このような声を耳にした方もいるでしょう。
しかし、結論から言えば、それは誤った認識です。
実際には、多くの企業がフルスタックエンジニアを求めており、その市場価値は年々高まっています。
この記事では、なぜ「フルスタックエンジニアはいらない」と言われてしまうのかについてや、実際はフルスタックエンジニアの需要が高い理由、活躍できる具体的な現場、そして求められるスキルセットまで、最新の情報を交えて詳しく紹介します。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
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フルスタックエンジニアとは
フルスタックエンジニアは、開発の全工程を一人で担当できる技術者のことです。
その多岐にわたる仕事内容と、専門性の高さが反映された年収について見ていきましょう。
仕事内容
フルスタックエンジニアの仕事内容は、Webサービスやアプリケーション開発における全領域をカバーします。
具体的には、ユーザーが直接触れる画面のデザインや操作性を作り込む「フロントエンド開発」から、サーバー側でデータの処理や保存を行う「バックエンド開発」、さらにはシステムを安定稼働させるための「インフラ構築・運用」まで、多岐にわたるのが特徴です。
例えば、新しいWebサービスを立ち上げるプロジェクトがあったとします。
フルスタックエンジニアは、まずユーザーインターフェース(UI)を設計し、HTMLやCSS、JavaScriptといった技術で実装します。
次に、ユーザー登録情報や投稿データを管理するためのデータベースを設計し、JavaやPython、Rubyなどの言語を用いてサーバーサイドのプログラムを構築するのです。
さらに、そのシステムをAWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)といったクラウドサービス上に展開し、公開後の保守・運用まで責任を持つことも少なくありません。
このように、企画段階から開発、運用まで一気通貫で関われるのが、フルスタックエンジニアの最大の強みであり、やりがいと言えるでしょう。
平均年収
フルスタックエンジニアの平均年収は、そのスキルの幅広さと希少性から、一般的なITエンジニアと比較して高い水準にあります。
2025年時点の各種求人情報や転職市場のデータを分析すると、その範囲は約600万円から1,200万円程度が目安となります。
もちろん、経験年数や習熟している技術、プロジェクトの規模によって年収は大きく変動します。
例えば、3年〜5年程度の実務経験を持つ若手クラスであれば、年収600万円前後となるケースが多いです。
しかし、複数の大規模プロジェクトを成功に導いた経験を持つシニアクラスのフルスタックエンジニアになると、年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
特に、最新のクラウド技術やコンテナ技術に精通し、プロジェクト全体をリードできる人材は、企業から高い評価を受け、1,500万円以上の年収を提示されることもあります。
なぜフルスタックエンジニアはいらないと言われる?
高い需要と年収を誇る一方で、「フルスタックエンジニアはいらない」という意見も存在します。
その背景には、スキルの専門性やプロジェクトの特性に関するいくつかの誤解や懸念があるようです。
ここでは、そうしたネガティブな意見が生まれる理由を掘り下げていきます。
器用貧乏であると思われるから
「フルスタックエンジニアはいらない」と言われる最も一般的な理由の一つが、「器用貧乏」というイメージです。
フロントエンドからバックエンド、インフラまで幅広く手掛けるため、それぞれの分野における知識やスキルが中途半端になり、専門性が低いのではないかと見なされることがあります。
例えば、フロントエンド専門のエンジニアは、最新のJavaScriptフレームワークの深い知識や、パフォーマンスチューニングの高度な技術を追求しています。
同様に、バックエンド専門のエンジニアは、大規模なトラフィックを処理するためのデータベース設計や、セキュリティ対策に関する深い知見を持っています。
これに対し、フルスタックエンジニアは全ての領域をカバーする分、一つの分野を極めたスペシャリストと比較すると、専門性の深さで劣るのではないか、という懸念を持たれてしまうのです。
そのため、技術的な難易度が非常に高い特定領域の問題解決においては、スペシャリストの方が適任だと判断される場面もあるでしょう。
何が得意なのかわかりづらいから
スキルの幅広さは、裏を返せば「結局、何が一番得意なのかが分かりづらい」という印象を与えてしまうことがあります。
採用担当者やプロジェクトマネージャーがエンジニアのスキルを見極めようとする際、履歴書や職務経歴書に「フロントエンド、バックエンド、クラウド全般を経験」と書かれていると、どの技術領域で特に高いパフォーマンスを期待できるのか判断に迷う場合があります。
例えば、「Reactでの5年間の開発経験」を持つフロントエンド専門家や、「AWSを用いた大規模インフラ構築の経験」を持つクラウド専門家は、その強みが明確です。
一方で、フルスタックエンジニアは、自身の最も得意とする分野や、プロジェクトで特に貢献できる点を具体的にアピールしなければ、「広く浅い」と評価されてしまうリスクを抱えています。
この「得意分野の不明確さ」が、専門性を重視する現場において、採用をためらわせる一因となる可能性があるでしょう。
自身のキャリアを考える上でも、どの領域を軸足にしてスキルを広げていくのか、戦略を持つことが重要になります。
フルスタックエンジニア向けの資格などがなくスキルを証明しづらいから
フルスタックエンジニアのスキルセットは非常に広範囲にわたるため、その能力を客観的に証明する統一された資格が存在しないことも、「いらない」と言われる一因になっています。
例えば、ネットワークエンジニアであれば「CCNA/CCNP」、クラウドエンジニアであれば「AWS認定資格」や「Google Cloud認定資格」といった、特定の分野における知識とスキルを証明する業界標準の資格があります。
これらの資格は、保有しているだけで一定レベルのスキルを有していることの客観的な証明となり、転職や案件獲得の際に有利に働くでしょう。
しかし、「フルスタックエンジニア認定資格」のようなものは存在しません。
そのため、自身のスキルを証明するには、これまでに手掛けたポートフォリオや、GitHubでの活動、技術ブログでの発信などを通じて、具体的な実績を示す必要があります。
こうした実績がない場合、第三者がスキルレベルを正確に評価することが難しく、結果として「本当に全領域を任せられるのか?」という疑念につながってしまう可能性があるのです。
分業制となっている大規模なプロジェクトには不要な存在だから
大企業などが手掛ける大規模な開発プロジェクトでは、品質と効率を担保するために、徹底した分業制が敷かれていることがほとんどです。
フロントエンドチーム、バックエンドチーム、インフラチーム、QA(品質保証)チームなどがそれぞれ独立して動いており、各チームにはその分野のスペシャリストが配置されます。
このような環境では、一人のエンジニアが複数の領域をまたいで作業することは稀です。
むしろ、担当領域における深い専門知識と経験が求められます。
例えば、決済システムのようなミリ秒単位の処理速度と高いセキュリティが要求されるバックエンド機能の開発において、フルスタックエンジニアの幅広い知識よりも、決済システムの開発に特化したスペシャリストの深い知見が優先されるでしょう。
このように、各分野の専門家が集まって一つの大きなシステムを作り上げる大規模プロジェクトにおいては、一人が広く浅く担当するよりも、専門家同士が連携する方が効率的であり、フルスタックエンジニアの必要性が低いと見なされる傾向があります。
「フルスタックエンジニアはいらない」は間違い!需要が高い理由
「いらない」と言われる側面がある一方で、現在のIT市場、特に開発現場のリアルな状況を見ると、フルスタックエンジニアの需要はむしろ高まっています。
その理由は、現代のビジネス環境が求めるスピード感やコスト効率に、フルスタックエンジニアの能力が完璧に合致するためです。
以下の項目で、詳しく解説していきます。
どの工程も担当できるので人件費を削減できる
フルスタックエンジニアが企業にとって非常に価値ある存在である理由の一つは、人件費の削減に大きく貢献できる点です。
通常、Webサービスを開発するには、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニアといった複数の専門家をそれぞれ採用する必要があります。
しかし、フルスタックエンジニアを一人採用すれば、これらの役割を一人で、あるいは少人数で兼任することが可能になります。
特に、予算やリソースが限られているスタートアップ企業や中小企業にとって、このメリットは計り知れません。
もちろん、1人で全てを完璧にこなすのは難しい場合もありますが、開発の初期段階や小規模なプロジェクトにおいては、一人が全体像を把握しながら作業を進める方が、コミュニケーションコストも削減でき、結果として全体のコスト抑制につながるでしょう。
即戦力として活躍できる
フルスタックエンジニアは、その幅広い知識とスキルセットにより、プロジェクトのどのフェーズからでも参加し、即戦力として活躍できる強みを持っています。
開発の全体像を理解しているため、新しいプロジェクトにアサインされた際も、システム全体の構成や課題を素早く把握し、自分がどこに貢献すべきかを的確に判断できるのです。
例えば、プロジェクトの途中で仕様変更が発生したとします。
分業制のチームでは、フロントエンドの変更がバックエンドにどう影響するか、その逆はどうか、といった確認と調整に時間がかかることが少なくありません。
しかし、フルスタックエンジニアであれば、変更に伴う影響範囲を一人で予測し、フロントエンドとバックエンドの両方を修正するといった対応が可能です。
また、予期せぬトラブルが発生した際も、原因がコードにあるのか、データベースにあるのか、あるいはサーバー設定にあるのかを多角的に切り分け、迅速な問題解決に貢献できます。
このように、状況に応じて柔軟に役割を変え、ボトルネックとなっている部分を自ら解消しにいける対応力の高さが、多くの開発現場で重宝される理由です。
開発スピードの向上に貢献できる
フルスタックエンジニアの存在は、開発プロセス全体のスピードアップにも大きく貢献します。
なぜなら、開発工程間で発生しがちなコミュニケーションのロスや手戻りを最小限に抑えることができるからです。
一人のエンジニアがフロントエンドからバックエンドまで一貫して担当することで、仕様の認識齟齬が起こりにくくなります。
従来の分業体制では、
「フロントエンドの要求に合わせて、バックエンドの修正が必要になった」
といった調整が頻繁に発生し、その都度コミュニケーションコストと時間的なロスが生じていました。
しかし、フルスタックエンジニアであれば、APIを設計する段階でフロントエンドでの使いやすさを考慮したり、逆にフロントエンドを実装しながらバックエンドの修正も同時に行ったりと、自己完結で作業を進められます。
この「待ち時間」のなさが、プロトタイプの迅速な開発や、市場の変化に対応するための素早い機能改修を可能にするのです。
変化の激しい現代のビジネス環境において、この開発スピードは企業の競争力を左右する重要な要素と言えるでしょう。
技術の連携がしやすい
システム開発において、異なる技術要素間のスムーズな連携はプロジェクト成功の鍵を握ります。
フルスタックエンジニアは、フロントエンド、バックエンド、データベース、インフラといった各技術レイヤーの知識を横断的に持っているため、この「技術の連携」を円滑に進める上で極めて重要な役割を果たします。
例えば、フロントエンドで採用した描画ライブラリのパフォーマンスを最大化するために、バックエンドでどのような形式のデータを返すAPIを設計すべきか、といった最適な構成を判断できます。
また、データベースのクエリが遅い場合に、アプリケーションコード側のキャッシュで解決するのか、インデックスを貼ってDB側で解決するのか、あるいは両方からアプローチするのか、といった多角的な視点から最適な解決策を導き出すことも可能です。
専門エンジニアは自身の担当領域に最適化しようとしがちですが、フルスタックエンジニアはシステム全体としてのパフォーマンスや保守性を見据えた上で、技術選定や設計の意思決定に関わることができます。
この全体最適の視点が、技術的な負債を減らし、長期的に安定して運用できるシステムの構築につながるのです。
特にフルスタックエンジニアが活躍できる場所
フルスタックエンジニアの万能性は、あらゆる開発現場で価値を発揮しますが、特にその能力が最大限に活かされる場所が存在します。
リソースが限られ、スピード感が求められる環境こそ、彼らが最も輝ける舞台と言えるでしょう。
スタートアップ企業
フルスタックエンジニアが最も活躍できる場所の筆頭は、間違いなくスタートアップ企業です。
設立間もないスタートアップでは、限られた資金と人員の中で、アイデアを素早く形にし、市場の反応を見ながら製品を改善していく「リーン開発」のアプローチが一般的です。
このような環境では、一人のエンジニアが多くの役割をこなす必要があります。
フルスタックエンジニアは、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)の開発において、一人でプロトタイプの設計から実装、インフラ構築までを完結させることが可能です。
これにより、複数の専門エンジニアを雇うコストと時間を節約し、驚異的なスピードでサービスをローンチできるのです。
人材不足に悩む自社開発・受託開発企業
IT業界全体でエンジニア不足が叫ばれる中、特に慢性的な人材不足に悩む自社開発企業や受託開発企業にとって、フルスタックエンジニアは救世主とも言える存在です。
これらの企業では、常に複数のプロジェクトや案件が動いており、限られたエンジニアリソースをいかに効率的に配分するかが経営課題となっています。
しかし、フルスタックエンジニアがいれば、プロジェクトの状況に応じて柔軟に役割をスイッチさせることが可能です。
あるプロジェクトではフロントエンド開発に集中し、別のプロジェクトではバックエンドの改修を担当する、といったアサインが可能になり、リソースの最適化が図れます。
DX化を進めたい中小企業
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、今や大企業だけの課題ではありません。
多くの中小企業が、業務効率化や新たなビジネスモデルの創出を目指してDXに取り組もうとしていますが、その最大の障壁となっているのがIT人材の不足です。
社内に専門のIT部門を持たない中小企業も多く、何から手をつけてよいかわからないケースも少なくありません。
このような状況で、フルスタックエンジニアは非常に頼りになる存在です。
フルスタックエンジニアは、企業の現状の業務フローをヒアリングし、課題を特定した上で、それを解決するためのシステム化を企画・提案できます。
そして、提案だけに留まらず、自らの手で小規模な業務改善ツールや顧客管理システムなどを開発・導入することまで可能なのです。
例えば、手作業で行っていた請求書発行業務を自動化するWebアプリケーションを、一人で開発し、クラウド上に展開するといったこともできます。
このように、コンサルティングから開発、導入、運用までを一気通貫で担えるフルスタックエンジニアは、中小企業のDX化を成功に導くための強力な推進力となるでしょう。
フルスタックエンジニアに求められるスキル
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、非常に広範な技術スキルと知識が求められます。
この項目では、現代のフルスタックエンジニアに不可欠とされる主要なスキルセットを、具体的な技術要素とともに解説します。
フロントエンドの開発スキル
フロントエンドは、ユーザーがサービスを直接利用する上で最も重要な部分であり、フルスタックエンジニアにとっても必須のスキル領域です。
高品質なユーザー体験を提供するためには、見た目のデザインを実装するだけでなく、快適な操作性や高速な表示速度を実現する深い知識が求められます。
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基本言語: HTML、CSS、JavaScript(ES6以降のモダンな記法を含む)は、Web開発の基礎として完璧に理解している必要があります。
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JavaScriptフレームワーク/ライブラリ: React、Vue.js、Svelteなどが主流です。最低でも一つは深く習熟し、コンポーネント設計や状態管理(State Management)に関する知識も不可欠です。
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ビルドツール/タスクランナー: WebpackやViteといったツールを使いこなし、開発環境の構築や本番環境向けのコード最適化ができるスキルも重要です。
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CSS設計: BEMやFLOCSSといった設計手法や、Sass/SCSSなどのCSSプリプロセッサを適切に利用し、破綻しにくくメンテナンス性の高いCSSを書く能力が求められます。
これらの技術を駆使して、あらゆるデバイスで快適に利用できるレスポンシブデザインを実装する能力は、もはや当然のスキルと言えるでしょう。
バックエンドの開発スキル
バックエンドは、アプリケーションの心臓部とも言える領域です。
データの処理、ビジネスロジックの実装、外部サービスとの連携など、サービスの根幹を支える機能を担当するため、堅牢でスケーラブルなシステムを構築する能力が問われます。
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サーバーサイド言語: Python (Django, FastAPI)、Ruby (Ruby on Rails)、PHP (Laravel)、Java (Spring)、Go、Node.js (Express) など、多種多様な選択肢があります。プロジェクトの要件に応じて適切な言語やフレームワークを選定し、開発できることが重要です。最低でも1〜2つの言語に習熟していることが望ましいでしょう。
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API設計: RESTful APIやGraphQLなど、モダンなAPI設計手法を理解し、フロントエンドと円滑に連携できるインターフェースを設計するスキルが求められます。
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認証・認可: JWT (JSON Web Token) やOAuthといった技術を用いた、セキュアな認証・認可の仕組みを実装できる知識は不可欠です。セキュリティに関する深い理解が、サービスの信頼性を左右します。
データベースやネットワークのスキル
アプリケーションが扱うデータを効率的かつ安全に管理するためには、データベースに関する深い知識が欠かせません。
また、システム全体が動作する基盤となるネットワークの知識も、トラブルシューティングやパフォーマンスチューニングにおいて重要になります。
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データベース:
- リレーショナルデータベース (RDBMS): MySQLやPostgreSQLが広く使われています。正規化などのデータベース設計の基本原則を理解し、パフォーマンスを考慮したSQL(Structured Query Language)を書ける能力が必要です。
- NoSQLデータベース: 用途に応じてMongoDB(ドキュメント指向)やRedis(キーバリュー型)といったNoSQLデータベースを選択し、活用できるスキルも現代では重要視されています。
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ネットワーク: TCP/IP、HTTP/HTTPS、DNSといったWebの根幹を支えるプロトコルの仕組みを理解している必要があります。これにより、通信関連のトラブルが発生した際に、原因の切り分けをスムーズに行うことができます。また、Webサーバー(Nginx, Apache)の設定や、基本的なセキュリティ対策(ファイアウォールなど)の知識も持っていると、より活躍の幅が広がるでしょう。
クラウドの知識
現代のWeb開発において、クラウドプラットフォームの利用はほぼ標準となっています。
サーバーの物理的な管理から解放され、柔軟なリソース管理とスケーラビリティを実現できるクラウドの知識は、フルスタックエンジニアにとって必須スキルです。
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主要クラウドサービス:Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud (GCP)、Microsoft Azure の3大クラウドサービスのうち、少なくとも1つについては深い知識と実践経験が求められます。特にAWSは業界標準とも言えるほど普及しているため、優先的に学習すると良いでしょう。
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主要なサービスコンポーネント:
- コンピューティング: EC2 (仮想サーバー)、Lambda (サーバーレス)、ECS/EKS (コンテナ)
- ストレージ: S3 (オブジェクトストレージ)
- データベース: RDS (マネージドリレーショナルデータベース)、DynamoDB (NoSQL)
- ネットワーク: VPC (仮想プライベートクラウド)
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IaC (Infrastructure as Code):TerraformやAWS CloudFormationといったツールを用いて、インフラの構成をコードで管理できるスキルは非常に価値が高いです。これにより、インフラ構築の自動化と再現性の確保が可能になります。
UI/UXの知識
フルスタックエンジニアは、ただ動くものを作るだけでは不十分です。
ユーザーが「使いやすい」「心地よい」と感じるサービスを提供するためには、UIとUXに関する知識が不可欠となります。
技術的な実装能力だけでなく、ユーザー視点に立ってプロダクトを設計する能力が、サービスの価値を大きく左右します。
UI/UXの知識を持つエンジニアは、デザイナーやプロダクトマネージャーとのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
「このデザインは技術的に実装が難しいが、UXを損なわずに代替案としてこのように実装してはどうか」といった、建設的な提案が可能になるのです。
また、小規模なチームではエンジニアがUIデザインの一部を担うことも少なくありません。
Figmaなどのデザインツールをある程度理解し、基本的なデザイン原則(近接、整列、反復、コントラストなど)を把握しておくだけでも、開発の質は格段に向上するでしょう。
最終的にユーザーに届けられるプロダクトの全体的な品質に責任を持つ、という意識が重要です。
まとめ
以上、なぜ「フルスタックエンジニアはいらない」と言われるのかについてや、実際にはフルスタックエンジニアの需要が高い理由、フルスタックエンジニアに必要なスキルなどについて解説してきました。
「器用貧乏」「専門性が分かりづらい」といった見方は、大規模な分業制プロジェクトという特定の側面を切り取ったものに過ぎません。
現在のIT業界では、むしろフルスタックエンジニアは引く手あまたの存在です。
技術を追求するスペシャリストとして、フルスタックエンジニアを目指す道も非常に有意義だと言えるでしょう。