Web制作独学のロードマップを公開！最短で学ぶ方法と必要スキル

Web制作のスキルを独学で習得し、Web制作会社に就職したり、副業やフリーランスとして収入を得たりしたいと考える人が増えています。

しかし、Web制作は学習範囲が広く、何から手をつければよいのか迷ってしまう初心者も少なくありません。
適切な手順で学ばなければ、挫折してしまう可能性も高まります。

そこでこの記事では、未経験から最短でWeb制作スキルを身につけるための具体的な独学ロードマップを解説します。

そもそもWeb制作とは

Web制作とは、インターネット上に公開されるWebサイトを企画し、構築する一連の業務を指します。
具体的には、企業のコーポレートサイトや、商品を販売するためのランディングページ（LP）、求職者に向けた採用サイトなどを作成します。

デザインは、Webサイトの見た目や使い勝手を設計する工程であり、コーディングは、作成されたデザインをブラウザ上で表示・動作させるためにプログラミング言語を使って構築する工程です。

昨今、AIツールやノーコードツールの進化により、Web制作のハードルは下がっていると言われていますが、クライアントの細かな要望に応えるカスタマイズや、検索エンジンで上位表示させるためのSEO対策など、プロフェッショナルとしてのWeb制作スキルへの需要は依然として高い水準を維持しています。

Web制作は、個人がパソコン1台で価値を生み出せる、将来性の高いスキルと言えるでしょう。

何を学ぶべきか知るためにまずは「Web制作の流れ」を知ろう

独学を始める前に、実際の現場でどのようにWebサイトが作られていくのか、その工程を把握しておくことが重要です。

全体像を理解することで、今学んでいるスキルがどの工程で役立つのかが明確になり、学習効率が向上します。

この項目では、一般的なWeb制作の流れを「6つのステップ」に分けて解説します。

【Web制作のSTEP.1】クライアントへのヒアリング

プロジェクトの始まりは、依頼主であるクライアントへのヒアリングからスタートします。
クライアントがなぜWebサイトを作りたいのか、その目的を明確にしなければなりません。

このように、クライアントが求めるゴールによって、作るべきサイトの構成やデザインは大きく異なります。

また、ターゲットとなるユーザー層（年齢、性別、趣味嗜好など）や、競合他社の状況、希望する納期や予算についても詳細に聞き出します。

このヒアリング段階での認識合わせが不十分だと、後々の工程で大きな手戻りが発生する原因となりますので、慎重に進めなければなりません。

Web制作者には、クライアントの潜在的な要望を引き出す傾聴力も求められるのです。

【Web制作のSTEP.2】要件定義

ヒアリングで得た情報を元に、具体的にどのようなWebサイトを作るかを決定する「要件定義」を行います。

この段階で、使用する技術選定（WordPressを使うか、静的サイトで作るかなど）や、サーバー・ドメインの準備状況なども確認します。

諸々整理できたら、要件定義書としてドキュメントにまとめることで、クライアントと制作者の間で「何を作り、何を作らないか」の合意形成を行います。

ここでの決定事項が、プロジェクトの羅針盤となるため、非常に重要な工程です。

【Web制作のSTEP.3】サイトマップ設計やワイヤーフレーム作成

要件が固まったら、Webサイトの骨組みを作っていきます。

まずは「サイトマップ」を作成し、トップページからどのページへリンクするのか、サイト全体の階層構造を可視化します。
これにより、ユーザーが迷わずに情報を探せる導線を設計します。

次に、各ページのレイアウトを決める「ワイヤーフレーム」を作成します。
ワイヤーフレームは、どこに画像や文章、ボタンを配置するかを示した設計図のようなもので、デザインを作り込む前に、情報の配置や優先順位をクライアントと確認するために作成します。

手書きでラフを描くこともあれば、Figmaなどのツールを使ってデジタルで作ることもあります。

【Web制作のSTEP.4】デザイン制作

ワイヤーフレームでレイアウトが確定したら、いよいよ視覚的なデザイン制作に入ります。

Webサイトのコンセプトに合わせて、配色（カラーパレット）、フォント（書体）、写真やイラストのトーン＆マナーを決定し、画面を作り込んでいきます。

パソコンでの表示だけでなく、スマートフォンやタブレットで表示した際にどのように見えるかも考慮して作成します。

使用するツールとしては、FigmaやAdobe XD、Photoshop、Illustratorなどが一般的です。

【Web制作のSTEP.5】デザインのコーディング・必要な機能の実装

デザインが完成し、クライアントの承認が得られたら、コーディング作業に移ります。

Webブラウザが理解できる言語であるHTMLやCSSを使って、デザイン画を実際のWebページとして表示できるように構築します。

さらに、JavaScriptやjQueryを用いて、スライドショーやメニューの開閉といった動き（アニメーション）を実装したり、お問い合わせフォームの送信機能などを組み込んだりします。

WordPressなどのCMSを導入する場合は、この段階でテーマの作成やカスタマイズを行います。

見た目を再現するだけでなく、ページの読み込み速度や、SEO対策のためにGoogleなどの検索エンジンに評価されやすい構造を意識することも大切です。

【Web制作のSTEP.6】テスト完了後に納品

コーディングが完了したら、Webサイトが正しく動作するかを確認するテストを行います。

テスト内容は、主に以下の通りです。

すべてのテストをクリアし、クライアントによる最終確認が完了したら、本番環境にファイルをアップロードして公開（納品）となります。

公開後も、不具合がないか一定期間は注視することが望ましいでしょう。

Web制作に必要なスキル

Web制作を独学で進めるためには、習得しなければならないスキルが複数存在します。
プログラミング言語だけでなく、デザインの知識や周辺知識も必要となります。

ここでは、Web制作を行う際に身に付けておくべき8つの主要スキルについて解説します。

HTML/CSS

Web制作において最も基本的かつ必須となるのが、HTMLとCSSのスキルです。

HTML（HyperText Markup Language）は、Webページの文章構造や画像などの要素を定義するためのマークアップ言語です。
HTMLがなければWebページは存在しません。

そしてCSS（Cascading Style Sheets）は、HTMLで記述された要素に対して、色や大きさ、配置などの見た目（スタイル）を指定するための言語です。

HTMLとCSSはセットで扱われることがほとんどで、Webサイトの見た目を自由に操るためには、HTML/CSSを深く理解しておく必要があります。

HTMLとCSSの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

JavaScript

JavaScriptは、Webサイトに動的な要素を加えるためのプログラミング言語です。
HTMLとCSSだけでは静的なページしか作れませんが、JavaScriptを使うことで、ポップアップウィンドウの表示、画像の自動切り替え、計算機能の実装などが可能になります。

基礎的な文法やDOM操作（HTML要素の書き換え）などを学ぶことで、より魅力的なサイト制作ができるようになります。

jQuery

jQueryは、JavaScriptをより簡単に記述できるようにしたライブラリです。

以前に比べて使用頻度は減少しつつあると言われていますが、Web制作の現場、特にランディングページやコーポレートサイトの制作では依然として現役で使われています。

複雑なJavaScriptのコードを短い記述で実装できるため、初学者にとってはJavaScriptそのものを深く学ぶ前に、jQueryを使って「動くものを作る楽しさ」を知るのも良い方法です。

ハンバーガーメニューやスライダーなど、よく使われるパーツの実装方法を覚えておくと実務で役立ちます。

デザインに関する知識

コーディングがメインの担当であっても、デザインの基礎知識は持っておくべきです。

配色の基本原則（メインカラー、アクセントカラーなど）、フォントの選び方、レイアウトの4原則（近接、整列、反復、コントラスト）などを学んでおきましょう。

これらの知識があれば、クライアントから「少し修正してほしい」と言われた際にも、デザインを崩さずに適切な対応ができます。

デザインツールの使い方

Webデザインデータを確認し、画像やテキストなどの素材を書き出すために、デザインツールの操作スキルが必要です。

現在、業界標準となっているのは「Figma」です。
ブラウザ上で動作し、共同編集が容易なため、多くの制作現場で採用されています。

また、以前から使われているAdobe PhotoshopやIllustrator、Adobe XDといったツールの基本操作も覚えておくと安心です。

自分でゼロからデザインを作らなくても、画像のトリミングやサイズ変更、カラーコードの取得といった操作は、コーディング作業の中で頻繁に行います。

UI/UXの知識

UI（ユーザーインターフェース）とUX（ユーザーエクスペリエンス）の知識も、Web制作には欠かせません。

「ユーザーが目的の情報に最短でたどり着けるか」「申し込みフォームの入力項目は適切か」といった視点を持つことで、成果の出るWebサイトを作ることができます。

単にかっこいいサイトを作るのではなく、使いやすさを考慮した設計ができる制作者は、クライアントから高く評価されるでしょう。

SEOの知識

SEO（Search Engine Optimization）は、検索エンジン最適化のことです。
作成したWebサイトがGoogleなどの検索結果で上位に表示されるよう、内部構造を整える知識が必要になります。

SEO対策の具体例としては、適切なHTMLタグ（h1、h2など）の使用、ページの読み込み速度の改善、スマートフォン対応（モバイルフレンドリー）などが挙げられます。

クライアントはWebサイトを通じて集客したいと考えているため、SEOを意識したコーディングができることは大きな強みになります。

コミュニケーションスキル

Web制作は一人で完結する作業のように思われがちですが、実際にはクライアントやディレクター、デザイナーとのチームプレイです。

特にフリーランスとして活動する場合、納期管理や報告・連絡・相談（ホウレンソウ）を徹底することで信頼を獲得し、次の仕事につなげることができます。

テキストメッセージでのやり取りも含め、円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

独学でWeb制作を習得するためのロードマップ

独学でWeb制作スキルを身につけるには、計画的な学習が必要です。
闇雲に勉強を始めても、ゴールが見えずに挫折してしまうリスクがあります。

ここでは、未経験者が着実にスキルを習得し、仕事として通用するレベルになるためのステップを紹介します。

周囲からの理解を得る

Web制作の学習を始めてから一定のレベルに達するまでには、一般的に数百時間の学習が必要だと言われています。

働きながら、あるいは家事や育児をしながら学習時間を確保するためには、家族やパートナー、友人の理解と協力が不可欠です。

そのため、休日の遊びを断ったり、家事を分担してもらったりする必要が出てくるかもしれません。

周囲のサポートがあれば、モチベーションが下がった時にも踏ん張ることができます。

独学でWeb制作スキルを習得するまでのスケジュールを立てる

目標とする時期から逆算して、具体的な学習スケジュールを立てましょう。

例えば、「3ヶ月後に最初の案件を獲得する」という目標を立てた場合、最初の1ヶ月でHTML/CSSの基礎、次の1ヶ月でJavaScriptとデザインツールの操作、最後の1ヶ月でポートフォリオ作成、といったように中間目標を設定します。

また、独学は孤独な戦いになりがちです。
学習の進捗が芳しくない時や、わからないことが出てきた時に相談できる相手がいれば心強いでしょう。

必要に応じて、Web制作に詳しい人を探したり、SNSで学習仲間を見つけたりすることも検討してください。

Webデザインについて学ぶ

まずはWebデザインの基礎から学び始めましょう。
いきなりコードを書くのではなく、Webサイトがどのように構成されているかを知ることが大切です。

デザインの原則を学ぶことで、コーディングをする際にも「なぜこうなっているのか」という構造への理解が深まります。

Figmaなどのツールを触りながら、簡単なバナー作成やWebページの模写を行い、ツールの操作に慣れておくことも有効です。

コーディングに欠かせないHTML/CSSを学ぶ

次に、Web制作の核となるHTMLとCSSの学習に取り組みます。

最初は書籍やオンライン学習サービスを使って、タグの意味やプロパティの使い方を一つひとつ理解していきましょう。

見出し、段落、リスト、画像表示といった基本的なタグを覚えたら、次はFlexboxやGridレイアウトを使って要素を配置する方法を学びます。

重要なのは「暗記しようとしないこと」です。
プロのエンジニアでもすべてを暗記しているわけではありません。

Webサイトに動きをつけるJavaScript/jQueryを学ぶ

静的なページの作成ができるようになったら、JavaScriptとjQueryに挑戦します。
変数、関数、条件分岐といったプログラミングの基礎概念を学びつつ、実際にWebサイトでよく使われる動きを実装してみましょう。

例えば、クリックすると開くメニューや、スクロールすると現れるボタンなどが練習課題として適しています。

JavaScriptは奥が深い言語ですが、Web制作の段階では、DOM操作やイベント処理といったフロントエンドの操作に関わる部分を中心に学習すれば十分です。

まずはコピペでも良いので動くものを作り、徐々にコードの意味を理解していくアプローチが効率的です。

お手本となるWebサイトを模写してみる

基礎スキルが一通り身についたら、実践的な練習として「模写コーディング」を行います。
既存のWebサイトを一つ選び、それを自分の力だけで再現してみるトレーニングです。

最初はシンプルな構造のサイトを選び、見た目だけでなく、レスポンシブ対応まで含めて再現を目指します。

その問題を自力で解決する過程こそが、実務に直結するスキルを養います。

検証ツール（デベロッパーツール）を使って、お手本のサイトがどのようなコードで書かれているかを分析しながら進めてください。

オリジナルのポートフォリオを作成する

学習の集大成として、自分自身のポートフォリオサイト（実績紹介サイト）を作成します。

これは、将来クライアントに自分のスキルを証明するための重要な営業ツールとなります。
自己紹介、学習して身につけたスキル、作成した成果物を掲載しましょう。

ポートフォリオを作成する過程で、レンタルサーバーの契約やドメインの取得、FTPソフトを使ったファイルのアップロードといった、Webサイト公開に必要な一連の手順も学ぶことができます。

未経験者にとって、ポートフォリオの質が案件獲得の可否を左右すると言っても過言ではありません。
こだわりを持って作り込みましょう。

Web制作の独学に活用すべきもの

独学を効率的に進めるためには、質の高い教材やサポートツールの活用が欠かせません。

ここでは、独学におすすめの学習リソースを紹介します。

書籍

体系的に知識を整理するには、書籍が最適です。
ネット上の情報は断片的になりがちですが、書籍であれば基礎から応用まで順序立てて学ぶことができます。

HTML/CSS、デザイン、JavaScriptなど、各分野で評判の良い入門書を1冊ずつ手元に置いておくと、辞書代わりにもなり便利です。

電子書籍も便利ですが、コードを書きながら参照しやすい紙の書籍も学習には適しています。

オンライン学習サイト

Web制作の学習は、ただ書籍を読んでインプットだけをしていればいいわけではありません。
きちんと手を動かして、アウトプットすることも必要です。

したがって、「Progate」や「ドットインストール」といったオンライン学習サイトを使うことも欠かせません。

「Progate」は、環境構築不要でブラウザのみで簡単に利用することができます。

「ドットインストール」は、環境構築が必要になる分手間がかかるものの、逆に言えば環境構築のスキルが身に付くとも言えるので、こちらも是非利用すべき学習教材です。

どちらを使うべき悩む、という方もいると思いますので、その際は以下の記事を参考にしてください。

メンター

独学の最大の壁は「エラーが解決できずに詰まること」です。
何時間も悩んだ末に、実は単純なスペルミスだったということも珍しくありません。

こうした時間のロスを防ぐために、現役エンジニアに質問できるメンターサービスを利用するのも一つの手です。

コードのレビューをしてもらったり、学習の方向性を相談したりすることで、迷いなく最短ルートを進むことができるでしょう。

習得したWeb制作スキルを活かして副業で稼ぐ方法

スキルを身につけただけでは収入にはなりません。
実際に案件を獲得し、仕事を完遂して初めてWeb制作者としてのキャリアがスタートします。

最初はハードルが高いと感じるかもしれませんが、まずは副業から始め、段階を踏んで実績を作っていけば、徐々に高単価な案件も獲得できるようになります。

この項目では、身に付けたWeb制作スキルを活かせて副業で稼ぐための方法について解説していきます。

クラウドソーシングサイトで実績を作る

最初の案件獲得には、「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサイトの利用がおすすめです。

なぜならば、クラウドソーシングサイトには、初心者向けの案件が多く掲載されているからです。

まずはバナー制作やコーディングのみの修正案件など、単価が安くても確実にこなせる案件に応募し、評価と実績を積み重ねましょう。

「お金をもらいながら学ばせてもらう」くらいの気持ちで、丁寧な対応を心がけることが大切です。

副業エージェントで案件を紹介してもらう

ある程度の実績ができたら、ITプロフェッショナル向けの副業エージェントに登録するのも有効です。

エージェント経由の案件は、クラウドソーシングに比べて単価が高い傾向にあり、継続的な案件も多いため、安定した収入につながりやすくなります。

ポートフォリオや職務経歴書を充実させ、エージェントとの面談でしっかりとスキルをアピールしましょう。

代表的な副業エージェントとしては、「Midworks」などがあります。

さらにスキルを高めるためにスクールへ通う

独学で基礎を身につけ、ある程度の案件はこなせるようになっても、さらに高単価な案件に挑戦するには、独学だけでは限界を感じることがあるかもしれません。

その場合は、より専門的で高度なスキルを学ぶために、プログラミングスクールへの通学を検討するのもアリです。

Web制作ならば、「デイトラ」のような実践重視かつコスパの良いスクールがおすすめです。

まとめ

Web制作を独学で習得することは、決して不可能なことではありません。

Web制作の流れを理解し、HTML/CSSやデザインツールの基礎を固め、模写やポートフォリオ作成を通じて実践力を養うというロードマップに沿って進めば、未経験からでも一定のスキルを身につけることができます。

ただ、より高いスキルを身に付けるためには、専門的なスクールの利用を検討することもおすすめします。