「AIエンジニアへの転職や就職を考えているけれど、どの資格を取得すべきか迷っている」という方もいらっしゃるでしょう。
AI分野の急速な発展により、関連資格も増え続けており、自分に合った資格選びは簡単ではありません。
そこでこの記事では、AIエンジニアを目指す方に向けて、代表的なAI関連資格13種類とその難易度について詳しく解説します。
G検定やE資格といった定番資格から、クラウドベンダーの認定資格、データ分析系の資格まで、それぞれの特徴や出題内容、受験方法を具体的に紹介しますので、是非参考にしてください。
【本記事の信頼性】
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AIエンジニアに資格は必要か?
AIエンジニアになるために資格は必須ではありませんが、スキルを体系的に学び、客観的に証明する手段として有効です。
実務経験が最も重要視される分野ですが、特に未経験からAIエンジニアを目指す場合、資格取得は学習の道筋となり、基礎知識の習得に役立ちます。
企業によっては特定の資格保有者を優遇する場合もあり、キャリアチェンジやキャリアアップの際に有利に働く可能性があります。
ただし、資格はあくまでスタートラインであり、実際のプロジェクトでの経験やポートフォリオの充実も同様に重要です。
AI関連資格が注目を集めている理由
AI技術の急速な普及により、AIエンジニアの需要は年々高まっています。
2023年以降、生成AIの登場でさらに注目度が上昇し、多くの企業がAI人材の確保に動いています。
しかし、「AIエンジニアのスキルレベルを判断することは難しい」というのが、企業のエンジニア採用担当者の悩みの種。
そこで役立つのが、AI関連の資格なのです。
また、AI分野は技術の進化が早いことから、継続的な学習が必要です。
資格試験の準備を通じて最新の技術トレンドや標準的な手法を学べることも、資格が注目される理由の一つです。
政府や業界団体も、AI人材育成を推進しており、資格制度の整備は今も進んでいます。
AIエンジニアを目指す人におすすめのAI関連資格13選
AIエンジニアを目指すために、どのような資格を取得すればよいかわからないという方も多いでしょう。
この項目では、AIエンジニアとして活躍するために役立つAI関連の資格を13個厳選し、難易度や試験内容などについて詳しく解説していきます。
G検定
G検定は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、AIの基礎知識を問う検定試験です。
ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業活用する能力を持つ人材を認定します。
試験は年6回実施され、オンラインで受験可能です。
主な出題範囲は以下の通りです。
- 人工知能の定義や歴史
- 機械学習の基礎
- ディープラーニングの概要
- AIの社会実装に向けた課題
合格率は約60~70%で、公式テキストと問題集での学習が効果的です。
E資格
E資格は、JDLAが実施する試験で、ディープラーニングの理論を理解して適切な手法を選択し、実装する能力を持つ人材を認定する資格です。
G検定の上位資格に位置付けられ、より技術的な内容が問われます。
受験資格として「JDLA認定プログラムの修了」が必要で、試験は年2回実施されます。
出題内容は応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境など専門的で、プログラミング能力も求められます。
合格率は約70%ですが、受験者のレベルが高いため難易度は高めです。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する、Pythonを使ったデータ分析の基礎知識を認定する試験です。
AIエンジニアにとって必須のPythonスキルを証明できます。
試験内容はNumPy、pandas、Matplotlib、scikit-learnなどの主要ライブラリの使い方が中心です。
CBT形式で随時受験可能で、合格率は約80%と高めです。
勉強方法としては、公式教材「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」での学習が推奨されています。
画像処理エンジニア検定
画像処理エンジニア検定は、公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が実施する、画像処理分野の専門知識と応用能力を評価する検定です。
画像処理エンジニア検定には、ベーシックとエキスパートの2つのレベルがあります。
ベーシックの合格率が60~70%程度、エキスパートの合格率が30~40%前後となっており、エキスパートはやや難関資格となっています。
コンピュータビジョンや画像認識はAIの重要な応用分野であり、この資格は画像処理に特化したAIエンジニアを目指す人に適しています。
試験は年2回実施され、画像処理の基礎理論から実装技術まで幅広く出題されます。
AI実装検定
AI実装検定は、Study-AI株式会社が運営する、AIの実装スキルを評価する検定です。
S級とA級とB級があり、級によって難易度が大きく異なります。
難易度のイメージは以下の通りです。
B級 | 難易度:★☆☆☆☆ |
G検定 | 難易度:★★☆☆☆ |
A級 | 難易度:★★★☆☆ |
E資格 | 難易度:★★★★☆ |
S級 | 難易度:★★★★★ |
AI実装検定の試験では、ディープラーニングの実装に必要な数学やプログラミング、アルゴリズムの知識が問われます。
特にA級では、画像認識や自然言語処理の実装経験が求められ、実務に近い内容となっています。
試験は、オンラインで随時受験可能です。
データサイエンティスト検定 リテラシーレベル
データサイエンティスト検定 リテラシーレベルは、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施する、データサイエンティストとして必要な基礎知識を認定する検定です。
本検定は「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト」に基づいて設計されており、実務で必要となる3つのスキルセット(ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力)をバランスよく評価します。
ビジネス力では課題設定や分析結果の活用方法、データサイエンス力では統計学や機械学習の基礎、データエンジニアリング力ではデータ収集・加工・実装の基礎が問われます。
年3回ほどのペースで試験が実施され、合格率は約50%程度です。
AWS Certified Machine Learning-Specialty
AWS Certified Machine Learning-Specialtyは、Amazon Web Services(AWS)が提供する、AWS上での機械学習ソリューションの設計、実装、デプロイ能力を認定する資格です。
クラウド環境でのAI開発スキルを証明できます。
試験では、ビジネス問題を機械学習問題として定義し、適切なAWSサービスを選択してソリューションを実装する能力が評価されます。
出題分野は4つのドメインに分かれており、「データエンジニアリング」(20%)、「探索的データ分析」(24%)、「モデリング」(36%)、「機械学習の実装と運用」(20%)から構成されています。
試験は、英語のほか日本語でも受験可能で、ピアソンVUEのテストセンターまたはオンライン監督試験で受験できます。
統計検定
統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が実施する、統計学の知識と活用力を評価する検定です。
4級から1級まであり、AIエンジニアには2級以上が推奨されます。
各級の試験内容は以下の通りです。
4級 (中学数学程度) |
データの種類、度数分布表、代表値など統計の基礎 |
3級 (高校数学程度) |
データの散らばり、相関、確率分布の基礎 |
2級 (大学基礎統計学) |
推定、検定、回帰分析、分散分析など実務で使う統計手法 |
準1級 | 多変量解析、時系列分析、ベイズ統計など応用的な統計手法 |
1級 | 統計数理(確率論、統計的推測など)と統計応用(人文科学、社会科学、理工学、医薬生物学から選択) |
AIエンジニアとして特に重要な2級では、記述統計(平均、分散、相関係数など)、確率分布(正規分布、二項分布、ポアソン分布など)、推測統計(区間推定、仮説検定)、線形回帰分析などが出題されます。
これらは機械学習の理論を理解する上で必須の知識です。
試験はCBT形式で、1級以外は随時受験可能です。
公式教科書として「統計検定2級対応 統計学基礎」(東京図書)などが出版されており、過去問題集での演習も効果的です。
データサイエンティストやAIエンジニアの求人では「統計検定2級以上」を応募条件や歓迎条件とする企業も増えており、キャリア形成にも有効な資格となっています。
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentalsは、Microsoftが提供する、Azure AIサービスの基礎知識を認定する入門レベルの資格です。
機械学習、コンピュータービジョン、自然言語処理、会話型AIの基礎が出題範囲です。
具体的には、主に以下のような範囲が出題されます。
- 機械学習の種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)
- 責任あるAIの原則(公平性、信頼性、プライバシー、包括性、透明性、説明責任)
- Azure Machine Learningの基本機能
- Computer VisionやCustom Visionを使った画像分析
- Text AnalyticsやLanguage Understandingによる自然言語処理
- Bot ServiceやQnA Makerを使った会話型AIの構築方法
試験時間は45分で約40問が出題され、合格スコアは700点(1000点満点)です。
日本語での受験が可能で、ピアソンVUEのテストセンターまたはオンライン監督試験で受験できます。
AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution
AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solutionは、Azure上でAIソリューションを設計・実装する能力を認定する、より高度な資格です。
AI-900の上位資格に位置付けられ、実践的なAI開発スキルが求められます。
出題範囲は以下の通りです。
- 「Azure Cognitive Servicesソリューションの計画と管理」(15-20%)
- 「Computer Visionソリューションの実装」(20-25%)
- 「自然言語処理ソリューションの実装」(20-25%)
- 「ナレッジマイニングソリューションの実装」(15-20%)
- 「会話型AIソリューションの実装」(15-20%)
具体的なスキルとしては、Cognitive Servicesリソースの作成と管理、セキュリティとコンプライアンスの実装、カスタムビジョンモデルの構築とデプロイ、OCRとForm Recognizerの実装、感情分析やキーフレーズ抽出の実装、Cognitive Searchを使った検索ソリューションの構築、LUIS(Language Understanding)を使った意図認識、Bot Frameworkによるチャットボット開発などが含まれます。
試験時間は120分で約50問が出題され、合格スコアは700点(1000点満点)です。
なお受験資格はないものの、C#またはPythonでのプログラミング経験と、1年以上のAzure環境での開発経験が推奨されています。
認定AI・IoTコンサルタント
認定AI・IoTコンサルタントは、一般社団法人新技術応用推進基盤が実施する、AIとIoTの両分野でコンサルティングができる人材を認定する資格です。
試験前には研修に参加する必要があり、研修では以下のようなことを学習します。
- AI・IoTの基礎技術(機械学習、深層学習、センサー技術、通信技術など)
- ビジネス活用事例(製造業、小売業、農業、医療など各業界での活用例)
- プロジェクト推進手法(要件定義、PoC実施、本番導入までのプロセス)
- 法規制とセキュリティ(個人情報保護、AI倫理、サイバーセキュリティ)
- 投資対効果の評価方法
試験は研修最終日に実施され、筆記試験形式で行われます。
出題内容は研修で学んだ内容が中心で、特にAIとIoTを組み合わせたソリューション提案力が問われます。
Professional Data Engineer
Professional Data Engineerは、Google Cloudが提供する、データエンジニアリングの専門知識を認定する資格です。
取得することで、大規模データ処理とMLパイプラインの構築能力を証明できます。
試験では、以下の5つの領域から出題されます。
- 「データ処理システムの設計」(22%)
- 「データ処理システムの構築と運用化」(25%)
- 「機械学習モデルの運用化」(18%)
- 「品質の確保」(18%)
- 「セキュリティとコンプライアンス」(17%)
試験時間は120分で約50問が出題され、合格ラインは非公開です。
試験は、英語でも日本語でもどちらでも受験可能です。
受験資格はありませんが、3年以上の業界経験(うち1年以上のGoogle Cloud Platform経験)が推奨されています。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する、ITエンジニアの登竜門的な国家資格です。
AI分野に特化していませんが、ITの基礎知識を幅広く証明できます。
試験は科目A(旧午前試験)と科目B(旧午後試験)で構成されています。
科目Aは90分で60問、科目Bは100分で20問が出題されます。
2023年4月から試験制度が改定され、科目Bではプログラミング的思考力を問う問題とアルゴリズムとプログラミングの問題が中心となりました。
プログラミング言語は擬似言語で出題されるため、特定の言語に依存しない論理的思考力が求められます。
情報セキュリティの比重も高まっており、AIシステムのセキュリティを考える上でも有用な知識が得られます。
合格率は約40%で、「基本」という名がつきながらも難しい資格になっているので、しっかりとした対策が必要です。
AIエンジニアを目指す際にAI関連の資格を取得するメリット
AI関連の資格の取得は、AIエンジニアを目指す上で以下のようなメリットが得られます
一定のAIスキルがあることを客観的に証明できる
資格は、第三者機関による客観的な評価であり、特に実務経験が少ない段階では重要な証明となります。
履歴書に記載することで、採用担当者に対して学習意欲と基礎知識を持っていることをアピールできるでしょう。
また、資格取得の過程で体系的に知識を整理できるため、独学では見落としがちな分野もカバーできます。
試験範囲に沿って学習することで、AIエンジニアとして必要な知識を網羅的に身につけられます。
転職活動で役立つ可能性がある
多くの企業がAI人材を求める中、資格保有者は書類選考で有利になる可能性があります。
特に未経験からの転職では、資格が熱意と基礎能力の証明になります。
一部の企業では、特定の資格保有を応募条件や優遇条件としている場合もありますし、資格手当や受験費用の補助制度を設けている企業も増えているため、キャリアアップにも直結するでしょう。
合格者のみが加入できるコミュニティに参加できる
E資格合格者が参加できる「CDLE(Community of Deep Learning Evangelists)」のように、資格保有者限定のコミュニティが存在します。
これらのコミュニティでは、最新技術の情報交換や勉強会などの機会が提供されます。
同じ志を持つエンジニアとの交流は、技術力向上だけでなく、キャリア形成にも役立つはずです。
実務での課題解決のヒントを得たり、転職情報を共有したりすることも可能です。
AI初心者はまずどの資格から取得すべき?
AI初心者には、まず「G検定」または「AI-900」から始めることをおすすめします。
これらは入門レベルの資格で、AIの全体像を把握するのに適しています。
プログラミング経験がある場合は、「Python3エンジニア認定データ分析試験」も良い選択肢です。
次のステップとして、より専門的な「E資格」や「データサイエンティスト検定」に挑戦すると良いでしょう。
クラウド環境での開発を目指す場合は、各クラウドベンダーの認定資格も検討してください。
まとめ
以上、AIエンジニアを目指す際に役立つ資格について紹介してきました。
これからAIについて勉強するという人は、まずは難易度の低いものから挑戦し、徐々にレベルアップしていくとよいでしょう。
もちろん、現役のAIエンジニアの方にも役立つ資格ですので、キャリアアップのために是非取得を目指してみてください。