IT業界への転職を目指す中で、「未経験からエンジニアになるにはSES企業に入るしかない」という言説を耳にすることが多いかもしれません。
インターネット上やSNSでは、「自社開発企業や受託開発企業への就職は未経験者にとって極めて困難であり、まずはSESで経験を積むべきだ」という意見で溢れています。
しかし、本当に選択肢はSESしかないのでしょうか。
この記事では、現在のIT転職市場の動向を踏まえた上で、なぜ「SESしかない」と言われるのかについての理由や、実際のところどうなのかという真実を紹介していきます。
その上で、未経験からでも自社開発企業や受託開発企業へ転職するための現実的な方法を提示していきますので、是非参考にしてください。
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未経験エンジニアの就職・転職先はSESしかないと言われる理由
これからエンジニアを目指す求職者が情報を集めると、どうしても「未経験者の受け皿はSES企業がメインである」という現実に直面しやすいです。
なぜ、これほどまでに「未経験＝SES」という図式が定着しているのでしょうか。
その背景には、IT業界特有のビジネスモデルや採用構造、そして企業側が抱える教育コストの問題が深く関わっています。
まずは、未経験エンジニアの就職先がSESに偏りがちになる5つの主要な理由について紹介していきます。
自社開発・受託開発企業は採用のハードルが高い
自社でWebサービスやアプリケーションを開発・運営している「自社開発企業」や、クライアントからシステムの開発を一括で請け負う「受託開発企業」は、採用基準を非常に高く設定する傾向があります。
これらの企業では、少数精鋭のチームで開発を進めるケースが多く、新人を一から手取り足取り教育するだけの人員や時間が不足していることが一般的です。
そのため、中途採用においては「即戦力」であることが強く求められます。
実務経験がない未経験者が採用されるためには、実務経験者に匹敵する高度な技術力や、自走して課題を解決できる能力をポートフォリオなどで証明しなければなりません。
Web系自社開発企業の求人倍率は非常に高く、経験者同士でも席を奪い合う状況であるため、特別なスキルを持たない未経験者が入り込む隙間は狭いのが現実です。
IT業界におけるSES企業の割合が圧倒的に高い
未経験エンジニアがSES企業に就職する確率が高くなる最大の要因は、単純に企業の母数が多いからです。
日本のIT業界は、多重下請け構造と呼ばれるピラミッド型の産業構造をしています。
元請けとなる大手SIerが案件を受注し、それを下請け企業へ発注、さらにその下の企業へ・・・という流れで仕事が回っています。
この構造上、労働力を提供するSES企業の数が物理的に多くなります。
経済産業省の「特定サービス産業実態調査」などのデータを見ても、ソフトウェア業の中で受託開発や要員派遣を行う企業の売上高や事業所数が大きな割合を占めていることがわかります。
求人サイトを開いても、未経験可の求人の約7〜8割がSES系企業であることも珍しくありません。
物理的な募集枠の多さが、「SESしかない」と感じさせる大きな要因となっています。
未経験でも積極的に採用しているSES企業が多い
SES企業のビジネスモデルは「エンジニアの労働力を顧客企業に提供し、対価を得る」というものです。
そのため、エンジニアの数が売上に直結します。
多くのSES企業では、案件の需要に対してエンジニアの数が不足しているため、未経験者であってもポテンシャルを見込んで積極的に採用し、自社の社員として確保しようとします。
特に若手の未経験者であれば、吸収力が高いと判断され、まずはテスト工程や運用・保守といった比較的難易度の低い案件からアサインし、徐々にスキルアップさせるというキャリアパスを描くことができます。
企業側としても、経験者を採用するよりもコストを抑えられるため、未経験者の採用枠を広く設けているケースが多いのです。
SESによっては研修制度が整っているところもある
未経験者を採用するSES企業の中には、入社後に数ヶ月間の研修期間を設け、プログラミングの基礎からビジネスマナーまでを教育する体制を整えているところがあります。
これは、現場に出せるレベルまでエンジニアを育成しなければ、企業としての利益が生まれないためです。
しかし、これは資金的に余裕のあるSES企業の話であり、十分な教育体制が用意されているSESはそれほど多くありません。
基本的には、「自力でなんとかするしかない」という状況に置かれることの方が多いでしょう。
十分な教育を希望する場合は、企業研究の際にしっかりと調べておくべきです。
未経験エンジニアには無条件でSESを紹介する転職エージェントが多い
転職エージェントのビジネス構造も、「未経験＝SES」という流れを加速させている要因の一つです。
エージェントは、求職者が企業に入社してはじめて報酬を得られる成果報酬型が基本です。
そのため、採用ハードルが高く内定が出にくい自社開発企業よりも、採用意欲が高く内定が出やすいSES企業を優先的に紹介する傾向があります。
特に、スキルが未熟な未経験者の場合、自社開発企業の選考に通る可能性は低いため、エージェント側も効率を考えて「まずはSESで経験を積みましょう」と提案することが多くなるのです。
【真実】「未経験エンジニアはSESしかない」は嘘！
ここまで「SESしかない」と言われる理由を解説してきましたが、では本当に、未経験エンジニアにはSES以外にないのでしょうか。
結論から言えば、「未経験エンジニアはSESしかない」というのは嘘であり、誤りです。
現在、未経験から自社開発企業や受託開発企業へ転職を成功させている事例は数多く存在します。
ただし、誰でも簡単に行けるわけではありません。
「SESしかない」状況に陥る人と、そうでない人の違いを正しく理解することが、希望のキャリアを実現するための第一歩となります。
確かにSESへ入る未経験エンジニアは多い
統計的に見れば、未経験からエンジニアになる人の多くがSES企業へ就職していることは事実でしょう。
前述の通り、求人の絶対数が多く、採用基準も比較的緩やかであるため、自然な流れと言えます。
また、とりあえずIT業界に入り、実務経験という「切符」を手に入れるための戦略として、あえてSESを選ぶ人もいます。
しかし、「SESが多い」ことと「SESしかない」ことは同義ではありません。
多数派のルートが必ずしも正解とは限らず、自身のキャリアプランや目指すエンジニア像によっては、最初から自社開発企業を目指すべき場合もあります。
重要なのは、誰かに言われるがまま流されてSESを選ぶのではなく、自身のスキルと市場価値を客観的に判断し、SESにするか自社開発にするかを自分で選ぶことです。
SESしか選択肢がない未経験エンジニアの特徴
「SESしかない」状況になってしまう未経験者には、いくつかの共通した特徴が見られます。
最も大きな要因は、スキルの不足です。
- 独学で基礎的なことを学んだだけ
- 質の低いプログラミングスクールでカリキュラムをなぞっただけ
- ネット上のチュートリアルをコピーしただけのポートフォリオしかない
このような状態では、自社開発企業の採用担当者を納得させることはできません。
また、情報収集能力の不足も挙げられます。
転職サイトやエージェントに頼り切りになり、自ら企業の情報を調べたり、カジュアル面談を活用して企業と接点を持ったりする行動力が不足している場合、提案されるがままにSES企業へ応募することになりがちです。
さらに、年齢的な要因や、論理的思考力、コミュニケーション能力といったソフトスキルの面で評価が得られず、選択肢が狭まるケースもあります。
未経験から自社開発・受託開発企業への転職を成功させている人も少なくない
一方で、実務未経験であっても、最初から自社開発企業やレベルの高い受託開発企業への内定を勝ち取る人は確実に存在します。
未経験からSES以外への転職に成功している人に共通しているのは、圧倒的な学習量と、実務を想定したアウトプットの質です。
彼らは、単にコードが書けるだけでなく、ユーザー目線に立ったアプリケーションの設計や、AWSなどのクラウドインフラの構築、Gitを用いたチーム開発の作法など、現場で即戦力として扱われるための周辺知識まで習得しています。
また、技術ブログでの発信や勉強会への参加など、エンジニアとしてのカルチャーに馴染む努力を怠りません。
企業側も、こうした「自走力」と「高い熱量」を持つ人材であれば、未経験であっても採用したいと考えています。
スキルやポートフォリオ次第で自社開発・受託開発企業への転職は十分可能
自社開発企業への転職を可能にするポイントは、間違いなく「ポートフォリオ」の質です。
採用担当者はポートフォリオを通じて、技術力だけでなく、企画力、問題解決能力、そして「なぜその技術を選定したのか」という思考の深さを見ています。
独自のアイデアに基づいたWebアプリケーションを作成し、実際にデプロイ（公開）して運用し、コードの品質にもこだわったポートフォリオがあれば、未経験というハンデを覆す強力な武器となります。
未経験エンジニアがSESではなく自社開発企業へ転職するベストな方法
SES企業を経由せずに、最初から自社開発企業や受託開発企業を目指すのであれば、自分一人の力だけで挑むのは避けた方がよいかもしれません。
もちろん、一人でプログラミングを学習し、一人で転職活動を行い、未経験から自社開発企業へ転職できた人もいるでしょう。
しかしその数は、決して多くはないはずです。
仮にできたとしても、無駄にハードルを高くするだけですので、あまりおすすめできません。
未経験から自社開発企業への転職を効率よく成功させるには、以下のような方法を選択するのがベストです。
自社開発に強いプログラミングスクールを利用する
これからプログラミング学習を始める、あるいは基礎学習中の方が自社開発企業を目指すなら、独学に固執するのは避けた方が賢明です。
自社開発企業が求めるレベルは年々上がっており、独学でその高い水準に到達し、さらに質の高いポートフォリオまで完成させるのは至難の業だからです。
そこで推奨されるのが、「自社開発企業への転職に特化したプログラミングスクール」の利用です。
中でも「RUNTEQ（ランテック）」は、非常にハイレベルなカリキュラムとポートフォリオ制作支援で知られています。
RUNTEQでは、現場で通用する「自走力」を鍛えることに重点を置いており、卒業生の多くがWeb系自社開発企業への転職を成功させています。
未経験から自社開発企業への転職を最短で達成した場合には、最もおすすめできるスクールです。
自社開発企業の紹介を積極的に行なっている転職エージェントを利用する
すでにプログラミング学習を終え、ポートフォリオも作成済みという方は、未経験からでも自社開発企業への転職が狙えるエージェントを利用するのが最適です。
前述の通り、多くのエージェントは未経験者に対してSES企業を勧める傾向がありますが、すべてのエージェントがそうではありません。
エンジニアのキャリアを第一に考え、未経験者に対しても積極的に自社開発企業や優良な受託開発企業を紹介してくれるエージェントも存在します。
例えば「ユニゾンキャリア」は、IT・Web業界に特化しており、未経験からエンジニアを目指す求職者へのサポートに定評があります。
ユニゾンキャリアは、求職者のスキルや志向性を深くヒアリングした上で、SES以外の選択肢も含めた幅広い提案を行ってくれる上、ポートフォリオの添削や面接対策など、自社開発企業の選考を突破するための具体的なアドバイスも受けられます。
一人で転職活動を進めるよりも、遥かに自社開発企業への転職成功率を高められるでしょう。
まとめ
お伝えしてきたように、「未経験エンジニアの就職先はSESしかない」という説はやや極端です。
IT業界の構造上、未経験エンジニアの多くがSES企業に就職していることは事実ですが、決して「SES以外の選択肢が存在しない」という意味ではありません。
十分なスキルを習得し、質の高いポートフォリオを作成し、適切な就職支援サービスを活用することで、未経験からでも自社開発企業や受託開発企業へ転職することは十分に可能ですので、SES以外の企業へ就職したい場合は是非この記事を参考に行動を起こしてみてください。
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