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PHPは脆弱性が多い?攻撃方法やセキュリティ対策を徹底解説

PHPは脆弱性が多い?攻撃方法やセキュリティ対策を徹底解説 プログラミング言語

PHPを学び始めた初心者の方や、実際にPHPで何かを開発している方の中には、「PHPは脆弱性が多くて危険だ」という話を耳にした人もいるでしょう。

このような悪評を知れば、PHPの安全性に不安を感じてしまうはずです。

確かに、過去にPHPの不適切な実装が原因で発生したセキュリティ事故が多かったのは事実です。
しかし、そのイメージだけで現代のPHPを危険だと決めつけるのは、正しい評価とは言えません。

この記事では、なぜPHPは脆弱性が多いと言われるのかという背景を紹介しつつ、代表的な攻撃方法とその手口、それらの攻撃からアプリケーションやサービスを守るための、今日から使えるセキュリティ対策とベストプラクティスを、初心者にもわかりやすく解説していきます。

【本記事の信頼性】

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【結論】PHPの安全性は言語ではなく「書き方」で決まる

まず最初に、この記事の最も重要な結論からお伝えします。

PHPという言語自体が、他のプログラミング言語と比較して本質的に危険というわけではありません。
アプリケーションが安全になるか、危険になるかは、完全に開発者の「書き方」とセキュリティ知識に依存します。

古い作法や知識でコードを書けば、確かに脆弱性が生まれやすくなるでしょう。
しかし、現代のPHPが推奨する安全な作法を理解し、フレームワークなどのエコシステムを適切に活用すれば、PHPは非常に堅牢で安全なWebアプリケーションを構築できる強力な言語となります。

脆弱性の問題は、言語のせいにするのではなく、開発者がいかに安全なコードを書くかという課題であると、まずは理解してください。

なぜPHPは「脆弱性が多くて危険」と言われるのか?

それでは、なぜPHPには「脆弱性が多い」というイメージが根強く残っているのでしょうか。

それには、PHPの歴史と、普及の過程に存在したいくつかの背景が存在します。

古い情報や危険な関数が残っているから

PHPは1995年に登場した、非常に歴史の長い言語です。
そのため、インターネット上には20年以上前の古いサンプルコードや解説記事が今も数多く残っています。

その中には、現在ではセキュリティ上の問題から使用が強く非推奨とされている、危険な関数(例:mysql_*関数群)を使ったコードも少なくありません。

セキュリティ知識のない初心者が、こうした古い情報を参考にしてコーディングしてしまうと、意図せず脆弱性を作り込んでしまうリスクがあります。

PHPの進化の過程で過去のものとなった危険な遺産が、今なお初心者を惑わせてしまう可能性があるのです。

初心者でも手軽に始められる言語だったから

PHPは、HTMLに埋め込んで手軽に動的なWebページを作成できるという特徴から、プログラミング初心者にとって学習のハードルが低い言語として爆発的に普及しました。

多くの人がWeb開発の世界に入るきっかけとなったことは、PHPの大きな功績と言えるでしょう。

しかしその一方で、セキュリティに関する十分な知識を持たないままアプリケーションを公開してしまう開発者を、結果的に多く生み出してしまった側面も否定できません。

手軽に始められるという長所が、皮肉にも脆弱なコードが世に出回る一因となってしまったのです。

圧倒的なシェアによる攻撃対象の多さ

PHPは、WordPressに採用されていることを筆頭に、世界のWebサイトの非常に大きな割合を占めています。

Web技術の統計データを提供するW3Techsによると、サーバーサイド言語としてPHPを使用している既知のWebサイトは、全体の73.4%にものぼります。

これほどまでに広く使われているということは、それだけ攻撃者にとっても「狙い目」のターゲットが多いということを意味します。

PHP自体に問題がなくても、広く使われているPHP製のアプリケーションに一つでも脆弱性が見つかれば、それが大規模な攻撃に悪用される可能性があります。

この圧倒的なシェアの高さが、「PHP=脆弱」というイメージを助長している面もあるのです。

PHPで注意すべき代表的な攻撃方法とセキュリティ対策

安全なコードを書くためには、まず敵の手口、つまり代表的な攻撃方法を知ることが不可欠です。

ここでは、特に注意すべき4つの攻撃について、その仕組みと具体的なセキュリティ対策をコードと共に解説します。

攻撃方法1:SQLインジェクション

SQLインジェクションは、Webアプリケーションの入力フォームなどを通じて、データベースへの命令文(SQL)の断片を不正に注入(インジェクション)する攻撃です。

成功すると、攻撃者はデータベース内の情報を盗み出したり、改ざん・削除したりすることが可能になり、個人情報の漏洩など壊滅的な被害に繋がる可能性があります。

危険なコード例

<?php
// DB接続は省略
$user_id = $_POST['user_id']; // 例: '1 OR 1=1' という文字列が入力される
$sql = "SELECT * FROM users WHERE id = " . $user_id; // 文字列を直接連結している
$stmt = $pdo->query($sql);
?>

このコードは、ユーザーからの入力を直接SQL文に連結しているため非常に危険です。

もし1 OR 1=1という文字列が入力されると、SQL文はSELECT * FROM users WHERE id = 1 OR 1=1と解釈され、条件が常に真となるため、全ユーザーのデータが取得されてしまいます。

セキュリティ対策:プリペアドステートメントを使う (OK)

<?php
// DB接続は省略
$user_id = $_POST['user_id'];
$sql = "SELECT * FROM users WHERE id = :id"; // 値が入る部分をプレースホルダにする
$stmt = $pdo->prepare($sql);
$stmt->bindValue(':id', $user_id, PDO::PARAM_INT); // 値を後から安全に紐付ける
$stmt->execute();
?>

プリペアドステートメントは、SQL文の「骨格」と、そこにはめ込む「値」を別々にデータベースへ送る仕組みです。

これにより、ユーザーが入力した値は単なるデータとして扱われ、SQL文の構文を破壊することができなくなるため、SQLインジェクションを根本的に防ぐことが可能です。

攻撃方法2:クロスサイトスクリプティング(XSS)

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者がWebページの脆弱性を利用して、悪意のあるスクリプト(主にJavaScript)を埋め込む攻撃です。

そのページを閲覧した他のユーザーのブラウザ上で不正なスクリプトが実行され、セッション情報(クッキー)の窃取によるアカウント乗っ取りや、偽の入力フォームの表示による情報詐取などの被害が発生します。

危険なコード例

<?php
$comment = $_POST['comment']; // 例: <script>alert('XSS');</script> が入力される
echo "<div>あなたのコメント: " . $comment . "</div>"; // 入力値をそのまま出力している
?>

ユーザーが入力した文字列を何の処理もせずにHTMLに出力すると、入力内容に<script>タグが含まれていた場合に、それがブラウザでスクリプトとして実行されてしまいます。

セキュリティ対策:htmlspecialchars()で出力内容をエスケープする (OK)

<?php
$comment = $_POST['comment'];
// HTMLタグとして解釈されうる文字を、無害な文字列に変換(エスケープ)してから出力
echo "<div>あなたのコメント: " . htmlspecialchars($comment, ENT_QUOTES, 'UTF-8') . "</div>";
?>

htmlspecialchars()関数は、<>といったHTMLで特別な意味を持つ文字を、単なる文字列(&lt;&gt;など)に変換します。

ユーザーからの入力をWebページに出力する際は、このエスケープ処理を必ず行うことが、XSS対策の基本中の基本です。

攻撃方法3:クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、ユーザーがログインしている状態で、そのユーザー本人の意図とは無関係に、攻撃者が用意した罠サイトなどを経由して、アプリケーションへのリクエスト(商品の購入、投稿の削除、パスワードの変更など)を強制的に送信させる攻撃です。

CSRFに対する標準的な対策は、推測困難な「トークン」を用いて、そのリクエストが本当にユーザー自身の操作によるものかを確認する仕組みを導入することです。

具体的には以下の通りです。

  1. サーバーは、重要な操作を行うフォームを表示する際に、毎回ユニークなトークンを生成し、セッションとフォームの両方に埋め込む。
  2. フォームが送信されたら、サーバーは送信されてきたトークンと、セッションに保存しておいたトークンを比較する。
  3. 両者が一致した場合のみ正規のリクエストとして処理を実行する。 この仕組みにより、攻撃者が用意した外部サイトからの不正なリクエストをブロックできます。後述するフレームワークには、このCSRF対策機能が標準で組み込まれています。

攻撃方法4:ファイルインクルード攻撃

ファイルインクルード攻撃は、includerequireといった外部ファイルを読み込む関数の引数に、攻撃者が不正なパスを指定することで、本来公開すべきでないサーバー上のファイルを閲覧したり、外部サーバーにある悪意のあるコードを実行させたりする攻撃です。

危険なコード例

<?php
$page = $_GET['page']; // 例: page=../../../etc/passwd が指定される
include($page . '.php'); // 検証なしにファイルを読み込んでいる
?>

URLのパラメータを検証せずにファイルパスとして使用すると、ディレクトリトラバーサルという手法でサーバー内の任意のファイルにアクセスされる危険があります。

セキュリティ対策:読み込むファイルをホワイトリストで厳格に管理する (OK)

<?php
$page = $_GET['page'];
// 読み込みを許可するファイル名のリスト(ホワイトリスト)を定義
$allowed_pages = ['home', 'about', 'contact'];

// 許可されたファイル名の場合のみ処理を実行
if (in_array($page, $allowed_pages, true)) {
    include($page . '.php');
} else {
    // 許可されていない場合はエラーページを表示
    include('404.php');
}
?>

ユーザーからの入力を直接ファイルパスに使うのではなく、あらかじめ許可するファイル名をリストとして定義しておき、そのリストに含まれる値が指定された場合のみ処理を実行する「ホワイトリスト方式」が、安全な対策となります。

現代のPHPで安全なアプリケーションを構築する鉄則

これまで見てきたような個別の攻撃への対策はもちろん重要ですが、より根本的にアプリケーション全体のセキュリティを高めるためには、以下の現代的な開発手法を取り入れることが欠かせません。

常に最新のPHPバージョンを利用する

PHPは活発に開発が続けられており、バージョンアップのたびに新しい機能の追加やパフォーマンスの向上だけでなく、セキュリティの強化も行われています。

古いバージョンのPHPを使い続けることは、既知の脆弱性を放置することになり、非常に危険です。

特別な理由がない限り、常にセキュリティサポートが提供されている最新の安定バージョンを使用するようにしてください。

フレームワーク(LaravelやSymfony)を積極的に活用する

現代のPHP開発において、フレームワークを使わずにゼロからアプリケーションを構築することは稀です。

LaravelやSymfonyといった主要なフレームワークには、これまで解説してきたような基本的なセキュリティ対策(SQLインジェクション対策、XSS対策、CSRF対策など)が、標準機能として組み込まれています。

開発者は、フレームワークが提供する作法に従ってコーディングするだけで、多くの脆弱性を意識することなく未然に防ぐことができます。

セキュリティの専門家たちが長年かけて培ってきたノウハウの恩恵を受けられるため、フレームワークの活用は、PHPアプリケーションのセキュリティを確保する上で最も効果的な手段と言えるでしょう。

ライブラリの脆弱性を管理する

現代の開発は、Composerを使って多くの外部ライブラリ(パッケージ)を組み合わせて成り立っています。
便利な反面、利用しているライブラリ自体に脆弱性が発見されるリスクも常に存在します。

Composer 2.4以降では、composer auditというコマンドが標準で利用できます。

このコマンドを実行すると、プロジェクトが依存しているライブラリに既知の脆弱性がないかを自動でチェックしてくれます。

定期的にこのコマンドを実行し、ライブラリを最新の状態に保つことが重要です。

信頼できる情報源を参照する

セキュリティの世界では、情報が常にアップデートされていきます。
学習の際には、個人のブログ記事だけでなく、以下のような信頼性の高い情報源を参照する習慣をつけましょう。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 日本のITセキュリティに関する公的な情報を発信しています。
OWASP(Open Web Application Security Project) Webアプリケーションのセキュリティに関する世界的なコミュニティ。「OWASP Top 10」は、Web開発者が知るべき最も重要な脆弱性のリストとして有名です。
PHP The Right Way PHPのモダンなベストプラクティスがまとめられている、世界中の開発者に読まれているドキュメントです。

まとめ

以上、なぜ「PHPは脆弱性が多い」と言われるのかの理由や、具体的な攻撃方法、セキュリティ対策などについて解説してきました。

PHPは、正しい知識を持って現代的な手法で開発すれば、非常に安全な言語です。
過去のイメージに惑わされることなく、セキュリティのベストプラクティスを学び、堅牢なWebアプリケーションを構築していきましょう。

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