Webサイト制作の学習を始めると、必ず最初に出会うのが「HTML」と「CSS」です。
この2つはセットで語られることが多いため、特に初学者の方は「何がどう違うの?」と混乱してしまうかもしれません。
しかし、両者の役割は明確に異なります。
HTMLとCSSの違いを理解することが、Web制作の第一歩となるのです。
そこでこの記事では、HTMLとCSSの基本的な役割から、具体的な記述方法の違い、学習の進め方まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
【本記事の信頼性】
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【まずは結論】HTMLは「構造」、CSSは「見た目(装飾)」
HTMLとCSSの違いをひと言で表すなら、その「役割」に集約されます。
Webページを「家」に例えると、非常に分かりやすいでしょう。
まず、HTML(HyperText Markup Language)は、家の「骨組みや構造」を定義する役割を担います。
例えば、「ここが玄関」「ここがリビング」「この部分は窓」といった、Webページ上の各要素が何であるか、どのような意味を持つかを定義していくのです。
見出しや段落、画像、リンクといったWebページの根幹をなす部品は、すべてHTMLによってその存在が示されます。
HTMLがなければ、Webページはその形を保つことすらできません。
一方のCSS(Cascading Style Sheets)は、その骨組みに対して「内装や外装のデザイン」を施す役割を持ちます。
家の例で言えば、「壁紙の色を青にする」「窓枠を木目調にする」「リビングの照明を暖色系にする」といった、見た目に関するあらゆる装飾を担当します。
文字の大きさや色、背景、要素の配置など、ユーザーが目にするWebページのビジュアルは、すべてCSSによってコントロールされているのです。
CSSがなければ、Webページは骨組みがむき出しの、非常に無機質なものになってしまうでしょう。
このように、HTMLで構造を作り、CSSで装-飾する、というのがWeb制作の基本的な関係性なのです。
HTMLとは
HTMLは「HyperText Markup Language」の略称で、Webページのコンテンツが持つ意味や構造を定義するためのマークアップ言語です。
プログラミング言語とは少し異なり、計算処理などを行うことはありません。
その主な役割は、テキストや画像などの情報に「タグ」と呼ばれる目印を付け、コンピュータが「これは見出しである」「これは段落である」と正しく理解できるように意味付け(セマンティクス)をすることです。
例えば、文章を<h1>
というタグで囲めば、それはページ内で最も重要な大見出しとして扱われます。
また、<p>
タグで囲めば、それは一つの段落として認識されます。
他にも、画像を表示するための<img>
タグや、別のページへ移動するための<a>
タグなど、様々なタグが存在します。
これらのタグを適切に組み合わせることで、Webページの骨格、つまり情報構造が構築されていくのです。
この構造は、単に見た目のためだけではなく、検索エンジンがページの内容を正確に把握するためにも極めて重要です。
検索エンジンはHTMLのタグを読み取り、ページの主題や重要なキーワードを判断します。
そのため、適切なHTMLで構造を定義することは、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも不可欠な作業と言えるでしょう。
CSSとは
CSSは「Cascading Style Sheets」の略称で、HTMLによって定義された構造に対して、デザインやレイアウトといった視覚的な装飾を指定するためのスタイルシート言語です。
HTMLがWebページの「骨格」だとすれば、CSSはその「肉付け」や「服装」を担当します。
CSSがなければ、すべてのWebページは白黒のテキストと画像が上から順に並んだだけの、味気ない見た目になってしまいます。
CSSを使うことで、非常に多岐にわたるデザインの指定が可能です。
例えば、以下のような装飾ができます。
- 文字(フォント):大きさ、色、書体、太さの変更
- 背景:色や画像の指定
- レイアウト:要素の幅や高さ、配置(横並びなど)、余白の調整
- その他:ボックスに影をつける、角を丸くする、アニメーションで動きをつける
CSSの記述は、「セレクタ」と「プロパティ」、「値」の3つの要素で構成されます。
「どのHTML要素に(セレクタ)」「何を(プロパティ)」「どのように変更するか(値)」という形式で指定していくのです。
HTMLからデザインに関する記述を完全に分離できるため、Webサイト全体のデザインを効率的に管理・変更できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
HTMLとCSSの違い
HTMLとCSSは、Webページを作成する上で協力し合う関係ですが、その役割や性質には明確な違いがあります。
ここでは、両者の違いを4つの側面から詳しく見ていきましょう。
Webページにおける役割
前述の通り、最も根本的な違いはその役割にあります。
HTMLの役割は、Webページの「構造の定義」です。
文章、見出し、リスト、画像、リンクといったコンテンツの各部分が、ページの中でどのような意味を持つ要素なのかをタグを使って示します。
これは、人間だけでなく、ブラウザや検索エンジンといったコンピュータにページの内容を正確に伝えるための、いわば設計図のようなものです。
対して、CSSの役割は、HTMLで作られた構造に対する「視覚的な装飾」です。
文字の色やサイズ、背景色、要素の配置といった、ユーザーが直接目にするデザイン全般を担当します。
HTMLが定義した「見出し」という要素に対して、「その見出しをどれくらいの大きさで、何色で表示するか」を指定するのがCSSの仕事です。
HTMLが「名詞」や「文章の骨格」を決め、CSSがそれを彩る「形容詞」や「装飾」を担う、と考えると分かりやすいかもしれません。
記述方法
HTMLとCSSでは、コードの書き方(構文)が全く異なります。
HTMLは、<
と>
で囲まれた「タグ」を使ってコンテンツを挟み込み、その部分の意味を定義します。
例えば、段落を表現する場合は<p>ここに文章が入ります。</p>
のように、開始タグと終了タグでコンテンツを囲むのが基本です。
それぞれのタグは、あらかじめ決められた意味を持っており、そのルールに従って記述していきます。
一方、CSSの記述は、「セレクタ」「プロパティ」「値」という3つの組み合わせで構成されます。
セレクタ { プロパティ: 値; }
という形式が基本です。
セレクタは「どのHTML要素を装飾するか」を指定する部分で、h1
やp
といったタグ名を指定します。
プロパティは「何を装飾するか」を指定する部分で、color
(文字色)やfont-size
(文字サイズ)などがあります。
値は「どのように装飾するか」を指定する具体的な内容です。
このルールに沿って、HTML要素に対するデザイン指示を記述していくのがCSSのスタイルなのです。
依存関係
HTMLとCSSの間には、明確な依存関係が存在します。
CSSは、HTMLによって作られた構造がなければ、その効果を発揮することができません。
なぜなら、CSSの役割はあくまでHTML要素を「装飾」することだからです。
装飾の対象となるHTML要素が存在しない限り、CSSはどの要素にスタイルを適用すればよいか分からず、何の役にも立ちません。
つまり、CSSはHTMLに依存して機能する言語であると言えます。
逆に、HTMLはCSSがなくても単体で機能します。
CSSファイルが一切読み込まれなくても、HTMLファイルがあればブラウザはそこに書かれた構造を解釈し、Webページとして表示することが可能です。
もちろん、その見た目は非常にシンプルで、デザインが適用されていない状態になりますが、コンテンツの内容をユーザーに伝えるという基本的な役割は果たせます。
この関係は、HTMLが土台であり、CSSがその土台の上に乗る付加的な要素であることを示しています。
ブラウザへの影響
ブラウザがWebページを表示する際、HTMLとCSSはそれぞれ異なるプロセスで解釈され、最終的な表示に影響を与えます。
まずブラウザは、HTMLファイルを上から読み込み、タグを解釈して「DOMツリー(Document Object Model Tree)」と呼ばれるページの構造ツリーを構築します。
これは、ページのどの部分にどのような要素が存在するかを階層的に表現したものです。
次に、ブラウザはCSSファイルを読み込み、そこに書かれたスタイル情報を解析して「CSSOMツリー(CSS Object Model Tree)」を構築します。
そして、このDOMツリーとCSSOMツリーを組み合わせることで、最終的にどの要素にどのスタイルが適用されるかを計算した「レンダーツリー」が作成されるのです。
ブラウザは、このレンダーツリーに基づいて、各要素の画面上でのサイズや位置を計算(レイアウト)し、最終的にピクセルを描画(ペイント)して、ユーザーが見る美しいWebページを表示します。
HTMLは構造の骨格を、CSSは描画のルールを提供し、ブラウザがそれらを統合して視覚的な結果を生み出しているのです。
【比較】HTMLとCSSの違いをコードで見てみよう
言葉での説明だけでは、なかなかイメージが掴みづらいかもしれません。
ここでは、実際のコードを見比べて、HTMLだけの状態と、そこにCSSを適用したソースコードがどのように違うのか確認してみましょう。
HTMLだけのシンプルなページのコード例
まずは、HTMLのみで記述したページの例です。
見出し、段落、リストといった基本的な要素で構成されています。
CSSによる装飾が一切ないため、ブラウザが持つデフォルトのスタイルで表示されます。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>HTMLのみのページ</title>
</head>
<body>
<h1>HTMLとCSSの違い</h1>
<p>これはHTMLだけで作られたページです。CSSによる装飾はありません。</p>
<h2>学習すべきこと</h2>
<ul>
<li>HTMLの基本構造</li>
<li>主要なタグの意味</li>
<li>正しいマークアップ</li>
</ul>
</body>
</html>
HTMLだけでなくCSSで装飾したページのコード例
次に、先ほどのHTMLファイルは一切変更せず、CSSファイルだけを別途作成して読み込ませた例です。
このソースを実行すれば、背景に色が付き、文字の色やフォント、サイズが変更されます。
さらに、リストの見た目も変わり、全体的に余白が設けられて見やすくなります。
/* style.css */
body {
font-family: sans-serif;
background-color: #f0f8ff;
color: #333;
line-height: 1.6;
}
h1 {
color: #005a9c;
border-bottom: 2px solid #005a9c;
}
h2 {
color: #d9534f;
}
ul {
list-style: none;
padding-left: 0;
}
li {
background-color: #fff;
border-left: 5px solid #d9534f;
padding: 10px;
margin-bottom: 5px;
}
```html
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>CSSで装飾したページ</title>
<link rel="stylesheet" href="style.css">
</head>
<body>
<h1>HTMLとCSSの違い</h1>
<p>これはHTMLだけで作られたページです。CSSによる装飾はありません。</p>
<h2>学習すべきこと</h2>
<ul>
<li>HTMLの基本構造</li>
<li>主要なタグの意味</li>
<li>正しいマークアップ</li>
</ul>
</body>
</html>
HTML/CSSとJavaScriptの関係
Web制作の学習を進めると、HTMLとCSSに加えて「JavaScript」という言語も登場します。
この3つは、Webフロントエンド開発の三本柱とも呼ばれ、それぞれが異なる役割を担っています。
HTMLが「構造」、CSSが「見た目(装飾)」であるのに対し、JavaScriptの役割は「動き(インタラクション)」です。
例えば、Webページ上で以下のような動的な機能を実装したい場合、JavaScriptの出番となります。
- ボタンをクリックしたら、メニューが表示されたり隠れたりする
- 画像のスライドショーが自動で切り替わる
- フォームに入力された内容をチェックして、エラーメッセージを表示する
- 画面をスクロールしたら、新しいコンテンツが下からふわっと表示される
このように、JavaScriptはユーザーのアクションに応じてページの内容を書き換えたり、アニメーションをつけたりと、静的なWebページに生命を吹き込む役割を果たします。
HTMLとCSSだけでは、基本的に表示された内容が変化することはありません。
JavaScriptがHTML要素を操作し、CSSのスタイルを動的に変更することで、初めてインタラクティブなWebサイトが実現できるのです。
HTML、CSS、JavaScriptの3つが揃うことで、現代的でリッチなWeb体験が提供可能になります。
HTMLでよく使われる代表的なタグ
HTMLには非常に多くのタグが存在しますが、Webページを作成する上で頻繁に使われる代表的なタグは限られています。
まずは、以下の基本的なタグの役割を覚えることから始めると、効率的に学習を進めることができるでしょう。
タグ名 | 読み方 | 意味・役割 |
---|---|---|
<h1> 〜<h6> |
エイチワン〜エイチシックス | 見出し。<h1> が最も重要度が高い大見出し。 |
<p> |
ピー | 段落(Paragraph)。文章のまとまりを示す。 |
<a> |
エー | アンカー(Anchor)。他のページへのリンクを作成する。 |
<img> |
イメージ | 画像(Image)を表示する。 |
<ul> |
ユーエル | 順序のないリスト(Unordered List)。 |
<li> |
エルアイ | リストの項目(List Item)。<ul> や<ol> の中で使う。 |
<div> |
ディブ | 分割(Division)。特に意味はないが、要素をグループ化する際に使う。 |
<span> |
スパン | 範囲(Span)。特に意味はないが、文章の一部をグループ化する際に使う。 |
<header> |
ヘッダー | ページの導入部分やナビゲーションを含むヘッダー領域を示す。 |
<footer> |
フッター | ページの作者情報や著作権情報を含むフッター領域を示す。 |
<nav> |
ナビ | ナビゲーション(Navigation)。主要なナビゲーションリンクをまとめる。 |
HTMLとCSSに関するよくある疑問
ここでは、HTMLとCSSの学習を始めるにあたって、多くの方が抱くであろう疑問にお答えします。
HTMLとCSSはどちらを先に勉強すべきか?
結論から言うと、必ずHTMLから先に学習すべきです。
なぜなら、前述の通りCSSはHTMLで作られた構造に対して装飾を行う言語であり、装飾の対象となるHTMLがなければ成り立たないからです。
まずはHTMLでWebページの骨格を正しく作れるようになることが、すべての基本となります。
HTMLの主要なタグの意味や、正しい構造の作り方を一通り理解した後に、CSSの学習に進むのが最も効率的で挫折の少ない学習ルートと言えるでしょう。
ただ、HTMLとCSSはセットになっているようなところがあるため、ある程度HTMLの学習を進めたら、同時並行的にCSSの学習も始めるのがベストです。
HTMLだけでもWebサイトは作れるか?
はい、HTMLだけでもWebサイトを作成し、公開することは可能です。
CSSがなくても、ブラウザはHTMLタグを解釈してコンテンツを表示する能力を持っています。
実際に、インターネットの黎明期にはCSSが存在せず、すべてのWebサイトはHTMLのみで作られていました。
ただし、HTMLのみですと、その見た目は非常に簡素なものになります。
現代のユーザーが期待するようなデザイン性の高いWebサイトを作ることはできません。
情報を伝えるという最低限の目的は達成できますが、ユーザー体験やブランディングの観点からは、CSSによる装飾が不可欠であると言わざるを得ないでしょう。
完全な未経験者でも学習できるか?
はい、全く問題なく学習できます。
HTMLとCSSは、数ある言語の中でも比較的学習のハードルが低い言語です。
特にHTMLは、覚えるべきルールの数が少なく、書いた結果がすぐにブラウザ上で視覚的に確認できるため、プログラミング的思考に慣れていない方でも達成感を得やすいのが特徴です。
実際、多くのITエンジニアやWebデザイナーが、キャリアの第一歩としてHTML/CSSの学習からスタートしています。
適切な学習教材を選び、実際に手を動かしながら学んでいけば、誰でも基本的なWebページを制作するスキルを習得することが可能です。
HTML/CSSを学習するにはどんなツールが必要になるか?
HTMLとCSSの学習を始めるにあたり、特別な高価なツールは一切必要ありません。
最低限、以下の2つがあればすぐにでも学習を開始できます。
テキストエディタ | コードを記述するためのソフトウェアです。Windowsの「メモ帳」やMacの「テキストエディット」でも記述は可能ですが、プログラミング用に開発された無料のテキストエディタを使うのが一般的です。代表的なものに「Visual Studio Code (VSCode)」があり、世界中の開発者に利用されています。 |
Webブラウザ | 記述したコードがどのように表示されるかを確認するために使います。普段インターネットを見る際に使っている「Google Chrome」や「Mozilla Firefox」、「Microsoft Edge」などで問題ありません。 |
基本的にはこの2つだけで十分です。
学習を進めていく上で、画像の編集が必要になれば画像編集ソフトなどが必要になることもありますが、最初の段階ではPCに標準で備わっているツールと、無料のテキストエディタをインストールするだけで準備は完了します。
まとめ
今回は、Web制作の基本であるHTMLとCSSの違いについて、それぞれの役割や特徴を詳しく解説しました。
なお、HTMLやCSSを始めとする言語を体系的に学び、効率よくスキルを高めるには、プログラミングスクールを利用するのも有効です。
細かな疑問がすぐに解決するだけでなく、現役エンジニアが「質の高いポートフォリオ」を作成するための手助けをしてくれたり、エンジニア就職・転職のコツを教えてくれたりするなど、様々なメリットがありますので、独学に疲れた方は検討してみてはいかがでしょうか。