プログラミング言語「Ruby」に興味はあるものの、「具体的に何ができるの?」「実際にどんなものが作られてるの?」という疑問を持っている方も多いでしょう。
Rubyは、Web系言語としてできることがたくさんあります。
Webエンジニアを目指すのであれば、是非習得しておくべき言語です。
そこでこの記事では、Rubyでできること・できないことを詳しく紹介していきます。
実際に開発されたサービスや、Rubyを学ぶメリットなどについても解説しているので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
- 大手プログラミングスクールのWebディレクター兼ライターを経験
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Rubyとはどんな言語?
Rubyは、1995年に日本のソフトウェア技術者である「まつもとゆきひろ(通称Matz)氏」によって開発された、オブジェクト指向スクリプト言語です。
開発者が「ストレスなく、楽しんでプログラミングできること」を最も重視して設計されているのが大きな特徴です。
そのため、文法が非常にシンプルで、人間が読んで直感的に理解しやすいように作られています。
特に、Rubyの強力なフレームワークである「Ruby on Rails」の登場により、Webアプリケーション開発の分野で世界的に広く使われるようになりました。
このフレームワークのおかげで、開発者は面倒な設定作業に時間を費やすことなく、迅速にサービスやアプリケーションのアイデアを形にできるのです。
また、日本発の言語ということもあり、公式ドキュメントをはじめ、書籍やWeb上の情報が日本語で豊富に存在します。
これは、プログラミング初心者が学習を進める上で非常に大きなアドバンテージとなるでしょう。
コミュニティも活発で、世界中の開発者によって今もなお進化を続けている、将来性のある言語です。
Rubyでできること5選
Rubyは汎用性の高い言語ですが、特にその真価を発揮する分野があります。
ここでは、Rubyのできることや得意なこととして代表的な5つを選び、紹介していきます。
Webアプリケーション開発
Rubyでできることの代表格といえば、何と言ってもWebアプリケーション開発です。
その中心的な役割を担っているのが、先ほども触れたWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails(通称Rails)」になります。
Railsの存在が、RubyをWeb開発の主要言語の一つに押し上げました。
Railsは、「Don’t Repeat Yourself(DRY:繰り返しを避ける)」や「Convention over Configuration(CoC:設定より規約)」といった設計思想に基づいて作られています。
これにより、開発者は煩雑な設定ファイルを書く手間が省け、規約に沿うことで開発の生産性を劇的に向上させられるのです。
例えば、Webアプリケーションに必須のデータベース操作やユーザー認証、ページの表示といった機能を、Railsが提供する仕組みや「gem」と呼ばれるライブラリを使うことで、驚くほど少ないコードで実装できます。
この開発スピードの速さは、特に新規事業を素早く立ち上げたいスタートアップ企業などから絶大な支持を得ています。
小規模なサイトから、後述するような大規模サービスまで、幅広い開発に対応できるのがRubyの最大の強みです。
SNS開発
多くの人が日常的に利用しているSNSの開発も、Rubyが得意とする分野の一つです。
実際に、かつてTwitter(現X)が初期段階でRuby on Railsを採用していたことは非常に有名な話です。
SNSには、以下のような多岐にわたる機能が求められます。
- ユーザー登録・ログイン機能
- 投稿(テキスト、画像、動画)機能
- フォロー・フォロワー機能
- 「いいね」やコメント機能
- タイムライン表示機能
- 通知機能
これらの機能は、Ruby on Railsの豊富なgemを活用することで、効率的に実装を進めることが可能です。
例えば、ユーザー認証機能は「devise」というgemを使えば、複雑なログイン処理を簡単に追加できます。
データベースとの連携も強力なため、ユーザー情報や投稿データの管理もスムーズに行えるでしょう。
プロトタイプ(試作品)を迅速に構築できるRubyの特性は、新しいアイデアを試したいSNS開発の現場と非常に相性が良いのです。
ECサイトの構築
オンラインで商品を売買するECサイト(電子商取引サイト)の構築も、Rubyの得意分野です。
ECサイトには、商品管理、在庫管理、ショッピングカート、決済処理、顧客管理といった複雑な機能が必要になりますが、Rubyはこれらの要求にも柔軟に応えることができます。
Ruby on Railsには、ECサイト構築に特化したオープンソースのプラットフォームが存在します。
代表的なものに「Solidus」や、その前身である「Spree」などがあります。
これらのプラットフォームを利用すれば、ECサイトの基本的な骨格を短期間で構築することが可能です。
もちろん、ゼロから独自のECサイトを構築することもできます。
決済機能の実装には、各種決済代行サービスが提供するgemを利用することで、安全な決済システムを比較的容易に組み込めます。
Railsの高いカスタマイズ性を活かせば、単なる商品販売だけでなく、独自のサービスと連携したユニークなECサイトを作り上げることも不可能ではありません。
スクレイピング
スクレイピングとは、Webサイトから特定の情報を自動的に抽出し、収集する技術のことです。
Rubyは、このスクレイピングを行うための強力なライブラリが充実しており、データ収集や分析の分野でも活躍します。
特に有名なライブラリが「Nokogiri(ノコギリ)」と「Mechanize(メカナイズ)」です。
Nokogiriを使えば、HTMLやXML文書を簡単に解析し、必要なデータだけを抜き出すことができます。
Mechanizeは、Webサイトへのログインやフォームの送信といった、ブラウザ操作を自動化するのに役立ちます。
これらのライブラリを組み合わせることで、例えば以下のような作業を自動化できるでしょう。
- 競合他社の製品価格を定期的に収集し、比較分析する
- 不動産サイトから希望条件に合う物件情報を自動で取得する
- ニュースサイトから特定のキーワードを含む記事だけをリストアップする
スクレイピングは、市場調査やデータ分析の効率を大幅に向上させられるため、Webマーケティングの現場などでも重宝される技術です。
ただし、スクレイピングを行う際は、対象サイトの利用規約を必ず確認し、サーバーに過度な負荷をかけないよう注意してください。
API開発
API(Application Programming Interface)開発も、Rubyの重要な用途の一つです。
APIとは、あるソフトウェアやWebサービスの機能やデータを、外部の他のアプリケーションから呼び出して利用するための窓口のようなものです。
例えば、スマートフォンアプリの裏側(バックエンド)では、APIサーバーが動いています。
アプリからの要求に応じて、APIサーバーがデータベースからユーザー情報を取得したり、新しいデータを保存したりといった処理を行い、その結果をアプリに返します。
Ruby on Railsには「APIモード」という機能が搭載されており、これを利用することで、画面表示(フロントエンド)の機能を持たない、データ通信に特化したAPIサーバーを非常に効率良く構築できるのです。
Rubyでできないこと・苦手なこと
Rubyは非常に強力な言語ですが、万能ではありません。
他のプログラミング言語の方が適している分野も存在します。
ここでは、Rubyが比較的苦手とする3つの分野について解説していきます。
機械学習
近年、大きな注目を集めている機械学習やAI、データサイエンスの分野では、残念ながらRubyが主役になることは少ないでしょう。
この分野のスタンダードな言語はPythonです。
Pythonには、「TensorFlow」「PyTorch」「scikit-learn」といった、機械学習のための高品質で豊富なライブラリやフレームワークが揃っています。
世界中の研究者や開発者がPythonを利用しているため、コミュニティも非常に大きく、最新の論文がすぐにライブラリに実装されるなど、エコシステム全体が成熟しています。
Rubyにも「SciRuby」プロジェクトのような科学技術計算ライブラリ群は存在しますが、Pythonの充実度には及ばないのが現状です。
そのため、本格的な機械学習モデルの開発を行いたい場合は、Pythonを選択するのが一般的です。
スマホアプリ開発
iPhoneやAndroidで動作するスマートフォン向けのネイティブアプリ開発に、Rubyを直接使用することは基本的にできません。
スマホのネイティブアプリは、「iOSアプリならばSwiftかObjective-C」「AndroidアプリならばKotlinかJava」といったように、それぞれのOSが指定する言語で開発するのが主流です。
過去には「RubyMotion」という、Rubyでスマホアプリを開発できるツールもありましたが、現在では主流の選択肢とは言えません。
ただし、これはアプリの見た目や操作部分(フロントエンド)の話です。
前述のAPI開発で解説した通り、スマホアプリのバックエンド(サーバーサイド)をRubyで開発するという構成は非常によく見られます。
ユーザーデータの管理や処理をRubyで行い、APIを介してスマホアプリと通信する形です。
Webデザイン
Webサイトの見た目や動きを作るWebデザインの領域も、Rubyの担当範囲ではありません。
Rubyは、サーバーサイド、つまりWebサイトの裏側でデータを処理したり、HTMLを生成したりする言語です。
Webサイトの見た目を構成する要素は、以下のフロントエンド技術が担っています。
HTML | Webページの骨格となる構造やテキストを定義する。 |
CSS | 文字の色や大きさ、レイアウトなど、ページの見た目を装飾する。 |
JavaScript | クリック時のアニメーションや、入力内容のチェックなど、ページに動的な機能を追加する。 |
Web開発を行う上では、Rubyのようなサーバーサイド言語と、これらのフロントエンド技術を組み合わせて一つのサービスを作り上げていきます。
したがって、Rubyエンジニアであっても、HTMLやCSS、JavaScriptの基本的な知識は必要不可欠です。
Rubyを学ぶメリット
Rubyには苦手な分野もありますが、それを補って余りある多くのメリットが存在します。
特にプログラミング初心者や、Web開発者を目指す方にとって、Rubyは非常に魅力的な学習対象です。
文法がシンプルなので初心者でも習得しやすい
Rubyを学ぶ最大のメリットの一つは、その文法のシンプルさと可読性の高さです。
開発者のまつもと氏が「プログラミングを楽しく」という思想を込めた通り、Rubyのコードはまるで英語の文章を読むように、直感的に理解できるよう設計されています。
例えば、他の言語では複雑な記述が必要になる処理も、Rubyでは驚くほど短く、シンプルに書けることが少なくありません。
覚えるべき記号やルールが比較的少ないため、プログラミングの概念そのものの理解に集中しやすいのです。
この「書きやすさ」と「読みやすさ」は、学習初期の段階でつまずきやすい「コードが何を意味しているのか分からない」という挫折の壁を低くしてくれます。
楽しみながら学習を進められることは、スキル習得において非常に重要な要素と言えるでしょう。
日本語の情報量が多く疑問を解決しやすい
Rubyが日本で開発された言語であることは、日本人学習者にとって計り知れないメリットをもたらします。
公式のドキュメントが日本語で提供されているのはもちろんのこと、書籍、技術ブログ、Q&Aサイトなど、質の高い日本語の情報がインターネット上に豊富に存在します。
プログラミング学習では、エラーの解決がつきものです。
エラーメッセージをコピーして検索した際に、日本語で書かれた分かりやすい解説記事がすぐに見つかる環境は、独学で学ぶ際の心強い支えとなります。
英語の技術文書を読むことに抵抗がある初心者にとって、この点は他の言語にはない大きなアドバンテージです。
また、日本国内のRubyコミュニティも活発で、「RubyKaigi」のような世界的な技術カンファレンスが日本で開催されるなど、学習者が集い、情報交換をする機会にも恵まれています。
Web系のスタートアップ企業が好んで採用している
Ruby、特にRuby on Railsは、Web系のスタートアップ企業で非常に人気の高い技術です。
その理由は、これまでも述べてきた通り、圧倒的な開発スピードにあります。
スタートアップ企業は、限られたリソースの中で、自社のアイデアを素早く形にし(MVP:Minimum Viable Product、実用最小限の製品)、市場の反応を見ながら改善を繰り返していく必要があります。
Ruby on Railsは、このようなアジャイルな開発スタイルに非常に適しており、短期間でサービスをリリースすることを可能にします。
これは、Rubyエンジニアにとって大きなチャンスとなります。
実際に各種求人サイトを見ると、自社サービスを開発するWeb系企業を中心に、Rubyエンジニアの募集が数多く見つかります。
モダンな開発環境で、新しいサービス作りに挑戦したいと考えている人にとって、Rubyは魅力的なスキルセットとなるでしょう。
Rubyで作られたサービスやアプリの例
Rubyが実際にどのようなサービスで使われているのかを知ることで、その実用性や信頼性をより深く理解できるはずです。
ここでは、誰もが知っているであろう、Ruby(主にRuby on Rails)で作られた有名なWebサービスの例を5つご紹介します。
食べログ
日本最大級のレストラン検索・予約サイトである「食べログ」は、Ruby on Railsで開発されている代表的なサービスの一つです。
膨大な数の店舗情報や口コミ、ユーザーデータを扱い、日々大量のアクセスを処理していることからも、Ruby on Railsが大規模サービスの開発にも耐えうる堅牢なフレームワークであることが分かります。
サービスの成長に合わせて、長年にわたりRubyと共に進化してきた好例と言えるでしょう。
Hulu
世界的に有名な動画配信サービス「Hulu」も、そのシステムの一部でRuby on Railsを採用しています。
全ての機能がRubyで構築されているわけではありませんが、グローバルに展開する大規模なコンシューマー向けサービスのバックエンドでRubyが活躍しているという事実は、その技術的な信頼性の高さを物語っています。
クックパッド
レシピ投稿・検索サイトとして絶大な人気を誇る「クックパッド」も、Ruby on Railsで構築されていることで非常に有名です。
ユーザーがコンテンツを投稿するCGM(Consumer Generated Media)の代表格であり、複雑な機能を持ちながらも快適なサービスを提供し続けています。
同社は日本のRubyコミュニティを牽引する存在でもあり、技術ブログなどで積極的に情報を発信しています。
価格.com
様々な商品の価格比較ができるサイト「価格.com」も、初期の開発にRuby on Railsを採用していたことで知られています。
現在は様々な技術が使われていますが、サービスの礎を築いたのがRubyであったことは、その生産性の高さを証明する事例です。
膨大な商品データを扱う比較サイトという複雑なドメインにおいても、Rubyが有効であったことがわかります。
freee
クラウド会計ソフトのパイオニアである「freee」も、その主要なサービスをRuby on Railsで開発しています。
会計という、正確性とセキュリティが極めて高度に要求されるFinTech(フィンテック)分野において、Rubyが採用されている点は注目に値します。
これは、Ruby on Railsが単に速く作れるだけでなく、堅牢で信頼性の高いアプリケーションを構築するための基盤としても優れていることを示しています。
Ruby初心者向けのおすすめの勉強法
Rubyの魅力と可能性を感じ、これから学習を始めたいと思った方のために、おすすめの勉強法を3つのステップでご紹介します。
まずは初心者向けの書籍で体系的な知識を取り込む
プログラミング学習を始めるにあたり、まずは初心者向けの書籍を一冊通読することを強くおすすめします。
Web上の情報は断片的になりがちですが、書籍であれば専門家によって順序立てて構成されているため、Rubyの文法や概念を体系的に、かつ網羅的に学ぶことができます。
図解が豊富で、サンプルコードを実際に動かしながら学べるような本を選ぶと良いでしょう。
「なぜそう書くのか」という理由まで丁寧に解説されている本は、表面的な知識だけでなく、応用力を身につける助けになります。
焦らず自分のペースで読み進め、基礎固めをしっかり行うことが、後の学習をスムーズにする鍵です。
オンライン学習サイトで基礎を習得する
書籍でのインプットと並行して、オンライン学習サイトを活用するのも非常に効果的です。
特に以下のようなサイトは、多くの初心者に利用されています。
スライド形式の分かりやすい解説を読んだ後、ブラウザ上で実際にコードを書いて課題をクリアしていく形式です。
環境構築が不要で、ゲーム感覚で手軽に始められます。
1本3分程度の短い動画で学習を進められるサービスです。
動画を見ながら、自分のパソコンで同じように手を動かして学ぶスタイルで、実践的な知識が身につきます。
これらのサイトは、プログラミングの「お作法」や「手を動かす感覚」を掴むのに最適です。
書籍で得た知識を、オンライン学習サイトでアウトプットすることで、理解をより深めることができるでしょう。

プログラミングスクールで本格的なスキルを習得する
独学での挫折が不安な方や、短期間で集中的に学び、転職まで見据えたいという方には、プログラミングスクールに通うという選択肢もあります。
スクールでは、経験豊富なメンター(講師)から直接指導を受けられるため、わからない点をすぐに質問して解決できます。
また、オリジナルのWebアプリケーション(ポートフォリオ)制作のサポートを受けられることが多く、これは就職・転職活動において非常に強力な武器になります。
もちろん費用はかかりますが、カリキュラムに沿って学習を進めることで挫折しにくくなるほか、同じ目標を持つ仲間と出会えるというメリットもあります。
時間やお金を投資してでも確実にスキルを身につけたい場合には、有効な選択肢となるでしょう。
なお、Rubyを学べるプログラミングスクールの中では、RUNTEQ(ランテック)が圧倒的な人気を誇っています。
大手比較サイト「マイベスト」でも、4年連続で人気ランキング1位を獲得しているほどです。
RUNTEQの評判や受講内容などについては、以下の記事にまとめてありますので、気になる方は是非ご覧ください。

まとめ
以上、Rubyでできることやできないこと、Rubyで作られたサービス・アプリ、Rubyを学ぶメリットなどについて詳しく紹介してきました。
Webエンジニアになりたいと考えている人には、Rubyは大変おすすめの言語です。
初心者でも習得しやすく、Web系スタートアップ企業からの求人数が非常に多いという特徴がありますので、Webエンジニア志望の方は是非Rubyの習得を目指してみてはいかがでしょうか。