このように考えてしまい、エンジニアへの一歩を踏み出せないという方もいるでしょう。
しかし、現代のIT業界において、その心配は不要になりつつあります。
かつては学歴が重視される時代もありましたが、2025年現在、エンジニアの世界は「学歴」よりも「実力」を問われる実力主義へと大きく変化しているため、エンジニアに学歴はいらないのです。
この記事では、エンジニアに学歴がいらないと言われる理由から、学歴不問で就職しやすい企業の特徴、そして学歴に自信がない状態からでもエンジニア転職を成功させるための具体的な方法まで、詳しく解説します。
【本記事の信頼性】
- 執筆者は元エンジニア
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エンジニアに学歴がいらない3つの理由
エンジニアの採用において、なぜ学歴が重視されなくなってきているのでしょうか。
その背景には、IT業界ならではの3つの大きな理由が存在します。
これらの理由を知ることで、学歴に関わらずエンジニアを目指せるという確信が持てるはずです。
学歴よりもスキルや実績が重視される世界だから
IT業界、特にエンジニアの世界は、極めて「実力主義的なカルチャー」が根付いています。
企業がエンジニアに求めるのは、過去の学歴や経歴ではなく、「今、何が作れるのか」「どんな技術を持っているのか」という現在進行形のスキルです。
例えば、どれだけ有名な大学を卒業していても、プログラミングのコードが一行も書けなければ、エンジニアとして活躍することはできません。
逆に、学歴が高くなくても、自走して学習を続け、質の高いポートフォリオ(自身の作品集)を提示できれば、それは何より雄弁なスキルの証明となります。
エンジニアの採用担当者は、履歴書の学歴欄よりも、GitHubアカウントに公開されているソースコードや、個人開発したWebアプリケーションの完成度を注視します。
そこには、候補者の技術力、学習意欲、問題解決能力といった、エンジニアに不可欠な要素が凝縮されているからです。
学歴という過去の実績よりも、スキルや実績という「現在の実力」が評価の主軸となる。
これが、エンジニアに学歴がいらないと言われる最大の理由なのです。
実際に学歴不問の求人も数多くあるから
「学歴不問」は、もはやIT業界の採用における特別な条件ではありません。
実際に大手求人サイトでエンジニアの求人情報を検索してみると、「学歴不問」を条件に掲げる企業が非常に多いことに気づくはずです。
事実として、多くの企業が採用の門戸を学歴で狭めるのではなく、広く才能を求める姿勢にシフトしています。
ポテンシャル採用を積極的に行う企業や、未経験者向けの研修制度を充実させている企業も増えており、学歴に関わらずキャリアをスタートできる環境が整ってきているのが現状です。
求人市場の実態を見ても、学歴がエンジニアになるための必須条件ではないことは明らかです。
企業側も、学歴というフィルターを外すことで、より多様で優秀な人材に出会えるチャンスが広がると認識しています。
学歴を気にして応募をためらう必要は全くありません。
IT人材は慢性的な人手不足の状態だから
エンジニアに学歴が問われにくくなっている背景には、深刻なIT人材不足があります。
経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給の差は年々拡大し、2030年には最大で約79万人もの人材が不足すると予測されています。
人材不足の状況は今現在も続いており、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速やAI、IoTといった先端技術の普及により、IT人材の需要はますます高まっています。
企業は事業を成長させるために、一人でも多くの優秀なエンジニアを確保したいと考えているのです。
このような売り手市場の状況下で、企業が「大卒以上」といった学歴で応募者を絞り込んでしまうのは、自ら採用の機会を狭めることに他なりません。
学歴という条件を設けるよりも、未経験者でもポテンシャルのある人材を採用し、自社で育成していく方針を選ぶ企業が増加しています。
この深刻な人手不足こそが、学歴不問の求人が増え、未経験者にもチャンスが広がっている大きな要因と言えるでしょう。
学歴が一切いらない業界や企業の例
エンジニアと一口に言っても、その活躍の場は多岐にわたります。
中でも、特に学歴が問われにくく、スキルさえあれば誰にでもチャンスがある業界や企業群が存在しますので、ここで紹介していきます。
Web業界全般
Web業界は、技術のトレンドがめまぐるしく変化する世界です。
昨日まで主流だった技術が、今日にはもう古くなっているということも珍しくありません。
このような環境では、大学で学んだ知識がすぐに通用しなくなるケースも多く、常に新しい技術をキャッチアップし続ける学習意欲が何よりも重要視されます。
そのため、Web制作会社や自社でWebサービスを開発・運営している企業など、Web業界全般で学歴不問の傾向が非常に強いです。
採用選考では、学歴よりも、むしろ「どんなWebサイトやアプリケーションを作ってきたか」という実績が問われます。
自分のスキルを証明できるポートフォリオさえあれば、学歴に関係なく評価されるでしょう。
変化の速さに対応できる柔軟性と継続的な学習姿勢こそが、この業界で求められる資質です。
スタートアップやベンチャー企業
設立間もないスタートアップや、急成長を目指すベンチャー企業も、学歴を問わない代表的な存在です。
これらの企業は、少数精鋭で事業をスピーディーに展開していく必要があり、何よりも「即戦力」となる人材を求めています。
したがって、学歴や職歴を一つひとつ吟味するよりも、今すぐ事業に貢献してくれるスキルや技術力を持っているかどうかが採用の決め手になります。
新しいサービスをゼロから作り上げる熱意や、困難な課題にも臆せず立ち向かうチャレンジ精神なども高く評価されるでしょう。
SES企業
SES(System Engineering Service)企業は、自社のエンジニアをクライアント企業に派遣し、技術力を提供する事業形態です。
SES企業は未経験者採用に非常に積極的で、学歴不問の求人が数多く存在します。
その理由の一つは、充実した研修制度にあります。
多くのSES企業では、入社後に数ヶ月間の研修期間を設け、ビジネスマナーからプログラミングの基礎までを体系的に教えてくれます。
そのため、IT業界が全くの未経験であっても、必要なスキルを身につけた上でプロジェクトに参加することが可能です。
また、様々な業界のクライアント先で多種多様なプロジェクトを経験できるのもSESの魅力です。
幅広い技術に触れることで、自身のスキルアップやキャリアパスの模索にも繋がるでしょう。
「学歴に自信はないけれど、まずは実務経験を積んでエンジニアとしての第一歩を踏み出したい」という方にとって、SES企業は最適な選択肢の一つと言えます。
ただし、十分な研修制度を設けていなかったり、エンジニアのことを使い捨て要員としか考えていなかったりするブラックなSES企業も少なくないため、SES企業への就職・転職は慎重に取り組んでください。

中堅のSIer企業
SIer(System Integrator)とは、顧客の課題解決のために、コンサルティングから設計、開発、運用・保守までを請け負う企業のことです。
一般的に「大手SIer」は学歴を重視する傾向がありますが、中堅規模のSIerに目を向けると、学歴不問の求人が見つけやすくなります。
中堅SIerは、大手と同様に大規模なシステム開発に携わる機会がある一方で、人材確保の観点から大手よりも採用のハードルを柔軟に設定しているケースが多いです。
特に、慢性的な人手不足に悩むIT業界においては、ポテンシャルを秘めた人材を発掘しようと、学歴よりも個人の意欲や学習姿勢を評価する傾向が強まっています。
もちろん、一定の論理的思考力やコミュニケーション能力は求められますが、それらを面接や適性検査で示せれば、学歴がネックになることは少ないでしょう。
エンジニア就職・転職時に高学歴が求められるケースもある
これまで「エンジニアに学歴は不要である」と解説してきましたが、一部の企業や職種においては、依然として高学歴が有利に働く、あるいは事実上の条件となっているケースも存在します。
どのような場合に学歴が影響するのかを理解し、現実的なキャリア戦略を立てましょう。
メガベンチャーが新卒採用する場合は学歴が影響する
楽天、サイバーエージェント、メルカリといったメガベンチャー企業の新卒採用においては、学歴が一定の影響力を持つことがあります。
これは、膨大な数の応募者の中から、効率的に候補者を絞り込むための「学歴フィルター」として機能してしまう側面があるためです。
特に新卒採用では、応募者に実務経験がないため、ポテンシャルを測るための一つの指標として、地頭の良さや学習能力を担保するものとして学歴が参考にされます。
論理的思考力や問題解決能力の基礎が、難関大学での学業を通じて養われていると判断される傾向があるのです。
もちろん、学歴だけが全てではなく、インターンシップでの実績や突出した技術力があれば評価は覆りますが、スタートラインで学歴が有利に働く可能性があることは否定できません。
大手SIerも学歴を重視するケースが多い
NTTデータや富士通、NECといった日本の伝統的な大手SIerも、特に新卒採用において学歴を重視する傾向が根強く残っています。
これらの企業は、官公庁や金融機関などの大規模な社会インフラとなるシステムを長年にわたって手掛けており、顧客からの信頼が事業の根幹をなしています。
そのため、社員に対しても高い信頼性や安定性が求められ、その一つの証として、偏差値の高い大学の卒業生を好んで採用する文化が一部に存在します。
また、大規模プロジェクトを遂行する上で必要となる、論理的思考力やドキュメント作成能力、顧客との折衝能力といった素養を、学歴によって担保しようとする考え方もあります。
中途採用では実績が重視されますが、新卒でこれらの企業を目指す場合は、学歴が一つの壁になる可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。
その他にも学歴フィルターがある企業も一部存在する
メガベンチャーや大手SIer以外にも、独自の採用基準として学歴フィルターを設けている企業は残念ながら一部存在します。
特に、研究開発職(R&D)やAI・機械学習といった最先端分野の専門職では、大学院での研究実績が求められることが多く、修士号や博士号が応募の必須条件となっているケースも少なくありません。
これらの職種では、単にプログラムが書けるだけでなく、基礎研究レベルの深い理論的知識や論文読解能力、数学的な素養が不可欠です。
そのため、必然的に高等教育を受けた人材が対象となります。
このように、「全ての企業が学歴不問というわけではない」という現実は冷静に受け止める必要があります。
しかし、重要なのは、学歴フィルターが存在するのはあくまで「一部の企業」であるということです。
大多数のIT企業はスキルと実績を重視しており、学歴がなくても活躍の場は無限に広がっています。
学歴不問で目指しやすいエンジニア
IT業界には多種多様なエンジニア職が存在しますが、中でも特に学歴不問でキャリアをスタートさせやすい職種があります。
ここでは、未経験からでも挑戦しやすく、スキルで評価されやすい代表的な2つのエンジニア職を紹介します。
Webエンジニア
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションの設計・開発・運用に携わる職種で、学歴不問で目指しやすいエンジニアの筆頭格です。
その最大の理由は、Web業界には「とことん実力主義」という文化があるからです。
学歴がどんなに素晴らしくとも、即戦力となれるような技術がなければ見向きもされません。
Web業界は技術の進化が非常に速く、常に新しい知識を学び続ける姿勢が求められます。
そのため、出身大学で何を学んだかよりも、現在の技術トレンドをどれだけキャッチアップしているかの方が重視される傾向にあるのです。
したがって、自分のスキルや実績を「ポートフォリオ」という目に見える形で示し、興味を持ってもらえれば、
特にWeb系のスタートアップやベンチャーは、低学歴で実務未経験であろうと、開発スキルが高ければ喜んで採用してくれます。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークといった、ITシステムの基盤(インフラ)を設計、構築、運用・保守する専門家です。
この職種も、学歴不問でキャリアを築きやすいという特徴があります。
特に「運用・保守」の業務は、未経験者向けの求人が比較的多く、ここからキャリアをスタートする人が少なくありません。
マニュアルに沿った定型的な業務から始め、徐々に知識と経験を積み重ねていくことで、より上流の「設計・構築」へとステップアップしていくことが可能です。
近年では、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといったクラウドサービスの普及により、物理的な機器を触る機会は減り、クラウド上でのインフラ構築スキルが非常に重要になっています。
これらのクラウド技術は、学歴に関係なく学習可能であり、認定資格などを取得すれば客観的なスキルの証明にもなります。
システムの根幹を支える安定した需要があるため、着実にスキルを身につけたい方におすすめの職種です。
低学歴の状態からエンジニア転職を実現する方法
エンジニアになるために学歴は基本的にいらないのですが、これまで解説してきた通り、場合によっては学歴の影響を受けることもあります。
ここでは、仮に学歴が多少影響する場合でも問題ないよう、低学歴であってもエンジニア転職を成功させる可能性を高める方法について解説していきます。
資格を取得する
客観的に自身のスキルレベルを証明する上で、資格の取得は非常に有効な手段です。
特にIT業界未経験の場合、知識の体系的な習得度を示す指標となり、学習意欲の高さをアピールする材料にもなります。
どのようなエンジニアを目指すかによって取得すべき資格は異なりますが、ITスキル全般について証明したい場合は、以下のような資格がおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
ITパスポートは、かなり難易度の低い試験ですが、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験はかなり難易度が高いです。
取得しておくことで、一定の知識があることや、目標に向かって努力できるということを伝えることができるはずです。
レベルの高いポートフォリオを作る
学歴不問のエンジニア採用において、最も重要視されるのがポートフォリオです。
単にチュートリアルをなぞっただけの作品ではなく、自分のアイデアや工夫を凝らした、レベルの高いポートフォリオを作成することが、転職成功への最短ルートと言っても過言ではありません。
採用担当者の目に留まるポートフォリオにするためには、以下のような点を意識してください。
独自性・オリジナリティ | ありふれた模倣サイトではなく、自身の課題意識から生まれたサービスや、個人的な趣味を突き詰めた作品など、自分ならではのアイデアが光るもの。 |
技術的な挑戦 | CRUD(作成、読み取り、更新、削除)機能だけでなく、API連携、非同期処理、テストコードの実装など、少し背伸びした技術に挑戦していること。 |
完成度とデザイン | 見た目が整っており、ユーザーが直感的に使えるUI/UXが意識されていること。デプロイ(公開)まで行い、誰でもアクセスできる状態にしておくのが理想。 |
質の高いポートフォリオは、自分の技術力、学習意欲、問題解決能力を総合的に証明する最強の武器となります。
ぜひ時間をかけて、魂を込めた作品を作り上げてください。

転職エージェントやプログラミングスクールの転職支援を活用する
自分一人だけでの転職活動に不安を感じる場合は、プロの力を借りるのが賢明です。
IT業界に特化した転職エージェントや、転職支援付きのプログラミングスクールを活用することで、転職成功の確率を大きく高めることができます。
転職エージェントやプログラミングスクールの転職支援を利用することで、「非公開求人の紹介を受けられる」「求人応募時に書類添削・面接対策をしてくれる」「キャリア相談に乗ってくれる」といったメリットを受けられます。
特にプログラミングスクールでは、スキル習得からポートフォリオ制作、そして転職活動までを一貫してサポートしてくれるため、未経験者にとっては心強い味方となるでしょう。
エンジニアと学歴の関係でよくある質問
エンジニアと学歴の関係については、多くの人が疑問や不安を抱えています。
ここでは、特に多くの方が感じる疑問について回答していきます。
低学歴エンジニアは年収が低くなる?
結論から言うと、エンジニアの年収と学歴に長期的な相関関係はほとんどありません。
入社時の初任給において、大卒や院卒の方が高卒や専門卒よりも高く設定されている企業は確かに存在します。
しかし、それはあくまでスタート地点での話です。
エンジニアの年収を決定づける最大の要因は、学歴ではなく、その後の「スキル」「経験」「実績」です。
入社後に高い技術力を身につけ、プロジェクトで成果を出し、チームに貢献すれば、学歴に関係なく評価は上がり、年収もそれに伴って上昇していきます。
数年もすれば、入社時の学歴による差はほとんど無意味になるでしょう。
逆に院卒のエンジニアなら年収は高くなる?
大学院卒(院卒)のエンジニアの場合、特定の専門分野においては、学部卒よりも高い年収でキャリアをスタートできる可能性があります。
特に、AI(人工知能)、機械学習、データサイエンス、画像認識といった高度な数学的知識や研究経験が求められる分野では、修士号や博士号を持つ人材は非常に価値が高く、企業も高い報酬を提示して獲得しようとします。
IT企業で学歴フィルターなしの例としてどんな企業がある?
学歴フィルターを設けていない、あるいはその傾向が非常に薄い企業は数多く存在します。
例えば、Web系自社開発企業や、急成長中のベンチャー・スタートアップ企業です。
具体例を挙げると、以下のような企業は学歴フィルターがない企業として知られています。
- NECネッツエスアイ
- 富士ソフト
- リンクレア
- エクサ
これらの企業に共通しているのは、「学歴」という過去の指標よりも、「今何ができるか」「これから何ができるようになりたいか」という未来へのポテンシャルを重視する姿勢です。
企業の採用ページや社員インタビューなどを確認し、その企業のカルチャーが自分に合っているかを見極めることが重要でしょう。
まとめ
以上、エンジニアと学歴の関係について、詳しく解説してきました。
「高学歴でなくてはエンジニアになれない」と誤解している方もいるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。
エンジニアの世界は実力主義ですので、一部の業界や企業を除けば、学歴不問で採用されますし、活躍することができます。
「エンジニアになりたい」という強い気持ちがあるのならば、学歴を理由に諦めることなく、是非目指してみてください。