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「システムエンジニア」は日本だけの職種?海外との違いを解説

「システムエンジニア」は日本だけの職種?海外との違いを解説 お役立ちコラム

「システムエンジニア(SE)という仕事は、実は日本でしか通用しない」という話を聞いたことはないでしょうか。

海外でのキャリアを考えた時や、日本のIT業界の働き方に疑問を感じた時、「システムエンジニア 日本だけ」というキーワードで検索する方は少なくありません。

そこでこの記事では、システムエンジニアは本当に日本だけの職種なのか?という疑問に、明確に回答していきます。

【本記事の信頼性】

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結論:「システムエンジニア(SE)」という呼称と役割は日本特有

結論:「システムエンジニア(SE)」という呼称と役割は日本特有

結論から言うと、「システムエンジニア(SE)」という広範な役割を持つ職種は、日本独自の呼称であり、その働き方も含めて特有であると言えます。

もちろん、海外にもITシステムを開発するエンジニアは数多く存在します。
しかし、海外ではSEという一つの言葉で括られることはありません。

例えば、以下のように、役割に応じて職種名が明確に分かれているのが一般的です。

  • Software Engineer / Developer:プログラムの設計やコーディングを主に行う
  • IT Consultant:顧客の課題解決のためにIT戦略を提案する
  • Project Manager:プロジェクトの進捗や予算を管理する

一方、日本のSEは、顧客との打ち合わせから要件定義、設計、時にはプログラミング、そしてプロジェクト管理まで、非常に幅広い業務を一人で担当することがあります。

この「何でも屋」的な側面こそが、日本のSEを特徴づける最大のポイントなのです。

では、なぜ日本だけでこのような特殊な職種が生まれたのでしょうか。

その背景には、日本のIT業界が歩んできた歴史が深く関係しています。

なぜ日本で「システムエンジニア」という職種が生まれたのか?

なぜ日本で「システムエンジニア」という職種が生まれたのか?

日本のSEという職種の成り立ちを理解するには、少し時計の針を戻し、日本のIT産業の発展の歴史を知る必要があります。

IT業界の歴史的背景

日本のIT産業は、アメリカのようにソフトウェア企業が主導して発展したのとは異なり、大手電機メーカーなどのコンピュータ・ハードウェアを製造する企業が中心となって形成されてきました。

当初、ソフトウェアは高価なハードウェアを動かすための「付属品」という位置づけが強く、顧客の要望に合わせて個別に開発する「オーダーメイド」が主流でした。
その結果、顧客の業務内容を深く理解し、それをシステム仕様に落とし込み、開発プロジェクト全体を管理する人材が必要不可欠となったのです。

この「技術とビジネスの橋渡し役」こそが、日本における「システムエンジニア」の原型となりました。

SIer(エスアイヤー)中心の産業構造

このような受託開発のビジネスモデルを専門に行う企業が、SIer(System Integrator)です。

SIerは、顧客企業から情報システムの企画、開発、運用までを丸ごと請け負います。
このSIerに所属し、顧客との折衝から要件定義、設計、プロジェクト管理といった上流工程を担う中核人材として、「システムエンジニア」という職種が確立されました。

つまり、日本のSEは、特定の技術の専門家というよりも、SIerのビジネスモデルを遂行するための万能な役割として生まれた職種なのです。

日本のSEの働き方は特殊?海外との主な違い

日本のSEの働き方は特殊?海外との主な違い

日本のIT業界の構造は、海外、特に欧米のIT先進国と比較するといくつかの際立った特徴があります。

これらの違いが、日本のSEの特殊な働き方を生み出しています。

違い①:Slerと多重下請け構造

日本のIT業界を語る上で欠かせないのが、多重下請け構造です。

これは、顧客企業からシステム開発を受注した元請けのSIer(プライムベンダー)が、開発業務の一部を二次請け、三次請け、さらにその下の会社へと再委託していくピラミッド型の構造を指します。

この構造の下流にいくほど、エンジニアはプロジェクト全体像が見えにくくなり、賃金も低くなる傾向にあります。

これは、海外のように事業会社が自社で直接エンジニアを雇用し、内製化するのが主流であるのとは大きく異なる点です。

違い②:客先常駐(SES)という文化

客先常駐(SES:System Engineering Service)も、日本のIT業界を特徴づける働き方の一つです。

これは、エンジニアが自社のオフィスではなく、顧客(クライアント)のオフィスに常駐して業務を行う契約形態を指します。

プロジェクト単位で職場が変わり、様々な環境で経験を積めるメリットがある一方で、自社への帰属意識が薄れたり、常駐先によっては働き方が不規則になったりするデメリットも指摘されています。

海外でもコンサルタントなどが一時的に常駐することはありますが、日本のSESのように、多くのエンジニアにとって一般的な働き方となっているのは稀なケースです。

違い③:ジェネラリスト志向と評価制度

日本のSEは、技術力だけでなく、顧客との折衝能力、ドキュメント作成能力、プロジェクト管理能力といった幅広いスキルが求められる「ジェネラリスト」としての活躍が期待される傾向にあります。

それに対し、海外のIT企業では、特定のプログラミング言語やフレームワーク、あるいはデータベースやクラウド技術といった、特定分野で深い専門性を持つ「スペシャリスト」が高く評価されるのが一般的です。

どちらが良いというわけではありませんが、評価されるスキルの軸が異なる点は、キャリアを考える上で重要なポイントです。

海外ではSEに該当する職種は何と呼ばれる?

海外ではSEに該当する職種は何と呼ばれる?

それでは、日本のSEが担う業務は、海外ではどのような職種に分かれているのでしょうか。
代表的な例を以下の表にまとめました。

海外の職種名 主な役割 日本のSEの業務と対応するもの
Software Engineer / Developer ソフトウェアの設計、コーディング、テスト 設計、プログラミング(下流工程)
IT Consultant 顧客のビジネス課題の分析、IT戦略の立案 企画、提案、要件定義(最上流工程)
System Administrator サーバー、ネットワークの構築、運用、保守 インフラ設計、運用・保守
Project Manager プロジェクトの予算、スケジュール、人員、品質の管理 プロジェクトマネジメント
Business Analyst 業務要件とシステム要件の橋渡し 要件定義、基本設計

このように、海外では「SE」という一つの言葉でまとめず、それぞれの専門分野で職種が確立されています。

日本のSEは、これらの業務のいくつかを複合的に担っているケースが多いと言えるでしょう。

日本のSEは海外で通用する?キャリアパスの可能性

日本のSEは海外で通用する?キャリアパスの可能性

「日本のSEは海外で通用しない」と悲観する必要は全くありません。
むしろ、日本のSEが持つスキルは、海外で高く評価される可能性を秘めています。

ただし、海外で働くためには、自分の市場価値を意識したキャリアチェンジが必要です。

技術力を証明することが第一歩

海外の採用では「あなたは何ができますか?」という専門性が問われます。
まずは、自分の核となる技術スキルを明確にし、それを客観的に証明できるように準備することが不可欠です。

【GitHubアカウントの整備】
自身が書いたコードを公開し、技術力をアピールするポートフォリオとして活用しましょう。

【専門分野の明確化】
Web開発、モバイルアプリ開発、クラウドインフラなど、自分の得意分野を定め、そのスキルを深く追求してください。

【語学力】
言うまでもなく、ビジネスレベルの英語力は必須のスキルとなります。

強みとなる日本のSEのスキル

日本のSEが経験する厳しいプロジェクト環境は、海外で強みとなるスキルを育んでいます。

【品質への意識】
日本のシステム開発における高い品質基準や、細部までこだわる姿勢は、海外でも高く評価されます。

【顧客折衝能力】
顧客の曖昧な要望を汲み取り、仕様に落とし込んできた経験は、Business AnalystやIT Consultantとして活かすことができます。

【プロジェクト俯瞰能力】
小規模なプロジェクトで全体を管理した経験は、Project Managerへのキャリアパスに繋がります。

上記のような「ソフトスキル」と、専門的な「ハードスキル」を組み合わせることで、独自の価値を発揮できるでしょう。

まとめ

本記事では、「システムエンジニアは日本だけの職種なのか?」という疑問を起点に、その背景や海外との違いを解説してきました。

結論として、広範な役割を担う「システムエンジニア」は日本特有の職種であり、その背景にはSIerを中心とした独自の産業構造があります。

しかし、この構造も永遠ではありません。
2025年現在、日本でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速し、事業会社が自社でエンジニアを抱えてサービスを内製化する動きが活発になっています。

また、開発手法も従来の大規模なウォーターフォール型から、アジャイル開発へとシフトしつつあります。

このような変化の時代において、これからのエンジニアに求められるのは、従来の「SE」という枠組みにとらわれないことです。
自らの専門性を定義し、市場価値を高め続ける意識を持つことが、国内外を問わず活躍するための鍵となるでしょう。

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