リリースされる製品やサービスが、ユーザーに受け入れられるかどうかは、QAエンジニアの働きにかかっていると言っても過言ではありません。
そんな重要な役割を担うQAエンジニアの平均年収や将来性は、気になるところではないでしょうか。
そこでこの記事では、QAエンジニアの年代別の平均年収や中央値を詳しく解説します。
さらに、今後さらに収入を上げていくための具体的な方法や、QAエンジニアの将来性についても掘り下げていきますので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
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QAエンジニアとは
QAエンジニアの「QA」とは、Quality Assuranceの略で、日本語では「品質保証」を意味します。
つまりQAエンジニアとは、ソフトウェアやシステム、Webサービスなどの品質を保証する専門職です。
単に製品が完成した後にバグや不具合を見つける「テスター」とは異なり、QAエンジニアの役割はより広範にわたります。
その目的は、製品開発の初期段階からリリース後の運用まで、すべてのプロセスに関与し、欠陥の発生を未然に防ぎ、品質を作り込むことです。
具体的な業務内容は、以下のように多岐にわたります。
- 品質保証戦略の立案:どのような品質基準を設け、どう達成するかの計画を立てる。
- テスト計画・設計:計画に基づき、いつ、何を、どのようにテストするかの詳細を設計する。
- テスト自動化:テストコードを記述し、これまで手動で行っていたテストを自動化して効率を高める。
- テスト実施と結果分析:設計書に基づきテストを実行し、発見した不具合を開発チームにフィードバックする。
- 品質プロセスの改善:開発プロセス全体を見直し、品質を向上させるための提案や仕組みづくりを行う。
このように、QAエンジニアは開発の上流から下流まで関わり、組織全体の品質意識を高める、非常に戦略的で重要な役割を担っています。
QAエンジニアの年代別平均年収
QAエンジニアの年収は、経験やスキル、年齢によって大きく変動します。
ここでは、複数の求人情報サイトのデータをもとに、2025年時点での年代別平均年収の目安を見ていきましょう。
QAエンジニア全体の平均年収は574万円
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、QAエンジニアを含む「ソフトウェア開発者」の全国平均年収は574万円となっています。
日本全体の平均年収が約460万円なので、かなり高い方だと言えるでしょう。
ただし、これはあくまで全体の平均値です。
さらに、民間業者の調査によってはQAエンジニアの平均年収にばらつきがあり、大体500~600万円の間となっています。
年収は、スキルや経験によって変わりますので、平均年収はあくまで目安程度にしておきましょう。
20代のQAエンジニアの平均年収
20代のQAエンジニアの平均年収は、約350万円~450万円が目安となります。
キャリアの初期段階であり、主にテスト設計や手動でのテスト実行を担当することが多いでしょう。
この時期は、まず品質保証の基礎を固め、担当する製品やシステムの知識を深めることが重要です。
テスト自動化の基礎を学び始めるなど、意欲的にスキルアップに取り組むことで、30代以降の年収アップに繋がります。
30代のQAエンジニアの平均年収
30代になると、経験とスキルが向上し、平均年収は約500万円~650万円へと大きく上昇します。
30代のQAエンジニアは、テスト自動化の設計や実装を任されたり、小規模なチームのリーダーとしてメンバーの管理を担ったりする機会が増えてくるでしょう。
開発プロセス全体の改善提案など、より上流の工程に関わることで、自身の市場価値をさらに高めることが可能です。
多くのQAエンジニアにとって、キャリアと年収が大きく飛躍する時期と言えます。
40代のQAエンジニアの平均年収
40代のQAエンジニアの平均年収は、約600万円~750万円が目安です。
この年代では、QAチーム全体のマネジメントを担うQAマネージャーや、特定の技術領域(パフォーマンス、セキュリティなど)を極めたスペシャリストとしてのキャリアを歩む人が多くなります。
組織全体の品質戦略を策定したり、大規模プロジェクトの品質責任者を務めたりするなど、より高いレベルでの貢献が求められます。
50代のQAエンジニアの平均年収
50代では、これまでの豊富な経験を活かし、品質保証部門の責任者やコンサルタントとして活躍するケースが多く見られます。
平均年収は700万円以上となることが多く、中には1,000万円を超えるプレイヤーも少なくありません。
なお、厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果から計算すると、50~54歳の平均年収が701万円に達しています。
長年の経験に裏打ちされた知見は、企業の品質文化を高める上で非常に価値のあるものとなります。
QAエンジニアの年収の中央値
平均年収は、一部の高年収の人の値に引き上げられてしまい、実態よりも高い金額になる傾向があります。
そのため、より実態に近い数値を把握するためには「中央値」を見ることが有効です。
中央値とは、年収データを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する人の値です。
各種データによると、QAエンジニアの年収の中央値は約450万円ほどとなります。
新卒のエンジニアの給料も含むことから、どうしても平均よりは下がってしまいます。
しかし、それでも日本の平均年収と同じくらいですので、QAエンジニアの年収は総じて高いと言えます。
QAエンジニアの年収が高い理由
QAエンジニアの年収が、他の職種と比較して高い水準にあるのはなぜでしょうか。
その背景には、品質保証という仕事が持つ専門性と、現代のビジネスにおける重要性があります。
品質管理において重要な役割を担う
現代のビジネスにおいて、ソフトウェアやサービスの不具合は、顧客満足度の低下、ブランドイメージの毀損、そして直接的な金銭的損失に繋がる重大なリスクです。
リリース後に深刻なバグが発覚すれば、その対応に多大なコストと時間がかかります。
QAエンジニアは、こうしたリスクを未然に防ぎ、製品の品質を担保する「最後の砦」です。
企業の信頼性と収益性を守るという重要な役割を担っていることが、高い年収に反映されています。
テスト自動化やCI/CDなどの高度なスキルが必要
かつての「テスト」は手作業が中心でしたが、現代のQAエンジニアには、テストを自動化するためのプログラミングスキルが必須です。
SeleniumやCypressといったツールを使いこなし、テストコードを書ける能力が求められます。
さらに、開発からリリースまでのプロセスを自動化するCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の知識も不可欠です。
こうした高度で専門的な技術スキルを持つ人材は市場価値が高く、高い報酬に繋がります。
業務範囲が広い
優れたQAエンジニアは、単にテストを実行するだけではありません。
開発プロセスの初期段階である要件定義や設計のレビューに参加し、品質の観点からフィードバックを行います。
これは「シフトレフト」と呼ばれ、後工程で不具合が発生するのを防ぐための重要なアプローチです。
開発ライフサイクル全体に対する深い理解と、開発者やプロダクトマネージャーと対等に議論できるコミュニケーション能力が求められるため、その業務範囲の広さが評価されます。
需要に対して人材供給が追い付いていない
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、あらゆる業界でソフトウェア開発の需要が急増しています。
それに伴い、品質を保証するQAエンジニアの需要も飛躍的に高まっています。
しかし、特にテスト自動化などの高度なスキルを持つQAエンジニアの数はまだ少なく、需要に対して供給が全く追い付いていないのが現状です。
この人材不足が、QAエンジニアの市場価値を押し上げ、高い年収水準を維持する大きな要因となっています。
QAエンジニアがさらに年収を上げるためにできること
QAエンジニアとしてキャリアを築き、さらに高い年収を目指すためには、戦略的なスキルアップとキャリアプランニングが不可欠です。
ここでは、年収を上げるための具体的な4つの方法をご紹介します。
QAエンジニアに求められる必要スキルをもれなく習得する
まずは、自身のスキルセットを市場価値の高いものへと拡充していくことが基本です。
テスト自動化スキル | SeleniumやPlaywright、Cypressなどのツールと、PythonやJavaScriptといったプログラミング言語を習得し、自動テストを設計・実装できる能力を磨いてください。 |
パフォーマンス・負荷試験のスキル | JMeterなどのツールを使い、システムの性能を測定・評価できるスキルは、サービスの信頼性を担保する上で非常に価値があります。 |
セキュリティテストの知識 | 基本的な脆弱性診断など、セキュリティに関する知識を持つQAエンジニアは需要が高いです。 |
マネジメントスキル | プロジェクト全体のテスト計画を立案したり、チームメンバーを管理したりする能力を養うことで、QAリードやマネージャーへの道が開けます。 |
上記のスキルセットにおいて足りないものがあれば、補完しましょう。
QA関連の資格を取得する
資格取得が直接的に年収アップに繋がるわけではありませんが、自身のスキルを客観的に証明し、体系的な知識を身につける上で非常に有効です。
また、資格手当が出たり、転職の際に有利になったりすることもあるので、できれば以下のような資格を取得しておきましょう。
資格名 | 概要 |
JSTQB認定テスト技術者資格 | 日本国内で最も認知されているソフトウェアテストに関する資格。Foundation LevelとAdvanced Levelがある。 |
ISTQB認定テスト技術者資格 | JSTQBの上位組織にあたる国際的な資格。グローバルに活躍したい場合に有効。 |
ソフトウェア品質技術者資格認定 | ソフトウェア品質全般に関する知識を問う資格。初級、中級、上級がある。 |
PMP® (Project Management Professional) | プロジェクトマネジメントに関する国際資格。QAマネージャーを目指す場合に役立つ。 |
キャリアアップを狙う
一つの企業で経験を積む、あるいはより高いポジションを求めて転職することで、キャリアアップと年収アップを実現できます。
QAエンジニアの一般的なキャリアパスは以下の通りです。
- QAリード:数名のQAエンジニアをまとめる現場のリーダー。テスト計画の詳細化やメンバーの進捗管理を担います。
- QAマネージャー:QA部門全体の責任者。品質戦略の策定、予算管理、人材育成など、より経営に近い視点が求められます。
- QAスペシャリスト:特定の技術領域(テスト自動化、パフォーマンスなど)を極め、その分野の第一人者として組織に貢献します。
フリーランスとして独立する
高い専門スキルを持つQAエンジニアは、フリーランスとして独立することで、会社員時代を大幅に上回る収入を得ることも可能です。
QAエンジニアのフリーランス案件ならば、月単価60万円~100万円といった金額が相場です。
年収1,000万円も十分に狙えるでしょう。
ただし、自身で案件を獲得する営業力や、契約・経理といったビジネススキルも必要となるため、相応の準備が必要です。
営業活動やクライアントとの交渉に自信がない場合は、フリーランスエージェントを利用するとよいでしょう。
「レバテックフリーランス」や「Midworks(ミッドワークス)
」のような大手フリーランスエージェントを利用すれば、エージェント側で適切な案件を探して紹介してくれるので、手間が省ける上、クライアントとの交渉もすべて任せられます。
QAエンジニアの将来性
結論として、QAエンジニアの将来性は非常に明るいと言えます。
AIの進化により、単純なテスト作業は自動化され、将来的にはAIが代替する部分も増えてくるでしょう。
しかし、これはQAエンジニアの仕事がなくなることを意味するものではありません。
むしろ、QAエンジニアの役割は、より高度で戦略的なものへと進化していきます。
今後は、AIをいかに活用してテストを効率化するかを考える「AIテスティング」のスキルや、開発の初期段階から品質を作り込む「シフトレフト」の考え方を主導する能力、そして製品全体のユーザー体験(UX)を向上させるための提案力が求められるようになります。
単純作業を行う「テスター」の需要は減少するかもしれません。
しかし、品質保証の戦略を立て、プロセスを改善し、組織全体の品質文化を高められる真のQAエンジニアの価値は、テクノロジーが進化すればするほど高まっていくでしょう。
まとめ
以上、QAエンジニアの年収や、収入を上げるための方法、将来性などについて詳しく解説しました。
QAエンジニアは、ソフトウェアの品質を保証するという極めて重要な役割を担っており、その平均年収は日本の平均給与を上回る高い水準にあります。
特に、テスト自動化やマネジメントといった高度なスキルを身につけることで、年収1,000万円以上を目指すことも十分に可能な、夢のある職種だと言えるでしょう。