フリーランスエンジニアとして独立する際、多くの人が目標とするのが「年収1000万円」という一つの大台です。
しかし、そのさらに上、「年収2000万円」という領域は、果たして現実的に到達可能なのでしょうか。
会社員時代には想像もつかなかったような高収入を得られる可能性があるのが、フリーランスの大きな魅力の一つです。
一方で、そこに至る道筋は決して楽ではありません。
この記事では、フリーランスエンジニアが年収2000万円を稼ぐことの現実性について解説していきます。
また、年収2000万円に到達するために必要なスキルや具体的な方法、そして高収入を目指す上で注意すべき点までを、網羅的に紹介していきますので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
- 自らも地元密着型のプログラミングスクールを運営
【結論】フリーランスエンジニアが年収2000万円を稼ぐことはできる
まず結論からお伝えすると、フリーランスエンジニアが年収2000万円を稼ぐことは、不可能ではありません。
実際に、月単価150万円以上の高単価案件を獲得し、年収2000万円レベルの収入を得ているフリーランスエンジニアは存在します。
ただし、誰もが簡単に到達できる目標ではないことも事実です。
年収2000万円という領域は、単にプログラミングスキルが高いというだけでは達成が難しく、技術的な専門性に加えて、ビジネススキルや自己管理能力、そして戦略的なキャリア設計が求められるからです。
年収2000万円は、フリーランスエンジニアの中でもほんの一握りの、トップ層だけが到達できるステージです。
しかし、適切な努力と戦略があれば、達成することは十分可能ですので、以下の項目を参考に是非目指してみてください。
年収2000万円を達成できるフリーランスエンジニアの特徴
年収2000万円という高い壁を越えるフリーランスエンジニアには、いくつかの共通した特徴が見られます。
技術力はもちろんのこと、プロフェッショナルとしての姿勢やマインドセットが、「その他大勢のフリーランスエンジニア」とは一線を画す存在にしています。
豊富な実務経験がある
年収2000万円クラスのエンジニアは、例外なく豊富な実務経験を持っています。
目安としては、最低でも5年以上、多い場合は10年以上の経験を積んでいるものです。
単に長く働いているだけでなく、複数のプロジェクトで中核的な役割を担い、困難な技術的課題を解決してきた実績もあるはずです。
多様な現場で培われた深い知識と経験が、クライアントからの高い信頼と高単価に繋がり、高単価案件の獲得に繋がります。
技術習得のための勉強が苦にならない
IT業界の技術トレンドは、日進月歩で変化し続けます。
現在最先端である技術が、1年後には時代遅れになることも珍しくありません。
高収入を維持するエンジニアは、この変化を楽しみ、常に新しい技術や知識を学び続けることを習慣にしています。
業務時間外に自ら手を動かして新しい技術を試したり、カンファレンスに参加したりと、自己投資を惜しまない姿勢が、年収2000万円エンジニアの市場価値を高く保ち続ける要因となっています。
自己管理能力が高い
フリーランスは、会社員のように誰かがタスクやスケジュールを管理してくれるわけではありません。
特に高単価案件では、高いパフォーマンスを継続的に発揮することが求められます。
そのため、質の高いアウトプットを出し続けるためのタスク管理能力、クライアントとの納期を守るスケジュール管理能力、そして心身の健康を維持する体調管理能力といった、高度な自己管理能力が不可欠です。
上昇志向が強い
現状に満足せず、常により高いレベルを目指すマインドセットも重要な特徴です。
年収2000万円に届くようなフリーランスエンジニアは、自分のスキルを安売りせず、常に自身の市場価値を客観的に把握し、より単価の高い案件や、より上流の工程に関われるチャンスを積極的に探しに行きます。
技術力を高めるだけでなく、どのようにすればビジネスに貢献できるかという視点を持ち、自らの価値を最大化しようとする強い上昇志向が、年収2000万円という目標達成の原動力となるのです。
フリーランスエンジニアが年収2000万円を達成するための方法
年収2000万円という目標は、ただ漠然と仕事をこなしているだけでは到達できません。
明確な意図を持った戦略的な動きが必要です。
ここでは、収入を飛躍的に向上させるための具体的な方法を5つご紹介します。
希少スキルを身に付ける
多くのエンジニアが持つ汎用的なスキルだけでは、単価の向上には限界があります。
高年収を目指すには、需要が高い一方で、供給が少ない「希少スキル」を身につけることが極めて有効です。
特に、希少スキルとして重宝されているのは、以下のような分野です。
- AI・機械学習
- データサイエンス
- ブロックチェーン
- サイバーセキュリティ
- 高度なクラウド技術(AWS、Azure、GCP)
これらの分野は専門性が高く、常に人材が不足しているため、高い専門性を証明できれば、月単価150万円以上の案件も視野に入ってきます。
なお、こうしたスキルを習得するには、自力のみでは厳しいことも多いです。
本気で希少スキルを習得しようと考えている場合は、「RareTECH(レアテック)」のような希少スキル専門のスクールを利用するのが有効でしょう。
RareTECHの詳細については、以下の記事でまとめています。
下流工程だけでなく上流も担当できるようになる
プログラミングやテストといった「下流工程」だけでなく、要件定義や基本設計、アーキテクチャ設計といった「上流工程」を担当できるエンジニアは、より高い報酬を得ることができます。
上流工程は、プロジェクトの成否を左右する重要なフェーズであり、クライアントのビジネスそのものへの深い理解が求められます。
技術力に加えて、顧客の課題をヒアリングし、それを技術的な解決策に落とし込む能力を磨くことで、単なる「作業者」から「ビジネスパートナー」へと自身の価値を高めることが可能です。
マネジメントスキルを習得してPM案件を受注する
エンジニアとしてのキャリアパスの一つに、プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャー(PM)があります。
PMは、開発チームの進捗管理、予算管理、クライアントとの交渉など、技術力だけでなく高度なマネジメントスキルが求められる役割です。
責任が重い分、その報酬も高く設定される傾向にあります。
技術的なバックグラウンドを持つPMは、現場のエンジニアとのコミュニケーションも円滑に行えるため、クライアントから非常に重宝されます。
高単価な複数案件を並行してこなす
一つの案件だけで年収2000万円を目指すのは非常にハードルが高いですが、複数の案件を組み合わせることで、同等の収入を得るというアプローチもあります。
例えば、月単価90万円の案件を2つ、あるいは月単価60万円の案件を3つ並行して受注するといった形です。
この方法を実践するには、それぞれの案件で高いパフォーマンスを維持するための、卓越した時間管理能力とタスク処理能力が必須となります。
フリーランスエージェントを利用して営業活動を省く
年収2000万円クラスのエンジニアは、自身の時間を「営業活動」ではなく、最も価値を生み出す「専門業務」に集中させています。
そのために有効なのが、フリーランス専門のエージェントを活用することです。
エージェントは、個人の人脈だけではアクセスできないような、高単価な非公開案件を多数保有しています。
また、面倒な単価交渉や契約手続きも代行してくれるため、エンジニアは自身のスキルアップと業務遂行に集中し、効率的に収入を最大化することができるでしょう。
特に、「レバテックフリーランス」のような最大手のフリーランスエージェントならば、高単価な非公開案件数も多く、サポートも手厚いです。
フリーランスエンジニアが年収2000万円を稼ぐのは決して楽ではない
年収2000万円という目標は魅力的ですが、その達成が容易ではないことも重々承知しておくべきです。
現実を知ることで、より具体的な目標設定が可能になるはずですので、この項目では「フリーランスエンジニアの平均年収」や「年収2000万円を達成するための月単価」について解説していきます。
フリーランスエンジニアの平均年収
フリーランスエンジニアの平均年収については、「調査媒体」や「年代・経験年数」によって開きがありますが、大体600~800万円の間に落ち着くことが多いです。
なお、フリーランスエンジニアのうち、年収1000万円を超えている割合は、全体の約10%ほどとなっています。
そして、年収2000万円を超えているフリーランスエンジニアの割合ともなると、約1.5%にまで激減します。
それだけ狭き門であることは、覚悟しておくべきでしょう。
年収2000万円を超えるには月単価170万円ほど必要
年収2000万円を12ヶ月で割ると、単純計算で月収は約167万円となります。
フリーランスの案件は月単価で提示されることが多いため、月単価170万円クラスの案件を1年間継続して受注し続ける必要があるということです。
「レバテックフリーランス」などの大手フリーランスエージェントのサイトで公開されている案件を見ても、月単価150万円を超えるものは非常に数が限られており、そのほとんどがAIや大規模プロジェクトのPMなど、極めて高度な専門性を要求するものです。
この単価水準が、いかにトップレベルであるかを認識しておく必要があるでしょう。
フリーランスエンジニアが年収2000万円を目指す際の注意点
高い目標を追い求める過程で、見失ってはならない重要な点があります。
年収2000万円という数字だけにとらわれず、持続可能なキャリアを築くために、以下の3つの注意点を心に留めておいてください。
働き過ぎによる健康リスクに気を付ける
年収2000万円を達成するため、複数の案件を掛け持ちしたり、無理をして長時間労働をしてしまったりする生活は、心身に大きな負担をかけます。
一時的に高い収入を得られても、働き過ぎで体を壊してしまっては、年収2000万円どころか収入がゼロになってしまう可能性も否定できません。
健康は、フリーランスにとって最も重要な資本です。
意識的に休息を取り、無理のないスケジュール管理を心がけることが、長期的に活躍し続けるための秘訣です。
継続的に稼ぐことを意識する
単発の超高単価案件を獲得し、1年間だけ年収2000万円を達成しても、翌年から仕事がなくなってしまっては意味がありません。
大切なのは、高い収入を「継続的に」稼ぎ続けることです。
そのためには、目先の高単価だけでなく、その仕事を通じて新たなスキルが身につくか、次の仕事に繋がる人脈が築けるか、といった長期的な視点を持つことが重要になります。
時には年収2000万円という数字にこだわらず、自身の市場価値を高めるための戦略的な仕事選びを優先すべき場面もあるでしょう。
税金対策
年収2000万円、もしくはそれに近い年収を得ているとなると、所得税、住民税、消費税、個人事業税など、納める税金の額も非常に大きくなります。
何も対策をしなければ、収入の多くを税金として支払うことになりかねません。
高収入フリーランスにとって、税金対策は必須の知識です。
個人事業主のままでいるのか、法人成り(会社を設立)するのかを検討したり、iDeCoや小規模企業共済といった節税制度を最大限に活用したりと、早い段階から税理士などの専門家と相談し、適切なタックスマネジメントを行うことを強くおすすめします。
まとめ
フリーランスエンジニアが年収2000万円を稼ぐことは、決して夢物語ではありません。
しかし、誰でも簡単に実現できることではないというのも事実です。
年収2000万円のステージに上がるためには、豊富な実務経験を土台に、AIやクラウドといった希少価値の高い専門スキルを身につけ、上流工程やマネジメントへと業務範囲を広げていく戦略的なキャリア設計が不可欠です。
本気で年収2000万円クラスを目指す場合は、本記事で紹介した方法や注意点を参考に、強い覚悟を持って臨むようにしてください。