プログラミングの学習を進める上で、「論理的思考」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。
論理的思考力は、コンピュータに正確な指示を出すプログラミングにおいて、まさに土台となる重要なスキルです。
このように、諦めてしまっている人もいるかもしれません。
しかし、論理的思考は特別な才能ではなく、日々意識して生活することで誰でも後天的に鍛えることが可能です。
この記事では、論理的思考の基本的な概念から、プログラミング的思考との違い、そして具体的な鍛え方までをわかりやすく解説していきますので、論理的思考を身に付けたい方は是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
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論理的思考とは何?わかりやすく解説
プログラミングを学ぶ上で欠かせない論理的思考ですが、具体的にどのような思考法を指すのでしょうか。
ここでは、論理的思考の基本的な意味合いや、よく似た言葉である「プログラミング的思考」との関係性について解説します。
論理的思考とは
論理的思考とは、物事を体系的に整理し、矛盾なく筋道を立てて考える思考法のことです。
「ロジカルシンキング」とも呼ばれ、複雑な事象を要素ごとに分解し、それぞれの因果関係を明らかにしながら結論を導き出します。
例えば、「AだからBになり、BだからCになる」というように、前提となる根拠を積み重ねて妥当な結論を導くプロセスが、論理的思考の基本です。
感情や直感に頼るのではなく、客観的な事実やデータに基づいて思考を進める点が大きな特徴といえるでしょう。
この思考法を身につけることで、問題の本質を正確に捉え、誰にとっても納得感のある説明や判断が可能になります。
プログラミング的思考との違い
論理的思考と混同されやすい言葉に「プログラミング的思考」があります。
プログラミング的思考は、論理的思考を基礎とした上で、よりコンピュータに指示を出すことに特化した思考プロセスを指します。
文部科学省は、プログラミング的思考を「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義しています。
参考:文部科学省「小学校プログラミング教育の概要 1」
具体的には、以下の3つの要素が中心となります。
分解 | 複雑な問題を、解決可能な小さな単位に分割する考え方。 |
パターン化 | 複数の処理に共通する規則性を見つけ出し、効率化する考え方。 |
抽象化 | 個々の事象に共通する本質的な部分だけを抜き出して考えること。 |
つまり、論理的思考が「筋道を立てて考える」という広範な思考法であるのに対し、プログラミング的思考は、その論理的思考を応用して、「コンピュータが実行できるように処理を設計する」ための、より専門的な思考法であると理解してください。
論理的思考力は鍛えることができる?
「自分は感覚派だから論理的に考えるのは苦手だ」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、論理的思考力は生まれ持った才能ではなく、日々の意識やトレーニングによって後天的に習得し、向上させることが十分に可能です。
特別な能力ではなく、思考の「技術」や「習慣」に近いものだからです。
普段の生活の中で物事の因果関係を意識したり、情報を整理する癖をつけたりするだけでも、思考力は着実に養われていきます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、継続的な取り組みによって誰でも身につけることができるスキルなのです。
具体的なトレーニング方法については、後の項目で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
論理的思考を鍛えるメリット
論理的思考を身につけることは、プログラミングスキルの向上だけでなく、仕事や日常生活においても数多くの利点をもたらします。
ここでは、論理的思考力を鍛えることで得られる主なメリットを3つ紹介しましょう。
問題解決能力が高まる
論理的思考が身につくと、複雑な問題に直面した際に、その場の感情や思いつきで行動することが少なくなります。
まず問題全体を俯瞰し、構成要素を細かく分解して整理できるようになり、そして、何が原因で問題が発生しているのか、その根本原因を特定できるようになります。
原因が明らかになれば、そこから逆算して「どのような手順を踏めば解決できるか」という具体的な解決策を筋道立てて考え出すことが可能です。
このように、問題の本質を見抜き、最適な解決プロセスを構築する能力は、プログラミングにおけるエラー解決はもちろん、ビジネス上の課題解決においても非常に強力な武器となります。
物事を論理的に伝えられるため相手が理解しやすくなる
自分の考えを他者に伝える際、話がまとまらず相手に意図が伝わらないという経験はないでしょうか。
論理的思考ができるようになると、自分の主張(結論)と、その結論に至った理由(根拠)をセットで明確に伝えられるようになります。
例えば、会議での提案や顧客への説明の場面で、「結論は〇〇です。なぜなら、根拠はAとBとCの3点だからです」といった形で、構造的に話せるようになるでしょう。
このような説明は、聞き手にとっては話の筋道を追いやすく、内容への理解度と納得感が格段に高まります。
結果として、円滑なコミュニケーションが実現し、周囲からの信頼も得やすくなるでしょう。
仕事の効率が良くなる
仕事の効率化においても、論理的思考は大きな力を発揮します。
日々の業務プロセスを論理的に分析することで、「なぜこの作業に時間がかかるのか」「この手順は本当に必要なのか」といった課題を発見しやすくなります。
課題が見つかれば、ボトルネックとなっている工程を特定し、より効率的な手順を再構築することが可能です。
例えば、複数のタスクがある場合でも、それぞれの優先順位と依存関係を論理的に整理し、最適な着手順序を決めることで、手戻りや無駄な作業を減らせるでしょう。
このように、作業全体を構造的に捉えて改善点を見つけ出す能力は、生産性の向上に直結します。
論理的思考力を鍛える方法
論理的思考力は、日々の少しの心がけやトレーニングで着実に伸ばすことができます。
ここでは、日常生活に取り入れやすいものから、趣味として楽しめるものまで、論理的思考力を効果的に鍛える方法を5つ紹介します。
日常生活における些細なことにも常に「なぜ」と疑問を持つ
論理的思考の第一歩は、物事を当たり前と捉えずに、その背景にある理由や原因を探る習慣をつけることです。
例えば、ニュースで「A社がB社を買収した」と聞いたら、そこで思考を止めずに「なぜ買収したのだろう?」「買収することでA社にはどんなメリットがあるのか?」「他の選択肢はなかったのか?」といったように、「なぜ(Why?)」を5回ほど繰り返して深掘りしてみてください。
この「なぜなぜ分析」と呼ばれる手法は、物事の表面的な事象だけでなく、その裏にある本質的な構造や因果関係を理解する訓練になります。
日常生活のあらゆる場面でこの習慣を実践することで、自然と論理的に考える癖が身についていくでしょう。
読書を習慣づける
読書、特に筆者の主張や結論が明確なビジネス書や新書を読むことは、論理的思考力を鍛える上で非常に有効なトレーニングです。
文章を読む際は、ただ文字を追うのではなく、以下の点を意識しながら読み進めましょう。
- 「筆者は何を主張したいのか(結論)」
- 「その主張を支える根拠は何か」
- 「どのような論理展開で結論に至っているのか」
このような読み方をすることで、筆者の思考のプロセスを追体験し、論理的な文章構造のパターンを学ぶことができます。
また、多様なジャンルの本を読むことで、自分の中になかった新しい視点や知識を得られ、多角的に物事を考える力が養われます。
まずは興味のある分野の本からで構いませんので、読書を毎日の習慣に取り入れてみてください。
物事を客観的に考えるようにする
私たちは物事を判断する際、無意識に自分の経験や感情、先入観といった主観的なフィルターを通して見てしまいがちです。
論理的思考においては、こうした主観を一度脇に置き、客観的な事実やデータに基づいて判断する姿勢が不可欠です。
例えば、何か意見を述べるときには、「私はこう思う」という主観だけでなく、「〇〇というデータによれば、こう言える」といった客観的な根拠を添えるように意識しましょう。
また、自分とは異なる意見に触れたときも、感情的に反発するのではなく、「なぜ相手はそう考えるのだろう?」と、その意見の背景にある事実や論理を冷静に分析する癖をつけることが重要です。
ディベートに参加する
ディベートは、特定のテーマに対して賛成・反対の立場に分かれ、第三者を説得するために論理的に議論を戦わせるゲームです。
自分の意見を主張するためには、客観的な根拠やデータを集め、矛盾のない論理を組み立てる必要があります。
さらに、相手の主張を聞き、その論理的な弱点や矛盾点を見つけ出して反論することも求められます。
たとえ自分の本心とは異なる立場であっても、その立場で論理を構築する訓練をすることで、物事を多角的に見る視点や、柔軟な思考力が養われるのです。
社会人向けのディベートサークルやワークショップなども開催されているため、実践的な場で論理的思考を鍛えたい場合には、参加を検討するのもよいでしょう。
論理的思考が必要なゲームを趣味にする
楽しみながら論理的思考を鍛えたいのであれば、戦略的な思考が求められるゲームを趣味にするのがおすすめです。
代表的なものに、将棋やチェス、囲碁といったボードゲームが挙げられます。
これらのゲームでは、数手先の展開を予測し、相手の動きを読みながら、勝利という目的に向かって最も合理的な一手を考え続けなければなりません。
まさに論理的思考の連続です。
また、数独のようなパズルゲームや、プログラミングの要素を取り入れたゲームも、与えられたルールの中で答えを導き出すプロセスが論理的思考の良い訓練になります。
自分が夢中になれるゲームを見つけることで、飽きずにトレーニングを続けることができるでしょう。
プログラミングにも論理的思考が必要な理由
コンピュータは、人間のように曖昧な指示を理解することができません。
「良い感じにやっておいて」といった指示では動かず、処理の一つひとつを具体的かつ順序立てて命令する必要があります。
このコンピュータへの命令書であるプログラムを作成する上で、論理的思考はあらゆる場面で不可欠なスキルとなります。
アルゴリズムやデータ構造への理解が深まる
プログラミングにおけるアルゴリズムとは、「問題を解決するための処理手順」のことです。
例えば、「大量のデータの中から特定の値を効率的に探し出す」という課題に対し、どのような手順で検索すれば最も速く見つけられるかを考えるのがアルゴリズムの設計です。
また、データ構造は「データの集まりをコンピュータ上で効率的に扱うための形式」を指します。
目的の処理に適したアルゴリズムやデータ構造を選択し、組み合わせるためには、それぞれの特性を論理的に理解し、比較検討する能力が求められます。
論理的思考力があれば、処理の効率性や正確性を筋道立てて考え、より質の高いプログラムを構築できるようになるでしょう。
バグの原因を特定しやすくなる
プログラミングにバグ(プログラムの誤り)は付き物です。
プログラムが思った通りに動かない時、論理的思考力はバグの原因を特定する「デバッグ」という作業で真価を発揮します。
「どこかおかしい」と闇雲にコードを修正するのではなく、「このエラーメッセージは、何が原因で表示されるのか」「どの部分の処理までは正常に動いているのか」といった仮説を立て、一つずつ検証していく必要があります。
この、問題を切り分けながら原因を絞り込んでいくプロセスは、まさに論理的思考そのものです。
原因となりうる要素を体系的に洗い出し、可能性の低いものから消去していくことで、効率的かつ確実にバグの根本原因にたどり着くことができます。
複雑な処理をわかりやすく設計できる
大規模なシステムや複雑な機能を持つアプリケーションを開発する場合、いきなり全体のコードを書き始めることはできません。
まずは、実現したい機能全体を、より小さな機能の集合体に分解する必要があります。
そして、それぞれの小さな機能がどのような役割を持ち、互いにどのように連携するのかを整理し、全体の設計図を描かなければなりません。
この「分解」と「構造化」のプロセスにおいて、論理的思考は中心的な役割を果たします。
物事を要素に分解し、それらの関係性を矛盾なく組み立てる能力があれば、複雑な要件であっても、他の開発者が見ても理解しやすい、メンテナンス性の高いプログラムを設計することが可能になります。
セキュリティや例外処理の抜け漏れを防げる
優れたプログラムとは、正常に動作するだけでなく、予期せぬ事態にも正しく対処できるプログラムのことです。
例えば、ユーザーが想定外のデータを入力した場合や、通信が途切れてしまった場合など、あらゆる可能性を事前に洗い出し、それぞれの場合にどう振る舞うべきか(例外処理)を組み込んでおく必要があります。
また、外部からの悪意ある攻撃を想定し、システムの脆弱性を生まないように設計する(セキュリティ対策)ことも極めて重要です。
これらの「起こりうるリスク」を網羅的に想定し、抜け漏れなく対策を講じるためには、物事を多角的に捉え、考えられるパターンを筋道立てて洗い出す論理的思考力が不可欠です。
まとめ
以上、プログラミングに不可欠な論理的思考について、その定義から鍛え方、プログラミング的思考との違い、そしてプログラミングにおける重要性までを解説しました。
論理的思考は、物事を体系的に整理し、筋道を立てて考えるスキルです。
プログラミング的思考の土台となるものであり、才能ではなくトレーニングによって後天的に身につけることができます。
論理的思考を鍛えることで、プログラミングスキルの向上はもちろん、問題解決能力やコミュニケーション能力が高まり、仕事全体の効率化にも繋がるでしょう。
日常生活で「なぜ」と問う習慣をつけたり、読書やゲームを取り入れたりすることで、思考力は着実に養われます。
これからプログラミングを学ぼうとしている方も、すでに学習中の方も、ぜひ論理的思考を意識的にトレーニングし、スキルアップを目指してください。