、スマートフォンなどのさまざまな画面サイズに合わせてデザインを柔軟に変化させるレスポンシブ対応のCSSを記述する技術も、現代のSEOには欠かせません。
JavaScript
JavaScriptは、Webページに動きをつけたり複雑な処理を実行したりするためのプログラミング言語です。
検索エンジンのクローラーがJavaScriptで作られたコンテンツを正しく読み取れないケースもあるため、SEOエンジニアには高度な制御スキルが求められます。
ユーザー体験を損なわずに、かつ検索エンジンにも優しいJavaScriptの実装方法を提案できるエンジニアは、非常に価値が高い存在です。
WordPress
世界中のWebサイトの多くが、WordPressというコンテンツ管理システムを使って構築されています。
そのため、WordPressの仕組みを理解し、SEOに最適化された状態にカスタマイズできるスキルは、SEOエンジニアにとって欠かせません。
WordPressのテーマを自作したり、SEO対策に役立つプラグインを適切に導入したりするスキルも求められるシーンが多いでしょう。
WordPress特有のURL構造やデータベースの仕組みを理解しておくことで、大規模なメディアサイトのSEO改善にもスムーズに対応できるはずです。
PHP
PHPは、先ほど紹介したWordPressを動かしているサーバーサイドのプログラミング言語です。
Webサイトのお問い合わせフォームを作ったり、データベースから記事の情報を呼び出して表示させたりする処理は、主にPHPを使って記述されます。
WordPressの細かなSEOチューニングを行うためには、既存のプラグインに頼るだけでなく、PHPのコードを直接編集してシステムを改修する技術が必要になる場面が多々あります。
PHPを読み書きできるスキルがあれば、Webサイトの裏側まで踏み込んだ根本的なSEO対策を実行することが可能です。
UI/UXデザイン
UIはサイトの見た目や操作性、UXはサイトを通じてユーザーが得られる体験そのものを指す言葉です。
検索エンジンは、ユーザーにとって使いやすく満足度の高いサイトを高く評価する仕組みへと進化し続けています。
SEOエンジニアはシステムの開発だけでなく、ユーザー目線に立ったUI/UXデザインの基礎知識を持ち、使い勝手の良いサイト設計を意識することが求められます。
SEOエンジニアのキャリアパス

SEOエンジニアとして経験を積んだ後、どのようなキャリアの選択肢があるのでしょうか。
将来の目標を見据えて、代表的な4つのキャリアパスを紹介します。
Webエンジニア
SEOエンジニアから一番スムーズに移行しやすいのが、Webエンジニアです。
SEOエンジニアとして培ったプログラミングスキルやサーバーの知識を活かすことで、よりシステム開発に特化したWeb専門のエンジニアへとキャリアチェンジできます。
SEOの枠を超えて、大規模なWebアプリケーションの開発や複雑なデータベースの設計など、純粋な技術者としての道を極めたいというという人に最適なキャリアパスと言えるでしょう。
SEOの知識を持ったWebエンジニアは、最初から検索エンジンに好まれるシステムを構築できるため、開発チームの中で非常に重宝される存在になるはずです。
SEOコンサルタント
技術的な知識を土台にしつつ、クライアント企業のWebサイト全体の売上やアクセス数を向上させるための戦略を立てるSEOコンサルタントになる道もあります。
エンジニアとしての実務経験があるSEOコンサルタントは、絵に描いた餅ではない、システム上で確実に実行可能な施策を提案できる点が強みとなります。
クライアントの経営層に対してプレゼンテーションを行ったり、チーム全体のプロジェクト管理を行ったりするため、よりビジネスの上流工程に関わることができます。
技術とビジネスの両方に興味がある人に向いているキャリアパスです。

技術の裏付けがあるコンサルタントの言葉は、クライアントに圧倒的な安心感を与えます。「このシステム改修にはどれくらいの工数がかかるか」を瞬時に判断できるのは、エンジニア出身ならではの強みです。
Webマーケター
SEOだけでなく、Web広告の運用やSNSマーケティング、アクセス解析など、Webマーケティング全般を統括するポジションへとステップアップするキャリアです。
SEOエンジニアの業務を通じて身につけたデータ分析のスキルや論理的な思考力は、Webマーケターの仕事でも大いに役立ちます。
どうすればユーザーを集められるか、どうすれば商品を買ってもらえるかというビジネスの根本的な課題解決に取り組みたい人に適しています。
Webマーケターは、幅広いマーケティングの手法を身につけることで企業の売上アップに直接貢献する、やりがいのある仕事です。
Webディレクター
Webサイトの制作やリニューアルプロジェクトにおいて、デザイナーやプログラマー、ライターなどの制作チーム全体をまとめるWebディレクターになる道です。
Webディレクターは、クライアントの要望を正確にヒアリングし、SEOの観点を取り入れた最適なサイト設計の指示出しを行う役割を担います。
チームを引っ張り、一つの大きなプロジェクトを完成させることに喜びを感じるリーダー気質の人にぴったりのキャリアです。
SEOエンジニアに将来性はあるのか

AIが答えを教えてくれる時代に、SEOエンジニアの仕事はなくなるのではないかと不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、Webサイトが存在し、企業がインターネット経由で顧客を集めたいと考える限り、検索エンジンで上位に表示させる技術であるSEOが廃れる可能性は非常に考えにくいです。
むしろ、表示速度の改善や複雑なサイト構造の最適化といった技術的なハードルは年々高くなっており、専門知識を持ったSEOエンジニアの需要は今後さらに増加していくと予想されます。
マーケティングの意図を理解し、最新の技術トレンドに合わせてシステムを柔軟に改修できるエンジニアは、AIには簡単に代替できない貴重な存在です。
常に新しい技術を学び続ける姿勢を持っていれば、SEOエンジニアの将来性は非常に明るいと言えるでしょう。
まとめ
以上、「SEOエンジニアとはどういう役割なのか」を始め、具体的な仕事内容、年収、必要なスキル、キャリアパスなどについて詳しく解説してきました。
SEOエンジニアという職種・呼称は、それほど一般的なものではありませんが、求めている企業は決して少なくありませんので、SEOやWebマーケティングに興味があり、技術力も身に付けたいという方は、是非目指してみてはいかがでしょうか。

