「残業を減らす方法はない?」
ITエンジニアを目指しているものの、「激務だ」「残業なんて当たり前だ」という意見を耳にして、ひるんでしまっている方もいるかもしれません。
しかし、「ネット上にある一部の声」や「友人・知人の一言」を鵜呑みにしてしまうのは危険です。
この記事では、ITエンジニアと残業の関係に関する真実について、詳しく解説していきます。
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ITエンジニアは本当に残業が多いのか
ITエンジニアは残業が当たり前なのか、ITエンジニアは平均どれくらい残業しているのか。
こういったことを知りたい方も多いでしょう。
この項目では、上記2つの疑問を解消すべく、ITエンジニアと残業の関係について詳しく紹介していきます。
ITエンジニアは残業が当たり前?
ITエンジニアの仕事には「残業が多い」というイメージを持っている人も少なくありませんが、その実態は「勤務する企業」や「参加するプロジェクト」によって大きく異なるため、一概には言えません。
企業の体質やプロジェクトの状況によっては、過酷な残業を強いられることもあります。
従業員に長時間残業させることをなんとも思わないブラック企業や、納期が迫ったプロジェクトなどにおいては、残業規制の上限を超えるような働き方を求められることも少なくないのです。
逆に、意識の高いIT企業ならば、過度な残業や違法な残業をエンジニアたちにさせないように、さまざまな工夫をしています。
例えば、フレックスタイム制を導入したり、リモートワークメインにして通勤にかかる移動時間を削ったり、といったケースです。
このような取り組みにより、ITエンジニアの残業が必ずしも当たり前ではない環境が整いつつあります。
結局、残業が当たり前になってしまうかどうかは、「どのような企業に勤めるか」が最も重要になると言えるでしょう。
ITエンジニアの平均残業時間
ITエンジニアの平均残業時間は、前述の通り「勤務する企業の体質」や「参加するプロジェクトの状況」に大きく左右されます。
一般的には、月に20〜40時間程度の残業が発生することが多いですが、プロジェクトの進行状況や締め切りの迫り具合によっては、それ以上の残業が発生することも多いです。
繁忙期には、月に60時間以上の残業をするITエンジニアも存在します。
また、ITエンジニアの中でも、特にシステム開発や運用保守に携わるエンジニアは、予期しないトラブルや障害対応のために急な残業が発生することが多いです。
これに対して、自社開発を行っている企業の場合、プロジェクトのスケジュール管理がしっかりしていることが多く、比較的残業時間が少ない傾向があります。
受託開発企業やSES(システムエンジニアリングサービス)企業では、クライアントの要求に応じて柔軟な対応が求められるため、残業が増えることが多いです。
特に、クライアントの要望や仕様変更が頻繁に発生する場合、計画外の作業が増え、結果として残業時間も増加しやすいでしょう。
業界全体としては、ITエンジニアの平均残業時間は他の職種と比較しても高めであることが多いですが、企業やプロジェクトの種類によってバラバラ、というのが実態です。
ITエンジニアの残業時間の実態
画像引用:https://staff.persol-xtech.co.jp/i-engineer/human/overtime
ITエンジニア550人を対象に行われた上記アンケートによると、一か月の残業時間として最も多いのが「10~30時間未満(33.2%)」となっています。
次に多いのが、「30~40時間未満(17.2%)」です。
とはいえ、「全体の56%」という過半数を超えるITエンジニアが、月30時間未満の残業で収まっているため、決して「残業が当たり前な状況」とは言えないでしょう。
法定労働時間の上限を超える残業(時間外労働)は、原則として月45時間です。
その範囲内には充分収まっています。
上記はあくまで一例ではありますが、ITエンジニアの残業時間の実態について把握するためのデータとして、参考程度に捉えていただければと思います。
ITエンジニアの残業が多いと言われる理由
巷では、「ITエンジニアは残業時間が多いもの」という認識が一般的なものとなっているようです。
では、なぜそのように捉えられているのでしょうか?
この項目では、「ITエンジニアは残業が多くて当たり前」と言われている理由について紹介していきます。
主な理由としては、以下の通りです。
- ITエンジニア自体が不足している
- 突然の仕様変更が多い
- スキル不足のエンジニアがいる
- 業界として残業が常態化している
ITエンジニア自体が不足している
ITエンジニアの残業が多いと言われる理由の一つとして、IT業界全体でエンジニアが不足している現状が挙げられます。
IT業界の人材不足は、以前から懸念されていました。
画像引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s02_00.pdf
上記の通り、経済産業省によると、2030年には最大79万人ものIT人材が不足するという試算を公表しています。
特に人材不足の問題は、中小企業やスタートアップ企業において深刻です。
需要に対して供給が追いつかないため、一人ひとりのエンジニアにかかる負担が大きくなり、自然と残業時間が増える傾向にあるのです。
ITエンジニアに過度な負担がかかるようになれば、肉体的にも精神的にもダメージが蓄積され、最悪の場合離職してしまうということもあり得るでしょう。
そうなれば、更なる人手不足に悩まされることになります。
このように、ただでさえ不足しているITエンジニアが、負の連鎖によってさらに減ってしまうという状況も、ITエンジニアの残業時間が増えてしまう要因の一つとなります。
突然の仕様変更が多い
クライアントによる突然の仕様変更が頻繁に発生することも、ITエンジニアが残業を多く強いられる理由の一つです。
プロジェクトの初期段階で、クライアントや社内の関係者と詳細な要件定義を行っても、実際に開発が進むにつれて新たな要望や変更が発生することは避けられません。
特に、IT業界は技術の進化が早く、市場のニーズも急速に変わるため、当初の計画通りに進められなくなることも多いです。
そのたびに仕様変更が発生することもあるため、変更に対応するための時間とリソースが追加で必要になります。
その結果、エンジニアは予定外の作業を強いられるため、残業を余儀なくされることになるのです。
スキル不足のエンジニアがいる
チームの中にスキルが不足しているエンジニアがいることも、残業発生の理由となります。
- やる気のない人
- 勉強不足な人
- 新人
こうしたエンジニアがチーム内にいると、その分誰かがフォローしなければならなくなり、しわ寄せがきます。
新人のフォローならば仕方ありませんが、やる気のない人や努力不足の人の穴を埋めるために残業をするとなると、ばからしくもなってしまうでしょう。
しかし実際に、「エンジニアとしての責任感や向上心を持たない」という人はどうしても存在するものです。
ITエンジニアに限った話ではなく、組織であれば、足を引っ張る人がいるのは避けられません。
業界として残業が常態化している
IT業界では、「残業が常態化している」と言われることがあります。
そう言われてしまう背景としては、以下のような事情があります。
- 厳しい納期が設定される
- 次々に新しい技術が登場する
- 上流設計でミスがある
- システム障害が発生する
特に多いのが、納期の問題です。
自社で自由に開発スケジュールを決められる自社開発企業ならば、余裕を持った納期を設定することが可能です。
しかし、クライアントの都合で納期が決まる受託開発企業やSES企業の場合は、納期に追われることが多くなってしまうのです。
本来、SES契約の場合は成果物の納品義務がないため、納期を気にする必要はありません。
決められた時間分の労務を提供すれば問題ないので、残業が発生しにくい働き方と言えます。
ところが、SESの実態として、正当な労働環境からかけ離れていることも珍しくありません。
ブラックな環境で、本当ならば応じる必要のない残業を強制されるというケースも横行しているのです。

ITエンジニアは残業を断れる?
ITエンジニアが残業を断れるかどうかは、ケースバイケースです。
まず大事になってくるのが、「企業やチームの文化」です。
企業内や参加するチーム内に、「残業するのが当たり前」という雰囲気が漂っている場合は、残業する必要などない状況であっても、断りづらくなってしまうでしょう。
残業を断る権利は誰しもあるのですが、開発チームのメンバーが一丸となって納期に間に合わせようとしている中で、一人だけ「自分は帰る」とは言いだしづらいはずです。
また、自分のスキルも影響してくるでしょう。
明らかに周囲のエンジニアと比べてスキルが劣っている状況で、誰も帰らない中、自分だけ残業せずに帰宅するという選択はなかなかできるものではありません。
このように、ITエンジニアであろうとなんだろうと、正当な理由さえあれば残業を断る権利を持っているものの、その権利を自由に行使するのは難しいため、空気を読みながら対応していく必要があります。
残業が多いかどうかは勤める企業によって異なる
ITエンジニアとして働く上で残業が多くなるかどうかは、務める企業の種類によって大きく変わってきます。
自社開発企業の場合
自社開発企業の場合は、自社で自由にスケジューリングできるため、プロジェクトのスケジュールや仕様が比較的安定していることが多いです。
自社製品の開発・運用に携わるため、プロジェクトの進捗管理がしやすく、突発的な仕様変更や納期の急な変更が少ないという点も、残業が発生しにくい理由の一つです。
そもそも長期的な視点での開発が求められることが多いため、計画的な作業が可能となり、無理なスケジュールを組まれることが少ないです。
ただし、自社開発企業とはいえ、プロジェクトの進行状況や市場の動向によっては、納期が厳しくなることもあります。
例えば、ライバル企業が類似のサービスをリリースしそうになっていうようなケースです。
こういった場合は残業が発生することもありますが、あくまで一時的なものであり、長期的には安定した勤務環境が期待できると言えるでしょう。
受託開発企業の場合
受託開発企業の場合、残業の量はプロジェクトの特性やクライアントの要求によって大きく変動します。
受託開発企業は、クライアントからのプロジェクトを受けて開発を行うため、納期や品質に対するプレッシャーが大きいことが多いです。
このため、時期によっては非常に多忙になり、残業が増えることがあります。
特に、プロジェクトの納期が迫っている場合や、クライアントからの突然の仕様変更が発生した場合には、チーム全体での対応が必要となり、残業が必然となるケースがよく見受けられます。
また、受託開発企業では複数のプロジェクトを同時に進行することが一般的であり、これも残業時間の増加に繋がる要因の一つです。
一方で、受託開発企業によっては、働き方改革の一環として残業削減に力を入れているところもあります。
例えば、プロジェクトの初期段階で詳細なスケジュールを立て、リスク管理を徹底することで、納期前の過剰な残業を防ぐ取り組みを行っている企業もあります。
SES企業の場合
SES(System Engineering Service)企業に勤めるITエンジニアの残業状況は、他の企業形態とは異なる特徴があります。
SES企業は、クライアントのプロジェクトにエンジニアを派遣する形態をとります。
納品義務がないSESエンジニアは、派遣先の企業やプロジェクトの状況がどうであれ、それに影響を受けることなく、決まった時間の労務を提供すれば問題ありません。
つまり、納期が迫っていようが、あらかじめ決められた時間だけ働けば、SESエンジニアは残業する必要がないのです。
ところが、SES契約の実態はそうではなく、クライアントの状況に左右されて残業を強いられるケースも多発しています。
これは、SESとして働くエンジニア側に知識がなかったり、すべてを理解した上でSESエンジニアをこき使うSES企業やクライアントが存在することから起こっている現象です。
優良なSES企業ならば、自社のエンジニアを、クライアントの命令で残業させるようなことはしません。
SESエンジニアに対する指揮命令権はSES企業側が有するため、クライアントが残業を命じることはできないのです。
このように、本来ならば最も残業が発生しにくいSESエンジニアなのですが、不当な残業を強いられていることも多いので注意が必要です。
ITエンジニアが残業を少なくする方法
以下のようなことを意識することで、残業を減らしつつITエンジニアとして働くことが可能となります。
- スキルアップに励む
- SES企業に勤める
- 上司に相談する
スキルアップに励む
ITエンジニアとして残業を少なくするためには、スキルアップが極めて重要です。
スキルアップに励むことで、業務効率を高め、生産性を向上させることができます。
最新の技術トレンドやツールに関して常に学び続ける姿勢が重要ですので、強く意識するようにしましょう。
自己学習だけでなく、社内外の研修やセミナーに参加することも有効です。
これにより、実践的なスキルを身につけるだけでなく、同じ業界の他のエンジニアとの繋がりも強化できます。
これらの人脈は、情報交換や問題解決に役立つことが多く、結果として業務の効率化につながります。
さらに、特定の分野や技術に特化した専門知識を深めることも重要です。
例えば、クラウドコンピューティング、データサイエンス、セキュリティなどの専門知識を持つことで、プロジェクトの特定の部分を迅速に解決する能力が身につくことでしょう。
忘れてはいけないのが、「コミュニケーションスキル」です。
コミュニケーションと聞くと接客業を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、エンジニアにもコミュニケーションスキルが欠かせません。
チームで動くことも多いですし、時にはクライアントと円滑に交渉しなければならないこともあるでしょう。
このような、エンジニアに求められるスキルを高めていく努力を怠らないようにしてください。
SES企業に勤める
SES企業に勤めることは、ITエンジニアが残業を少なくする一つの方法として有効です。
前述の通り、SES契約のもとで働くエンジニアの場合は、納品の義務を負わず、あらかじめ決められた時間分の労務を提供すれば問題ありません。
どれだけ納期が近かろうと、急なトラブルが発生しようと、基本的には時間内で退勤することができ、残業が発生しにくい契約形態なのです。
したがって、残業を回避したいのであれば、SES契約がもっとも向いています。
しかし、これもすでに解説した通り、実態は大きくかけ離れていることも珍しくありません。
SES企業は多重下請けによって得られる利益が削られていることも多いので、本来の契約を無視してでも、自社のSESエンジニアを不当に残業させて働かせているということもあります。
上司に相談する
残業の多さに苦しんでいるようならば、上司に相談するのも一つの方法です。
多くの場合、上司は部下の業務状況や負担を把握しているつもりでも、実際の細かい部分までは見えていないことがあります。
そのため、自分が抱える問題や困難について、上司へ具体的に説明することで、より詳しく理解してもらえます。
相談する際は、何の用意もせずに漠然と相談するのではなく、自分の業務内容と進行状況を整理し、具体的なデータや事例を用意しておきましょう。
たとえば、どのタスクにどれだけの時間がかかっているのか、どれくらいの頻度で突発的な対応が求められているのかなどを示すと効果的です。
そして、具体的な解決策や提案を上司に提示することも重要です。
単に「残業を減らしたい」と伝えるだけではなく、
- どのように業務を改善できるか
- どのタスクを他のメンバーと分担できるか
- どのプロジェクトの優先順位を見直すべきか
・・・など、具体的な提案を行うことで、上司も実行に移しやすくなるでしょう。
AIツールを活用する
ChatGPTを始めとするAIツールの進化が著しい現在。
プログラミングの際も、最初から自分でソースを書くのではなく、AIツールで適切なプロンプトを入力することで、たたき台となるソースコードを一瞬で手に入れることができます。
これにより、大幅に作業時間を短縮できますので、残業時間を削ることが可能となるでしょう。
例えば、Pythonで「入力フォーム」のソースを書くとします。
様々なAIツールがありますが、今回は、WindowsPCならば標準装備されている「Copilot(コパイロット)」を使ってみます。
ちなみに、CopilotはChatGPTをベースとしています。
Copilotにて、上記のプロンプトを入力したところ、以下のようなソースがすぐさま出力されました。
ソースコードを提示するだけでなく、事前にインストールしておくべきフレームワーク(Flask)についても教えてくれるという、至れり尽くせりな対応です。
まさに、「AI様様」でしょう。
(ちなみにFlaskは、最小限の機能が搭載された小規模な軽量フレームワークです)
時短のために、もはやAIツールの活用は必須となっている時代です。
ITエンジニアならば、AIツールをいかに上手く使えるかが問われるようになっていますので、積極的に使うようにしてください。
まとめ
以上、ITエンジニアは残業が多くて当たり前なのか?という疑問に対してや、残業が発生しやすい働き方、残業の減らし方などについて詳しく解説してきました。
確かに、ITエンジニアは残業が発生しやすい職種の一つです。
しかし、勤める会社や働き方を理解することで、極力残業しない形を実現することは可能ですので、残業を避けたいと考える人は、是非本記事を参考に実践してみてください。