モダンなWeb開発の世界で、ReactとNext.jsは非常に人気の高い技術です。
どちらもJavaScriptをベースにしており、インタラクティブで高速なWebアプリケーションを構築するために用いられます。
しかし、両者の関係性や具体的な違いを正確に理解している人は少ないかもしれません。
そこでこの記事では、ReactとNext.jsの基本的な概念から、それぞれの技術的な違い、メリット・デメリットまでを詳しく解説していきますので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
- 自らも地元密着型のプログラミングスクールを運営
受講生から評判の良いプログラミングスクール
スクール |
特徴 |
受講料金 |
大手比較サイトで4年連続人気NO.1!受講生からの評判も非常に高く、Web系のエンジニアを目指すならRUNTEQ一択。 | 657,000円 (最大約53万円の給付金が適用される) |
|
月単価80万円以上の現役エンジニア講師による指導!一度入会すればサポートは半永久的。 | 498,000円 |
|
格安で質の高いWeb制作スキルを習得したい人におすすめ!業界最安級の料金でありながら、コミュニティやサポートが充実。 | 129,800円~ |
|
完全無料でプログラミングが学べる貴重なスクール!最短1ヶ月で卒業可能。ゼロスク運営会社への就職もできる。 | 完全無料 |
|
長期間に渡って学習し、希少人材を目指す人に最適なスクール!受講料は高いものの、高収入を得られる人材を目指せる。 | 96~132万円 |
Reactとは
Reactは、Meta社(旧Facebook社)によって開発された、ユーザーインターフェースを構築するためのJavaScriptライブラリです。
Webサイト上でユーザーが目にするボタンやフォーム、メニューといった部品を作成し、管理することに特化しています。
Reactの最大の特徴は、「コンポーネントベース」という考え方です。
UIを「コンポーネント」と呼ばれる独立した小さな部品に分割し、それらをプラモデルのように組み合わせて一つの大きなアプリケーションを作り上げます。
この手法により、コードの再利用性が高まり、複雑なUIでも効率的に開発・保守できるようになるのです。
また、「仮想DOM(Virtual DOM)」という仕組みを採用している点も特筆すべきです。
これにより、画面上の変更箇所だけを効率的に更新できるため、非常に高速な描画性能を実現します。
Next.jsとは
Next.jsは、Reactをベースにして作られたオープンソースのWebアプリケーションフレームワークです。
開発元はVercel社で、Reactの機能を拡張し、より大規模で本格的なWebアプリケーション開発を効率的に行うための様々な機能を提供してくれます。
ReactがUI構築の「部品」を提供するライブラリであるのに対し、Next.jsはアプリケーション開発に必要な骨組みや規約、便利な機能をひとまとめにした「開発キット」のような存在です。
例えば、サーバーサイドレンダリング(SSR)や静的サイト生成(SSG)といった、Webサイトの表示速度やSEO(検索エンジン最適化)を向上させるための高度な機能を標準で搭載しています。
Reactの持つ強力なUI構築能力を活かしつつ、開発者が直面しがちな課題を解決するための機能が予め用意されているのがNext.jsの大きな強みです。
ReactとNext.jsの違いを比較
ReactとNext.jsは密接な関係にありますが、その役割と機能には明確な違いが存在します。
ここでは、両者についての違いを紹介していきます。
ライブラリかフレームワークかの違い
最も根本的な違いは、Reactが「ライブラリ」であるのに対し、Next.jsは「フレームワーク」であるという点です。
React(ライブラリ) | Next.js(フレームワーク) | |
役割 | UI構築に特化した部品集。 | Webアプリケーション開発の骨組み全体。 |
自由度 | 高い。ルーティングなど他の機能は別途ライブラリを組み合わせる必要がある。 | 低い。決められた規約やディレクトリ構造に従って開発を進める。 |
開発の流れ | 開発者がライブラリを呼び出して使う。 | フレームワークが開発者の書いたコードを適切なタイミングで呼び出す。 |
ReactはあくまでUIを作るための道具の一つであり、開発者は他のライブラリ(例えばルーティングライブラリのReact Routerなど)を自由に組み合わせてアプリケーションを構築します。
一方でNext.jsは、開発に必要な機能一式が揃った枠組みであり、開発者はNext.jsが定めたルールに従ってコードを記述していくことになります。
できることの違い
Reactは、主にクライアントサイドレンダリング(CSR)で動作します。
これは、ユーザーのブラウザ上でJavaScriptを実行してページを生成する方法で、一度読み込んでしまえば画面遷移が高速という利点があります。
しかし、最初の表示が遅くなりがちで、検索エンジンが内容をうまく読み取れない場合があるというSEO上の課題も抱えています。
対してNext.jsは、ReactのCSRに加えて、以下のレンダリング手法を標準でサポートしています。
サーバーサイドレンダリング(SSR)
ページへのアクセスごとにサーバー側でHTMLを生成する方法。常に最新の情報を表示でき、SEOに強い。
静的サイト生成(SSG)
ビルド時に予め全ページのHTMLを生成しておく方法。表示が非常に高速で、ブログやマーケティングサイトに適しています。
インクリメンタル静的再生成(ISR)
SSGの高速表示とSSRの更新性を両立した手法。一定時間ごとにページを再生成します。
これらの機能により、Next.jsは表示速度とSEOの両面で優れたWebアプリケーションを構築することが可能です。
ルーティング機能の違い
Webアプリケーションにおけるルーティングとは、ユーザーがアクセスしたURLに応じて表示するページを切り替える仕組みのことです。
React自体にはルーティング機能は含まれていません。
そのため、ページ遷移を実現するには、「React Router」のような外部のライブラリを別途導入し、開発者が手動でどのURLにどのコンポーネントを表示するかを設定する必要があります。
一方、Next.jsには「ファイルベースルーティング」という仕組みが組み込まれています。
これは、特定のディレクトリの中にファイルを作成するだけで、そのファイル名に基づいて自動的にURLのパスが生成される機能です。
例えば、app/about/page.tsx
というファイルを作成すると、/about
というURLでアクセスできるようになります。
この仕組みにより、開発者はルーティングの設定を意識することなく、直感的にページを追加していけます。
API連携に関する違い
Webアプリケーションでは、外部のサーバーとデータをやり取りするAPI連携が不可欠です。
ReactでAPI連携を行う場合、通常はuseEffect
フックなどを使ってコンポーネント内から直接APIを呼び出します。
この方法でも機能は実現できますが、APIキーなどの機密情報をフロントエンドのコードに含めることになり、セキュリティ上のリスク管理が必要になるでしょう。
Next.jsには「API Routes」という機能があります。
これは、Next.jsのプロジェクト内にサーバーサイドで動作するAPIエンドポイントを簡単に作成できる機能です。
この機能によって、フロントエンドとは別にサーバーを用意することなく、データベースへのアクセスや外部APIとの連携処理を安全に行うことができます。
学習難易度の違い
学習難易度については、まずReactの基礎を理解することが前提となります。
Next.jsはReactをベースにしているため、Reactの知識なしにNext.jsを使いこなすことは困難です。
ReactはUI構築に特化しているため、学習範囲は比較的限定されています。
コンポーネントの考え方やJSXの書き方、基本的なフック(useState
, useEffect
など)を学べば、小規模なアプリケーションは作成できるでしょう。
Next.jsは、Reactの知識に加えて、SSRやSSGといったレンダリングの概念、ファイルベースルーティング、API Routesなど、フレームワーク独自の機能を学ぶ必要があります。
そのため、React単体と比較すると学習すべき項目が多く、習得までの学習コストは高くなる傾向にあります。
ただし、環境構築が簡単なため、初学者がReactを学び始める入り口としてNext.jsを使うケースも増えています。
Reactを用いるメリットとデメリット
Reactを使うメリットについては以下の通りです。
高い自由度と柔軟性 | UIライブラリであるため、プロジェクトの要件に合わせてルーティングや状態管理などのツールを自由に選択・組み合わせることができます。 |
豊富なエコシステム | 世界中で広く使われているため、サードパーティ製のライブラリやツールが豊富に存在し、開発を効率化できます。 |
部分的な導入が可能 | 既存のWebサイトやアプリケーションの一部にだけReactを導入することも容易です。 |
一方で、Reactには以下のようなデメリットもあります。
環境構築の手間 | 開発を始めるには、WebpackやBabelといったツールを自分で設定する必要があり、初学者にはハードルが高い場合があります。 |
機能追加の手間 | ルーティングやサーバーサイドレンダリングなど、多くの機能は標準で備わっていないため、必要に応じてライブラリを追加で導入・設定しなければなりません。 |
SEO対策が別途必要 | 標準のCSRではSEOに弱いため、対策を行うには追加の工夫や技術が求められます。 |
Next.jsを用いるメリットとデメリット
Next.jsを使うメリットについては以下の通りです。
簡単な環境構築 | コマンド一つで開発環境が整い、すぐに開発を始められます。 |
優れたパフォーマンスとSEO | SSRやSSGなどの機能により、表示速度が速く、検索エンジンに評価されやすいサイトを構築できます。 |
オールインワンの開発体験 | ルーティングや画像最適化、API機能など、モダンなWeb開発に必要な機能が標準で搭載されており、開発効率が高いです。 |
しかし、メリットばかりではありません。
Next.jsには、以下のようなデメリットがあります。
規約による制約 | フレームワークであるため、ファイル配置などに独自のルールがあり、Reactほどの自由度はありません。 |
学習コストの高さ | Reactの知識に加えて、Next.js独自の概念や機能を学ぶ必要があります。 |
小規模なプロジェクトには過剰機能 | 単純なUIコンポーネントを一つ作りたいだけ、といった場合には機能が多すぎてオーバースペックになる可能性があります。 |
ReactとNext.jsのどちらで開発すべき?
「ReactとNext.jsのどちらの技術を選択すべきか?」については、開発するプロジェクトの目的や要件によって大きく異なります。
まず、Reactが適しているのは、インタラクティブ性を重視するシングルページアプリケーション(SPA)の開発です。
例えば、ユーザーのログイン後に表示される管理画面や、複雑な操作が可能なWebツールなどがこれに該当します。
また、既存のウェブサイトの一部分にだけ動的なUIを組み込みたい場合や、特定のライブラリを組み合わせるなど、技術選定に高い自由度が求められるプロジェクトにもReactは向いているでしょう。
一方で、Next.jsはSEOが非常に重要なプロジェクトで真価を発揮します。
具体的には、ブログや企業の公式サイト、ニュースサイト、ECサイトといった、検索エンジンからの集客がビジネスの成果に直結するようなWebサイトです。
サーバーサイドレンダリングや静的サイト生成の機能により、高いパフォーマンスとSEO効果を両立させることが可能になるからです。
さらに、フロントエンドからバックエンドまでを一貫した技術で開発したい場合も、Next.jsは有力な選択肢となります。
学習するならReactとNext.jsのどっちが優先?
これからWeb開発を学ぶのであれば、「まずReactの基礎を学び、その後にNext.jsを学ぶ」という順番が最も効率的です。
Next.jsはReactの応用技術であるため、Reactの核となる概念(コンポーネント、Props、State、フックなど)を理解していなければ、Next.jsの機能を正しく活用することはできません。
Reactの基礎を固めることで、Next.jsがどのような問題を解決するために作られたフレームワークなのかを深く理解できるようになります。
ただし、最近ではNext.jsの公式ドキュメントが非常に充実しており、Next.jsを学びながらReactの基礎も同時に習得していくというアプローチも可能です。
特に、最終的な目標がWebサイトやWebアプリケーションを公開することであるならば、最初からNext.jsの環境で学習を始めるのも一つの有効な選択肢といえるでしょう。
まとめ
ReactとNext.jsは、どちらも現代のWeb開発において非常に強力なツールですが、その役割と特性は異なります。
ReactはUI構築に特化した自由度の高い「ライブラリ」であり、Next.jsはReactを基盤に、SEOやパフォーマンスを向上させるための機能を統合した「フレームワーク」です。
技術選定の際は、プロジェクトの要件を明確にすることが重要です。
ユーザー認証後の管理画面のような動的なSPAであればReact、ブログやECサイトのようにSEOと表示速度が重要であればNext.jsが適している、と覚えておきましょう。