エンジニアはもちろん、ITの現場で働いている人や、これからエンジニアを目指そうとしている人の多くが、「SQL」という言葉を聞いたことがあるはずです。
しかし、具体的にSQLがどんなものなのかまではわからず、「SQLとは何かを簡単に知りたい」と考えている方も少なくないでしょう。
実は、SQLはプログラミング言語ではありません。
プログラミング言語よりも学習難易度の低い、初心者でも学びやすい非常に便利なデータベース言語です。
この記事では、「SQLとは何か」という基本的な概念から、プログラミング言語との明確な違い、具体的な活用例、学習するメリットまでをわかりやすく解説していきますので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
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SQLとは何かをわかりやすく簡単に解説
SQLは、データベースを扱う上で欠かせないスキルですが、エンジニア以外には馴染みが薄いかもしれません。
そこでこの項目では、SQLの基本的な概念から歴史、そして学習のしやすさまで、専門知識がない方にも理解しやすいように簡単に解説していきます。
SQLとは
SQLとは、データベースに蓄積されたデータを効率的に操作するためのデータベース操作言語です。
「Structured Query Language」の略称であり、日本語では「構造化問い合わせ言語」と訳されます。
具体的には、データベースに対してデータの追加や更新、検索、削除といった命令を出すために使われます。
SQLは国際標準化機構(ISO)によって規格が定められているため、特定のデータベース製品に依存しない汎用性の高さが特徴です。
基本的な命令文を一度覚えてしまえば、さまざまなデータベースシステムで応用が利きます。
データを活用する第一歩として、SQLは非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。
そもそもデータベースとは
SQLを理解する上で、まず「データベース」が何であるかを知る必要があります。
データベースとは、特定の目的のために収集されたデータを、コンピューター上で整理・蓄積し、効率的に利用できるようにした仕組みのことです。
簡単にいえば、大量の情報を保管しておくための電子的な「データの倉庫」や「整理棚」をイメージするとわかりやすいでしょう。
データベースを利用することで、紙の書類やExcelファイルで管理するのに比べ、格段に高速な検索や複雑な条件でのデータ抽出が可能になります。
企業の顧客情報やECサイトの商品在庫、売上履歴など、現代社会のあらゆる場面でデータベースは活用されており、SQLはその倉庫から必要な情報を取り出すための「鍵」や「指示書」の役割を果たします。
SQLが生まれた歴史
SQLの原型は、1970年代にIBMの研究者によって開発された「SEQUEL(Structured English Query Language)」という言語です。
当時、リレーショナルデータベースという新しいデータの管理モデルが提唱され、そのモデルを人間が直感的に操作できる言語として考案されました。
つまり、SQLはリレーショナルデータベースと共に発展してきた歴史を持ちます。
その後、1979年にリレーショナル・ソフトウェア社(現在のオラクル社)が商用のSQL搭載データベースをリリースしたことで、SQLは広く普及し始めました。
1986年には米国国家規格協会(ANSI)で、翌年には国際標準化機構(ISO)で標準規格として制定され、データベース言語としての地位を確立しました。
現在も改訂が続けられており、時代のニーズに合わせて進化し続けています。
SQLで操作できる主なデータベース
SQLは標準化された言語であるため、多種多様なデータベース管理システム(DBMS)で利用できます。
これらのシステムは、それぞれ特徴や得意分野が異なりますが、SQLという共通の言語で操作できる点が大きなメリットです。
現在、SQLでの操作が可能な、市場で利用されている主なデータベースには、以下のようなものがあります。
種類 | データベース名 | 特徴 |
オープンソース | MySQL | 世界で広く普及しているオープンソースのデータベース。Webアプリケーションで広く採用されています。 |
オープンソース | PostgreSQL | 高機能で拡張性が高いのが特徴。複雑なデータ処理や大規模システムに向いています。 |
商用 | Oracle Database | 米オラクル社が開発。大規模システムや金融機関などで高い信頼性と実績を持ちます。 |
商用 | Microsoft SQL Server | 米マイクロソフト社が開発。Windows環境との親和性が高く、使いやすさに定評があります。 |
クラウド | Amazon RDS, Google Cloud SQL | クラウド上で提供されるデータベースサービス。インフラ管理の手間を削減できるのが利点です。 |
データベースのシェアに関する信頼性の高い統計は調査期間によって変動が大きいため、ここでは代表的な製品を挙げるに留めます。
SQLは学習難易度が低く初心者でも学びやすい
SQLは、数あるITスキルの中でも比較的学習難易度が低いとされています。
その理由は、構文が非常にシンプルで、英語の文法に似ているためです。
例えば、「社員テーブルから東京都在住の社員を探す」といった処理を、SELECT * FROM employees WHERE address = '東京都';
のように直感的な単語を組み合わせて記述できます。
また、SQLは後述するプログラミング言語とは異なり、「何が欲しいか」を宣言するだけで済みます。
データを取得するための具体的な手順(アルゴリズム)を細かく記述する必要がないため、プログラミング経験がない初心者でも目的を達成しやすいでしょう。
初心者の場合、まずはSQLの資格取得から目指すのもよいかもしれません。
SQLはプログラミング言語ではない
SQLについて解説する際、非常に重要なポイントがあります。
それは、「SQLは厳密にはプログラミング言語ではない」という点です。
しばしばSQLはプログラミング言語の一種として紹介されることがありますが、その目的や構造はJavaやPythonといった汎用プログラミング言語とは根本的に異なります。
プログラミング言語は、アプリケーションの開発や複雑な計算、条件分岐など、コンピュータに対するあらゆる処理を記述するために設計されています。
一方、SQLの役割はデータベースとの対話、つまりデータの操作に特化しています。
したがって、SQL単体でWebアプリケーションを作成したり、高度な数値計算を行ったりすることはできません。
この違いを理解することが、SQLの役割を正しく把握するための鍵となります。
SQLとプログラミング言語の違い
SQLとプログラミング言語は、どちらもコンピュータに指示を与える言語ですが、その性質には明確な違いが存在します。
言語のタイプや主な用途、実行形式、そして汎用性という4つの観点から、両者の違いを詳しく見ていきましょう。
言語タイプ
SQLとプログラミング言語の最も本質的な違いは、言語のタイプにあります。
SQLは「宣言型言語」に分類される一方、多くのプログラミング言語は「手続き型言語」です。
宣言型言語(SQL)
「何が欲しいか(What)」という結果を宣言する形で記述します。
例えば、「顧客リストが欲しい」と命令すれば、データベースシステムがその結果を得るための最適な手順を自動的に考えて実行します。
開発者は具体的な手順を記述する必要がありません。
手続き型言語(PythonやJavaなど)
「どのように処理するか(How)」という手順を、一つひとつ順を追って記述する必要があります。
データを取得し、それを加工し、条件によって処理を分岐させる、といった一連のアルゴリズムを具体的にコードで表現しなくてはなりません。
用途
それぞれの言語が作られた目的、つまり主な用途も大きく異なります。
SQLは特定の領域に特化しているのに対し、プログラミング言語は汎用性を持ちます。
SQLの用途
データベースに格納されたデータの操作(検索、追加、更新、削除)や管理に特化しています。
データの抽出や集計、分析といったタスクにその能力を発揮してくれます。
プログラミング言語の用途
Webアプリケーション、スマートフォンアプリ、ゲーム、業務システム、人工知能(AI)の開発など、考えられるほとんどすべてのソフトウェア開発に使用されます。
データベース操作は、プログラミング言語で書かれたアプリケーションの一機能としてSQLを呼び出す形で行われるのが一般的です。
実行形式
コードがコンピュータによって実行されるまでの形式も違います。
SQLの実行形式
多くの場合、SELECT
文などの命令を一つ実行すると、すぐに結果が返ってくる「対話的」な形式で利用されます。
分析者が試行錯誤しながらデータを探索したり、必要な情報を単発で取り出したりするのに向いています。
プログラミング言語の実行形式
記述されたソースコード全体を、一度に機械語に翻訳(コンパイル)したり、一行ずつ解釈しながら実行(インタプリタ)したりします。
完成した一連のプログラムとして体系的に実行されるのが基本です。
汎用性
これまでの違いからも分かるように、両者の汎用性には大きな差があります。
SQLの汎用性
データベース操作という分野においては絶大な力を持ちますが、その範囲は限定的です。
SQLだけでソフトウェアを完成させることはできません。
プログラミング言語の汎用性
ライブラリやフレームワークといった拡張機能を組み合わせることで、非常に幅広い用途に対応できます。
アイデア次第でさまざまな機能を実現できる高い汎用性が特徴といえます。
SQLの種類
SQLで実行する命令は、その役割に応じて大きく3つの種類に分類されます。
それぞれの言語は目的が異なり、データベースの管理や操作のさまざまな側面を担っています。
ここでは、以下の3つの種類について解説していきます。
- DDL(データ定義言語)
- DCL(データ制御言語)
- DML(データ操作言語)
DDL(データ定義言語)
DDLは「Data Definition Language」の略で、データベースの構造そのものを定義するための言語です。
データの入れ物であるテーブルや、データを効率的に検索するためのインデックスといった、データベースオブジェクトを作成、変更、削除する際に使用します。
家を建てる際の設計図を作成したり、部屋の間取りを変更したりするイメージに近いでしょう。
CREATE
:データベースやテーブルを新しく作成します。ALTER
:既存のテーブルの構造(列の追加や削除など)を変更します。DROP
:作成したデータベースやテーブルを削除します。
DCL(データ制御言語)
DCLは「Data Control Language」の略で、データベースへのアクセス権限を管理・制御するための言語です。
誰がどのデータにアクセスできるか、またどのような操作(閲覧のみ、更新可能など)を許可するかを設定します。
データベースのセキュリティを確保する上で非常に重要な役割を果たし、オフィスの入退室管理や、特定の部屋への立ち入り許可を管理する際に欠かせません。
GRANT
: ユーザーに対して特定の操作権限を与えます。REVOKE
: ユーザーから一度与えた権限を剥奪します。
DML(データ操作言語)
DMLは「Data Manipulation Language」の略で、テーブルに格納されている具体的なデータを操作するための言語です。
SQLを使用する中で最も頻繁に使われるのが、このDMLといえるでしょう。
データの検索や追加、更新、削除といった日常的な操作はすべてDMLに分類されます。
図書館で本を探したり、新しい本を棚に追加したり、古い本を廃棄したりする作業に相当します。
SELECT
: テーブルからデータを検索・抽出します。INSERT
: テーブルに新しいデータを追加します。UPDATE
: 既存のデータを更新します。DELETE
: 既存のデータを削除します。
SQLでできること
SQLを学習すると、データベースに対して具体的にどのような操作ができるようになるのでしょうか。
SQLの能力は多岐にわたりますが、ここでは特に使用頻度の高い5つの基本的な機能を紹介します。
これらの操作を組み合わせることで、単なるデータ管理に留まらず、データに基づいた分析や洞察を得ることが可能になります。
データの検索・抽出
SQLの最も基本的かつ強力な機能は、データベースの中から必要な情報だけを自在に検索・抽出することです。
SELECT
文とWHERE
句を組み合わせることで、「先月の売上が100万円を超えた商品」や「東京都在住で20代の顧客」といった、特定の条件に合致するデータだけを瞬時に取り出せます。
複数のテーブルを結合(JOIN)すれば、顧客情報と購入履歴を結びつけて分析することも可能です。
データの追加・更新・削除
データベースの状態を常に最新に保つための操作もSQLの重要な役割です。
INSERT
文を使えば新しい会員情報や取引データをテーブルに追加でき、UPDATE
文で顧客の住所変更などの情報を更新します。
また、DELETE
文により、不要になったデータを安全に削除することが可能です。
これらの操作によって、データの整合性と鮮度が保たれるのです。
テーブル作成
SQLは、データを格納するための「テーブル(表)」そのものを設計し、作成する機能も持っています。
CREATE TABLE
文を用いて、どのような列(カラム)を持ち、各列にどのような種類のデータ(数値、文字列、日付など)を格納するかを定義します。
例えば、「商品管理テーブル」として「商品ID」「商品名」「価格」「在庫数」といった列を定義することで、データを構造化して管理するための基盤を築きます。
データの集計
SQLは、単にデータを取り出すだけでなく、その場で集計や簡単な分析を行うことも得意です。
GROUP BY
句を使うことで、特定の項目(例えば、部署や商品カテゴリ)ごとにデータをグループ化し、COUNT
(件数)、SUM
(合計)、AVG
(平均)といった集計関数を適用できます。
これにより、「各部署の人件費の合計」や「商品カテゴリごとの平均売上」といった、ビジネスに直結する指標を簡単に算出できます。
アクセス権限の管理
企業が扱うデータには、機密情報や個人情報が含まれることも少なくありません。
SQLには、ユーザーごとにデータベースへのアクセス権限を細かく設定する機能があります。
GRANT
文やREVOKE
文を用いることで、「Aさんには閲覧権限だけを与え、Bさんにはデータの更新権限も与える」といった制御が可能です。
この機能によって、データのセキュリティを担保し、安全なデータ管理を実現します。
SQLを学ぶメリット
SQLスキルを習得することは、ITエンジニアに限らず、現代のビジネスパーソンにとって大きな強みとなります。
データを効率的に扱い、ビジネス上の価値に変換する能力は、多くの職種で求められているからです。
ここでは、SQLを学ぶことで得られる具体的なメリットを3つ紹介します。
大量のデータを高速に扱えるようになる
ビジネスの現場で広く使われているExcelなどの表計算ソフトは、手軽で便利な一方、扱えるデータ量には限界があります。
データが数万行を超えると動作が著しく遅くなったり、ファイルが開けなくなったりするケースも少なくありません。
それに対して、SQLとデータベースは、数百万、数千万件、あるいはそれ以上の大規模なデータを高速に処理することを前提に設計されています。
SQLを習得すれば、Excelでは現実的に不可能な量のデータをストレスなく集計・分析できるようになり、より規模の大きなデータに基づいた正確な分析・洞察ができるでしょう。
キャリアパスが広がる
SQLは、特定の職種だけのものではありません。
データを扱うあらゆる職種でSQLスキルは重宝され、キャリアの選択肢を大きく広げます。
例えば、マーケターであれば顧客データを直接分析して効果的な施策を立案できますし、営業企画担当者であれば売上データを多角的に分析して戦略を立てられます。
もちろん、データアナリストやデータサイエンティストといったデータ専門職を目指す上では、SQLは必須の基礎スキルです。
非エンジニア職であってもSQLを使いこなせる人材は市場価値が高く、多様なキャリアパスを描くことが可能になります。
需要の高い「データベースエンジニア」を目指すこともできる
SQLの知識を深め、専門性を高めることで、「データベースエンジニア」という需要の高い専門職を目指す道も開けます。
データベースエンジニアは、データベースの設計、構築、運用、パフォーマンスチューニングなどを専門に担う技術者です。
あらゆるITシステムの根幹を支えるデータベースの専門家は、DXの推進やビッグデータ活用の流れの中で、ますます重要性が増しています。
データベースエンジニアは、高い年収を得ることも期待できるため、データベースエンジニアへのキャリアチェンジの道が開けることは大きなメリットだと言えます。
まとめ
以上、SQLの特徴や、SQLがプログラミング言語ではないこと、SQLの種類、SQLを学ぶメリットなどについてわかりやすく解説してきました。
SQLは、英語に似たシンプルな構文で学習しやすく、初心者でも取り組みやすいスキルです。
それでいて、大量のデータを高速に扱い、ビジネスに不可欠なデータの検索、集計、管理を行うことができます。
SQLは職種を問わず多くの人にとって価値あるスキルですので、興味がある場合は、是非積極的に習得してみましょう。