クラウドエンジニアを目指している人、もしくはすでにクラウドエンジニアとして働いている人の中には、「クラウドエンジニアで年収1,000万円を達成することは可能だろうか?」という疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、クラウドエンジニアが年収1,000万に達することはできるのかについてや、年収を上げるためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
【本記事の信頼性】
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そもそもクラウドエンジニアが年収1,000万円を達成することは可能か?
結論から言えば、クラウドエンジニアが年収1,000万円を達成することは十分に可能です。
ただし、その実現方法はキャリアパスによって大きく異なります。
現在、企業のDX推進やクラウド移行が加速する中で、クラウドエンジニアは需要が高い職種の一つとなっています。
この高い需要は、必然的に優秀な人材への報酬を押し上げる要因となっており、適切なスキルと経験を持つエンジニアであれば、年収1,000万円は決して手の届かない目標ではありません。
年収1,000万円を実現する道筋はいくつか存在します。
最も確実性が高いのは、「フリーランスとしての独立」でしょう。
企業と直接契約を結ぶことで、中間マージンを削減し、自身のスキルに見合った報酬を得ることが可能になります。
また、正社員として働く場合でも、技術力を極めてスペシャリストとして活躍したり、キャリアアップしたりすることで、年収1,000万円の大台に乗せることも現実的です。
このあたりについては、後ほど詳しく解説します。
クラウドエンジニアという職種は、今後さらに価値が高まっていくでしょう。
AI、IoT、ビッグデータなどの先端技術とクラウドの融合が進む中、これらの技術を使いこなせるエンジニアの市場価値は確実に上昇しますので、着実にスキルを積み重ねていけば、年収1,000万円という目標にどんどん近づけるはずです。
クラウドエンジニアの平均年収
クラウドエンジニアの年収は雇用形態によって大きく異なり、正社員、派遣社員、フリーランスのそれぞれに特徴があります。
ここでは、2025年の最新データをもとに、各雇用形態別の平均年収を詳しく見ていきましょう。
正社員の平均年収
正社員として働くクラウドエンジニアの年収は、「約595万円」となっています。
月給で換算すると48万円、初任給は23万円程度が相場となっており、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。
求人サイト大手である「doda」の平均年収ランキングでは、クラウドエンジニアと専門領域が比較的近い職種の平均年収が以下のようになっています。
セキュリティエンジニア | 477万円 |
サーバーエンジニア | 464万円 |
ネットワークエンジニア | 447万円 |
全体の給与幅としては346〜1,059万円と比較的広いため、勤務先や経験・求められるスキルによっても大きな差があると見受けられます。
正社員クラウドエンジニアの年齢別の平均年収は、以下のように推移しています。
年齢 | 平均年収 | 月収 | 賞与 |
---|---|---|---|
20〜24歳 | 339万円 | 25.4万円 | 35.1万円 |
25〜29歳 | 445万円 | 30.6万円 | 77.2万円 |
30〜34歳 | 533万円 | 35.8万円 | 103万円 |
35〜39歳 | 573万円 | 38.7万円 | 108万円 |
このように、経験を積むにつれて着実に年収が上昇していく傾向が見られます。
なお、上記はあくまで平均であるため、正社員で年収1,000万円に到達しているクラウドエンジニアももちろん存在します。
派遣社員の平均年収
派遣社員のクラウドエンジニアの時給と年収換算は以下のとおりです。
※フルタイム:1日8時間、月20日勤務で計算
雇用形態 | 平均時給 | 年収換算(フルタイム) |
---|---|---|
派遣社員(クラウドエンジニア) | 2,788円 | 約535万円 |
派遣社員(エンジニア全般) | 2,087円 | 約400万円 |
パート・アルバイト | 1,503円 | 約288万円 |
なお、地域別の派遣エンジニアの平均時給は、地域によって大きな差があります。
地域 | 平均時給 |
---|---|
関東地方 | 2,142円 |
全国平均 | 2,087円 |
九州・沖縄地方 | 1,624円 |
派遣社員の場合、正社員と比べて年収は若干低めになりますが、柔軟な働き方ができることや、様々なプロジェクトで経験を積めるというメリットがあります。
特に、クラウドエンジニアとしての実務経験を積みたい方にとっては、派遣社員として働きながらスキルアップを図ることも有効な選択肢となるでしょう。
フリーランスの平均年収
正社員や派遣社員に比べると、フリーランスの方が平均年収は高くなります。
フリーランスのクラウドエンジニアの平均単価は76.6万円(年収換算919万円)となっており、かなり高い水準となっています。
正社員の場合、企業が社会保険料や福利厚生費などをすべて負担してくれますが、フリーランスはそういった補助がないため、手取りとしては多くなる傾向にあるのです。
その分フリーランスは、自身で保険料や年金、税金などを支払う必要があるため、年収から引かれるものも多いと覚悟しておくべきでしょう。
なぜクラウドエンジニアは平均年収が高いのか
クラウドエンジニアの年収が他のIT職種と比べて高い水準にあるのには、明確な理由があります。
ここでは、クラウドエンジニアの年収を押し上げている4つの要因について解説します。
システムの基盤を支える重要な仕事だから
一般的にITサービスやシステムを開発する際にはインフラの構築が必要なため、クラウドエンジニアをはじめとしたインフラ構築に携わる職種は、エンジニア職の中でも需要が高いです。
クラウドエンジニアは、企業の重要なシステムやデータを管理する基盤を構築・運用する責任を担っています。
システムの停止や障害は企業に大きな損失をもたらすため、高度な技術力と責任感が求められるのです。
こうした重要性の高さが、クラウドエンジニアの年収の高さに反映されています。
また、24時間365日稼働するシステムの安定性を保つため、トラブル対応能力や予防保守の知識も必要となり、これらの専門性への評価も高い年収につながっていると言えるでしょう。
クラウドの需要が高まっているから
総務省による企業でのクラウドサービス利用状況の調査結果によると、年々利用が増えていていることがわかり、2017年から2020年までで10%以上も増加しています。
近年では、その伸び率はさらに上がっています。
今まではオンプレミスサーバーやネットワーク機器の設置など物理的なインフラを構築して、ITサービスやシステムの開発が進められてきましたが、近年はコストや利便性を考えてクラウドサーバーの活用が主流となってきています。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、クラウドサービスの導入は必須となっている状況です。
特に、AWS、Azure、GCPといった主要なクラウドプラットフォームを活用できるエンジニアの需要は年々高まっており、この需要の増加が年収の上昇につながっています。
クラウドに強い人材が不足しているから
クラウドエンジニアは、言うまでもなくクラウドの知識が必要ですが、インフラ全般に関連する知識も必要です。
インフラの知識は本来、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアにのみ求められる要件ですが、クラウドエンジニアはこれらの知識も必要とされるため希少性が高いのです。
クラウド技術は比較的新しい分野であり、従来のインフラエンジニアがクラウド技術を習得するには時間と努力が必要になります。
そのため、増加傾向にある需要に対してクラウドエンジニアの母数が少ないため、クラウドエンジニアの年収は高いという状況が続いています。
特に、複数のクラウドプラットフォームに精通したマルチクラウドエンジニアは、さらに希少価値が高くなります。
インフラだけでなくプログラミングスキルも求められるから
クラウドエンジニアは、クラウドサービスの知識以外にプログラミングスキルも必要です。
クラウドは幅広い業務と関わるため、それに関連するプログラミングスキルが求められ、Infrastructure as Code(IaC)やCI/CDパイプラインの構築など、コードでインフラを管理する能力が必要となります。
PythonやGoなどのプログラミング言語を使った自動化スクリプトの作成や、TerraformやAnsibleなどのツールを使った構成管理も重要なスキルです。
このように、従来のインフラエンジニアに加えて、開発者としてのスキルも求められることが、クラウドエンジニアの市場価値を高め、結果として高い年収につながっています。
【1,000万円も可能】クラウドエンジニアが年収を上げるためのポイント
クラウドエンジニアが年収を上げるには、以下のような点を意識すべきです。
- マネジメントスキルを学ぶ
- 難関資格を取得する
- オンプレミスからクラウドへ移行する際に必要なスキル全般を身に付ける
- プログラミングスキルを高める
- コミュニケーションスキルを磨く
これらのポイントを意識して努力することで、年収1,000万円は十分到達可能です。
マネジメントスキルを学ぶ
技術力だけでなく、プロジェクトやチームを管理する能力は年収を大きく左右します。
レバテックフリーランスの調査では、PM(プロジェクトマネジャー)の平均月額単価は77万4,697円と、クラウドエンジニアを上回る水準となっています。
マネジメントスキルを身につけるには、まず小規模なプロジェクトのリーダーから目指すようにしましょう。
プロジェクトリーダーとなり、チームメンバーのタスク管理、進捗確認、ステークホルダーとの調整など、実践を通じて経験を積むべきです。
難関資格を取得する
クラウドに関する難関資格は、自分の専門性の証明として年収アップに直結します。
特に、以下のような資格は市場価値が高く評価されています。
■AWS認定ソリューションアーキテクト・プロフェッショナル
■AWS認定DevOpsエンジニア・プロフェッショナル
■AWS認定セキュリティ・スペシャリティ
■Azure Solutions Architect Expert
■Google Cloud Professional Cloud Architect
■Kubernetes認定資格(CKA、CKAD)
これらの資格取得は簡単なものではありませんが、フリーランスの場合、取得後は案件単価が10〜20%上昇するケースも珍しくありません。
その他、クラウドエンジニアを含めたインフラエンジニア向けのおすすめ資格については、以下の記事で詳しく解説しています。

オンプレミスからクラウドへ移行する際に必要なスキル全般を身に付ける
多くの企業が直面している「クラウド移行」は、クラウドエンジニアにとって大きなビジネスチャンスです。
移行プロジェクトは規模が大きく、予算も潤沢なケースが多いため、高単価案件として期待できます。
移行に必要なフェーズやスキルは、「計画・設計」「実装・移行」「最適化・運用」の3つに大別されます。
- 計画・設計:既存システムの調査から移行戦略の立案、コスト試算
- 実装・移行:実際のデータ移行やシステム構築
- 最適化・運用:クラウド環境での性能改善やコスト最適化
これらの各段階を担当できるスキルを身に付ければ、フリーランスならば大規模な高単価案件を受注できますし、正社員でも重要なポジションを任されて後々の年収アップに期待できるでしょう。
プログラミングスキルを高める
クラウドエンジニアが年収を上げるには、プログラミングスキルの習得が欠かせません。
なぜなら、現在のクラウド環境では、手作業でサーバーを設定するのではなく、プログラムでインフラを管理することが主流になっているからです。
まず身につけるべきはPythonです。
Pythonは初心者にも学びやすい言語でありながら、クラウド環境での自動化処理に広く使われています。
例えば、毎日のバックアップ作業を自動化したり、システムの監視を効率化したりできます。
プログラミングができるクラウドエンジニアは、できないエンジニアと比べて月額単価で10〜20万円の差がつくことも珍しくありません。
最初は簡単なスクリプトから始めて、徐々にスキルを高めていくことが大切です。
コミュニケーションスキルを磨く
技術力が高くても、それを適切に伝えられなければ評価されません。
年収1,000万円を超えるクラウドエンジニアは、例外なく優れたコミュニケーション能力を持っています。
例えば、新しいクラウドシステムを自社に導入する際、経営者には「年間で1,000万円のコスト削減ができる」と伝えたり、営業部には「クライアントへの提案スピードが倍になる」と説明したり、といったように、相手によって伝え方を変えることもコミュニケーションスキルの一つです。
なお、コミュニケーション力を高める一番の方法は「練習」です。
社内の勉強会で5分でも発表したり、学んだことをブログに書いたりすることから始めてみましょう。
エンジニアにとって、コミュニケーションスキルは欠かせないものなのです。

年収1,000万円を超えるクラウドエンジニアになる方法
スキルアップだけでは、年収1,000万円の壁を越えることが難しいこともあります。
ここでは、年収1,000万円超えを現実的にする具体的な方法について解説していきます。
フリーランスになる
同じクラウドエンジニアでも、正社員とフリーランスとでは年収に大きな差が出ます。
平均年収で見ると、2倍近い差があるため、フリーランスとして独立することで、大幅に年収を上げられる可能性があるでしょう。
実際、フリーランスのクラウドエンジニアで、年収1,000万円以上を稼いでいる人は数多く存在します。
フリーランスとして成功するためには、技術力はもちろん、営業力や自己管理能力も必要です。
高単価案件を扱うフリーランスエージェントを利用すれば、自身で営業活動を行う必要がなく、安定して高単価案件を獲得できるでしょう。
ただし、フリーランスは収入が不安定になるリスクもあるため、十分な準備と計画が必要です。
正社員として経験を積み、人脈を構築してから独立することをおすすめします。
より良い条件の企業を求めて転職を繰り返す
転職回数が多いことをネガティブに考える人もいるかもしれません。
しかしIT業界では、転職によるキャリアアップが一般的です。
特にクラウドエンジニアのような需要の高い職種では、転職により年収を大幅に上げることが可能です。
したがって、転職回数に過敏にならず、自身の価値を正当に評価してくれる会社があれば、迷わず転職していくべきです。
ただし、あまりに短期間での転職を繰り返すと、企業から敬遠される可能性もあるため、その点は要注意です。
転職する際は、各企業で確実に実績を残してから次のステップに進むことが大切です。
マネジメント職や役員を目指す
年収1,000万円を達成する方法として、「マネジメント職への昇進」も挙げられます。
ただし、単に「管理職になる」のではなく、技術を理解しているマネージャーとして価値を発揮することが重要です。
まず目指すべきは「テックリード」や「チームリーダー」といった、5〜10人程度の小規模チームを率いるポジションです。
ここで実績を積めば、部長やマネージャーといった、より大きな組織を管理する立場へとステップアップできます。
また、マネジメント経験を積んだ後は、自社の役員になったり、複数の企業でCTOやアドバイザーを務めたりするといった方法もあります。
クラウドエンジニアの将来性
クラウド技術の急速な進化と普及に伴い、クラウドエンジニアの需要はますます高まっています。
2023年(令和5年)に発表された総務省の情報通信白書によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は72.2%(2022年)となり、前年の70.4%から1.8ポイント上昇しました。
今後もこの傾向は続くと予想され、クラウドエンジニアの需要はさらに増加するでしょう。
特に、AI・機械学習、IoT、ビッグデータ分析などの先端技術とクラウドの融合が進む中、これらの技術に対応できるクラウドエンジニアの価値はますます高まっています。
また、セキュリティやコンプライアンスへの対応、コスト最適化、パフォーマンスチューニングなど、クラウド環境特有の課題に対処できる専門家の需要も増加しています。
こうしたクラウドエンジニアは、年収1,000万円を超える可能性が非常に高いです。
まとめ:クラウドエンジニアならば年収1,000万円は現実的
クラウドエンジニアとして年収1,000万円を達成することは、十分に現実的な目標です。
正社員の平均年収は約595万円ですが、スキルアップやキャリアアップ、フリーランスへの転向などにより、年収1,000万円を超えることは珍しくないでしょう。
特にフリーランスならば、実力次第で収入は青天井となるので、年収1,500万円、2,000万円といったレベルを目指すのも不可能ではありません。
もちろん、そこまで到達するには人並外れた努力とスキルが必要ですが、エンジニアとしての高みを目指す場合には、1,000万円を大きく超える年収を目標にするのもよいでしょう。