これからプログラミング言語を学ぼうとする際、人気・需要ともに高い「Java」と「Python」のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
JavaもPythonも、現代のITシステムやソフトウェア開発で重要な役割を担っており、それぞれに明確な特徴があります。
そこでこの記事では、両言語の特徴や似てる点、学習難易度や文法などの違い、それぞれの言語に向いている人などについて詳しく解説していきます。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
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Javaの特徴
Javaは、1995年にサン・マイクロシステムズ(現Oracle)によって開発されたプログラミング言語で、現在でも世界中の企業システムで広く利用されています。
最大の特徴は「Write Once, Run Anywhere」(一度書いたらどこでも動く)という設計思想です。
Java仮想マシン(JVM)上で動作するため、Windows、Mac、Linuxなど異なるオペレーティングシステム間でも同じプログラムが実行できます。
この高い移植性により、大規模な業務システムから携帯電話、IoT機器まで幅広い分野で採用されている言語です。
静的型付け言語であるJavaは、変数の型を事前に決める必要があるため、コンパイル時にエラーを発見しやすく、大規模開発における安全性が高い特徴があります。
また、厳格なオブジェクト指向プログラミングを強制するため、プログラムの構造が明確になり、チーム開発や保守性の面で優れています。
Pythonの特徴
Pythonは、1991年にオランダのグイド・ヴァン・ロッサム氏によって開発されたプログラミング言語で、「Batteries included」(電池同梱)という思想のもと、便利な機能が最初から含まれています。
最大の特徴は、「シンプルで読みやすい文法」です。
インデント(字下げ)によってコードブロックを表現するため、自然と美しく読みやすいコードが書けるようになっています。
動的型付け言語であるPythonは、変数の型を実行時に決定するため、コードの記述量が少なく、開発スピードが速いという利点があります。
特にAI・機械学習、データサイエンス分野において豊富なライブラリが提供されており、NumPy、Pandas、TensorFlow、PyTorchなどの強力なツールを活用できます。
このため、YouTube、Instagram、Dropboxなどの大規模Webサービスでも採用されています。
JavaとPythonの似てる部分
JavaとPythonにはいくつかの共通点があります。
まず、どちらもオブジェクト指向プログラミングをサポートしており、プログラムを「オブジェクト」と「その関係」で表現できます。
Pythonは、Javaよりも柔軟なオブジェクト指向アプローチを取りますが、基本概念は共通しています。
また、両言語ともGoogleの社内標準言語である「Google三大言語」(Java、Python、C++)に含まれており、世界的に信頼性の高い言語として認知されています。
学習環境も充実しており、書籍やオンライン教材、コミュニティサポートが豊富に存在する点も共通しています。
JavaとPythonの違いを比較
この項目では、JavaとPythonの具体的な違いについて詳しく比較していきます。
学習の難易度から年収水準、処理速度、文法の特徴、求人市場の動向、そして将来性まで、2025年の最新データをもとに両言語を比較しますので、是非参考にしてください。
学習難易度
学習難易度においては、Pythonの方がJavaよりも圧倒的に習得しやすいとされています。
Pythonは文法がシンプルで、人間の言語に近い自然な表現でプログラムを書けるため、プログラミング初心者でも比較的短期間で基本を習得できます。
一方、Javaは厳格な文法規則があり、オブジェクト指向プログラミングの概念を最初から理解する必要があります。
データ型の宣言やクラス構造の理解、コンパイル作業などの手順が必要で、初心者には学習のハードルが高めです。
ただし、Javaの厳格性は逆にメリットともなります。
記述ルールが厳しいため、プログラミングの基礎をしっかりと身につけられ、後に他の言語を学ぶ際の土台として役立つのです。
Pythonは習得こそ簡単ですが、自由度が高い分、適切なコーディング習慣が疎かになってしまう可能性があります。
年収
JavaとPythonを扱うエンジニアの年収には、明確な違いがあります。
Pythonエンジニアの平均年収は、20代で403万円、30代で546万円、40代で624万円となっており、年齢とともに大幅な年収アップが期待できます。
フリーランス案件では、平均年収915万円という高い水準を維持しています。
Javaエンジニアの国内平均年収は約498万円で、正社員の場合は新卒で400万円程度から、経験を積むにつれて600万円から1,000万円以上まで上昇していく傾向があります。
フリーランス案件では平均年収840万円となっており、シニアレベル(10年以上)では1,000万円から1,500万円の年収も期待できます。
結局はスキル次第とはなるものの、総じて、Javaの方が高い年収を得やすい傾向にあります。
実行速度
実行速度において、Javaの方がPythonより大幅に高速です。
実際の比較テストでは、同じ処理をJavaで実行した場合とPythonで実行した場合で、約60倍の速度差が確認されています。
これは、両言語の実行方式の違いによるものです。
Javaはコンパイル言語であり、事前にバイトコードに変換してからJava仮想マシン上で実行されます。
さらにJIT(Just-In-Time)コンパイラによる最適化により、実行時にマシン語に近い形に変換されるため高速な処理が可能です。
対するPythonは、インタープリタ言語であり、コードを一行ずつ解釈しながら実行するため、処理速度は相対的に遅くなります。
ただし、PythonのライブラリであるNumPyやPandasは内部的にC言語で実装されているため、データ処理や数値計算においては実用的な速度を実現できます。
文法
文法面での違いは、両言語の特徴を最もよく表しています。
Javaは中括弧{}を使ってコードブロックを定義し、セミコロン;で文の終了を明示する必要があります。
また、すべての変数には明確な型宣言が必要で、クラス構造も必須となります。
例えば、初心者プログラマーの定番である「Hello World!」を表示させるプログラミングについては、以下の通りです。
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, World!");
}
}
一方、Pythonはインデント(字下げ)でコードブロックを表現し、セミコロンや中括弧は基本的に不要です。
型宣言も必要なく、以下のように非常にシンプルな記述が可能です。
print("Hello, World!")
この違いにより、同じ機能を実装する場合、Pythonの方が大幅に少ないコード量で済むことが多く、開発効率の向上につながります。
求人数
求人数においては、Javaが圧倒的な優位性を持っています。
2025年の最新データでは、Java関連の求人が全体の35%近くを占め、プログラミング言語別求人ランキングで1位を維持しています。
企業システム、Webアプリケーション、Androidアプリなど幅広い分野での需要があります。
Pythonは求人数ランキングで3位につけており、過去数年間で急激に需要が増加しています。
特に、AI・機械学習、データサイエンス分野での求人が多く、市場全体の約10%を占めています。
求人数ではJavaに劣るものの、専門性の高い案件が多いというのがPythonの特徴です。
役立つ資格
JavaとPythonには、それぞれに専門資格が用意されており、転職や年収アップの際に強力な武器となることがあります。
まずJava関連資格では、「Oracle認定Java資格」が最も権威のある資格として知られています。
「Oracle Certified Associate Java Programmer(OCAJP)」は基礎レベル、「Oracle Certified Professional Java Programmer(OCPJP)」は実務レベルの知識を証明できます。
さらに上位の「Oracle Certified Master Java Enterprise Architect(OCMJEA)」を取得すれば、アーキテクト級の技術力をアピール可能です。
Python関連資格では、「Python 3 エンジニア認定基礎試験」が入門者に適しており、Python文法の基本的な理解を証明できます。
より実務的なスキルを示したい場合は、「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」や「実践試験」の取得がおすすめです。
Pythonの資格については、以下でも詳しく解説しています。

これらの資格は、技術力の客観的な証明となるだけでなく、体系的な学習によってスキルアップにも直結するため、キャリア形成において重要な要素といえるでしょう。
将来性
将来性の観点では、JavaもPythonも異なる強みを持っています。
Javaは、長期にわたって企業システムの主流言語として位置づけられており、レガシーシステムの保守や大規模システムの新規開発において安定した需要が見込まれます。
AndroidアプリやSpring BootによるWebアプリケーション開発でも継続的な需要があります。
Pythonは、AI・機械学習、データサイエンス分野の急成長により、今後さらなる需要拡大が期待されています。
TIOBEインデックスでは2023年、2024年連続で1位を獲得しており、世界的な人気の高さを示しています。
クラウド自動化、IoT、教育分野での活用も拡大しており、多方面での成長が見込まれます。
一方で、2025年にはAI分野でのJavaの台頭も予測されており、企業レベルでのAIアプリケーション開発ではJavaの方が適している場面も増えてくると考えられています。
JavaとPythonのできること
JavaとPythonでは、それぞれできることが異なります。
それぞれの言語でできることについては以下の通りです。
Javaでできること
Javaは、汎用性の高い言語として様々な分野で活用されています。
Webアプリケーション開発では、Spring Bootなどのフレームワークを使用して大規模なWebサービスを構築可能です。
TwitterやLinkedInなどの著名サービスでも採用されており、サーバーサイド処理やAPI開発に重要な役割を担っています。
業務システム開発では、銀行の取引システムや製造業の在庫管理システムなど、企業の重要なシステムで広く使われています。
高い安定性と信頼性により、長期間の運用が必要なシステムでの実績も豊富です。
モバイルアプリ開発では、Androidアプリの主要な開発言語として活用されています。
Androidアプリならば、Kotlinという選択肢もありますが、Javaの豊富な実績と開発リソースにより今でも多くのAndroidアプリで利用されているのです。

Pythonでできること
Pythonは、特に以下の分野で強力な能力を発揮します。
AI・機械学習開発では、TensorFlow、PyTorch、Kerasなどの豊富なライブラリにより、深層学習モデルの構築から学習、推論まで一貫して開発できます。
画像認識、自然言語処理、音声認識など、AI技術の最前線でPythonが活用されており、研究から実用化まで幅広いニーズに対応しています。
データ分析・データサイエンスでは、Pandas、NumPy、Matplotlib、Seabornなどのライブラリを使用して、大量のデータの前処理、分析、可視化を効率的に行えます。
ビジネスインテリジェンス、マーケティング分析、科学研究など、データを活用した意思決定をサポートする分野で重要な役割を担っています。
Webアプリケーション開発では、DjangoやFlaskなどのフレームワークを使用して、迅速にWebサービスを構築できます。
InstagramやSpotifyなどの著名なサービスもPythonで開発されており、スタートアップから大企業まで幅広く採用されています。

JavaとPythonのどっちを学ぶべき?
JavaとPythonのどちらを学ぶべきかは、「何をしたいか」によって変わります。
以下の項目で、それぞれ詳しく解説していきます。
Javaがおすすめな人
安定した需要の仕事に就きたい人は、Javaを選ぶべきでしょう。
Javaは、求人数が最も多いプログラミング言語であり、企業システムからWebアプリケーションまで幅広い分野で需要があるため、就職や転職の選択肢が豊富です。
特に大企業や金融機関、公共機関などでは長期間にわたって安定した需要が見込まれます。
大規模システム開発に携わりたい人にも、Javaが適しています。
銀行のトランザクション処理システムや製造業の基幹システムなど、高い信頼性が求められる大規模プロジェクトでJavaの経験は重宝されます。
チーム開発やシステムアーキテクチャの設計に興味がある方には最適な選択です。
プログラミングの基礎をしっかり学びたい人にとって、Javaの厳格な文法は良い学習材料となります。
オブジェクト指向プログラミングの概念やデータ型の理解が深まり、他の言語を学ぶ際の強固な基盤となるでしょう。
Pythonがおすすめな人
AI・データサイエンス分野で活躍したい人には、Pythonが最適な選択です。
機械学習エンジニア、データサイエンティスト、AIエンジニアとして、将来的に高年収を目指せる分野で、Pythonのスキルは必須となっています。
プログラミング初心者で、素早く成果を出したい人にもPythonが向いています。
シンプルな文法により学習コストが低く、短期間で実用的なプログラムを作成できるようになるからです。
学習難易度が低いことから、モチベーションを維持しながら学習を継続しやすいため、挫折リスクが低減されることもメリットでしょう。
また、スタートアップやベンチャー企業で働きたい人には、Pythonの開発速度の速さが魅力的です。
Pythonを究めれば、Webアプリケーション開発からデータ分析まで、一人で幅広く対応できるフルスタックエンジニアとして活躍できる可能性も生まれます。
まとめ
JavaとPythonは、それぞれ異なる強みを持つ優秀なプログラミング言語です。
Javaは安定した需要と高い信頼性を誇り、大規模システム開発や企業での長期運用に適しています。
一方、Pythonは「学習のしやすさ」や「AI分野での強力なライブラリ」を武器に、データサイエンスや機械学習分野で圧倒的な存在感を示しています。
どちらを選択するかは、自身のやりたいことやキャリア目標によって変わってきますので、「安定した就職環境や大規模開発経験を求めるならJava」「最新技術やデータ活用分野で活躍したいならPython」といったように選択するとよいでしょう。